

今日のトピック:
① シナリオ通りの環境アセスにがっかり
② 【オンラインセミナー】三井不動産:外苑再開発事業の「グリーンウォッシュ性」を自ら『宣言』
① シナリオ通りの環境アセスにがっかり
この1年以上続けられた議論は一体何だったのだろう?と思ってしまうくらい、5月18日の環境アセス審議会はがっかりする結果になりました。4月27日の第1回に続いて、イコモスが指摘した「環境アセス評価書における虚偽」に対して事業者が回答する第2回目の説明会でしたが、予め用意されたシナリオ通りの出来レースを見せられただけでした。
冒頭にまず「工事の着工と本日の説明は切り離して行う」と、この説明会が計画の変更に影響を与えるものではないと前置きし、審議会の意味を無効化したのです。そして、前回と同じく今回もまた、事業者は用意した文章を棒読みすることで時間のほとんどを潰しました。だらだらと今まで通りの評価書の内容を繰り返し、何の具体的、科学的根拠を示すことなく「間違いはない」「虚偽ではない」と一方的に断定し、多くのことについて「できるだけ努力する」「今後検討する」「事後調査で報告する」というだけで、全く現状の問題に向き合うことはありませんでした。例えば、ラグビー場の入り口の「移植検討の19本のイチョウ並木」を、本当に移植できるかどうかは4年後の2027年に判断するといういい加減さ!もし、その時になって「やっぱり移植は無理」となれば、伐採するつもりなのでしょう。事業者の計画はすべて建築計画を優先した「努力目標」にすぎず、「できるだけ努力したけれど、やっぱりダメでした」という結果になっても、誰も責任を取ることがないのです。
池邉委員と横田委員からは、正当な厳しい発言がありました。しかし、彼らの意見は審議会の結論には全く反映されることはありません。これまでもずっと批判的な意見が出ても結局スルーされていたのですが、今回は今まで以上に露骨に無視されたように感じます。池邉委員は「すべて事後報告書に書いて済ませばいいという問題ではない」と発言。また、植生調査の群落数について、イコモスの22に対し事業者は5とあまりにも違う、このような著しい差は「恣意的な調査をしない限り起こりえない」と疑念を呈しました。すべての影響評価の根本である植生調査が歪められているということは、それをベースとした計画も予測もすべて歪むことになる、と厳しく本質的な誤りを指摘しました。しかし、事業者は言い訳にもならないような曖昧な回答をすることしかできず、疑念も矛盾も残したまま審議は終了しました。
このように多くの疑念が払拭されていないにもかかわらず、齋藤1部会長、宮越2部会長は事業者を擁護し持ち上げるまとめを述べ、続いて柳会長は「事業者が作成した環境影響評価書は一定の水準にあり、イコモスの指摘するような誤りや虚偽はないと確認した。よって、計画に重大な変更は生じない」と結論づけ、イコモスの意見に関する審議を終了させてしまいました。
会長も両部会長も、5月18日でイコモス案件を終了させるつもりで会合に臨んでいたようでした。すべてが予め決められた通りに進み、委員からどのような意見が出ようとも結論はすでに決まっていたのです。
ここまで、客観的事実、科学的検証を捻じ曲げ、審議会としてのモラルも欠いたまま、アンフェアなやり方で議論を終了するとは。これまでの審議会はよくやってくれた、という一定の評価も打ち砕かれてしまいました。
本当に残念なのは、ほとんどのメディアは「評価書に虚偽はないと環境アセス審議会が結論」とばかり報道して、疑問を呈した委員の意見について触れていないことです。委員たちの疑念と部会長や会長の結論があまりにもマッチしなかったことに何故触れないのでしょうか?実は、環境アセスメント審議会委員の任期は5月19日まででした。その前日に行われた審議会総会は次期委員の継続の可否を問うパフォーマンスでもあったようです。会長、部会長らの発言は、ポスト慰留のための思惑があったと思われます。残念ながらほとんどの委員は都からのプレッシャーの下で単なる御用学者になってしまいました。本来、環境アセスは市民の疑問や懸念が反映されるべき数少ない場面なのに、これでは市民の信頼や共感を得られるはずがありません。
立憲民主党阿部ともこ衆議院議員がツイッターでこうコメントしました:「明治神宮外苑再開発にあって、一番欠けているのは住民との対話。そして外部からの指摘に一切まともに応えようとしない態度。」本当にその通りです。
② 【オンラインセミナー】三井不動産:外苑再開発事業の「グリーンウォッシュ性」を自ら『宣言』
明日!2023年5月21日(日)10時~12時
事前申し込みはこちら。
三井不動産は今般、同社グループ全体の「生物多様性方針」を策定した。昨年末に国際合意した「昆明・モントリオール生物多様性枠組」を踏まえるとし、その具体例として神宮外苑の再開発をあげている。イチョウ並木を保全するとともに多様な緑化を計画し、緑の割合を現状より5%増やし、「緑の循環」を図ることで「生物多様性」に配慮するとの主張だ。だが、同社の主張は「同枠組」の「つまみ食い」であり、明らかな「グリーンウォッシュ」と言わざるを得ない。ただ、ある意味で、同社の「グリーンウォッシュ」の露呈は、わが国の都市開発が抱える課題を浮き彫りにしたともいえる。従来型の地権者・開発業者主導の都市づくりが、地域の、国の、地球の、生物多様性を無視して進められてきた結果、多くのグローバル課題を引き起こしている。同社のグリーンウォッシュ性を検証するとともに、生物多様性条約が求められる背景を踏まえ、外苑再開発問題のソリューションを考えることで、次世代に向けたモデル化を試みる。
藤井良広 プロフィール
一般社団法人環境金融研究機構代表理事。元上智大学地球環境学研究科教授、元日本経済新聞経済部編集委員、ISOサステナブルファイナンス専門委員、CBIアドバイザー等を兼任。神戸市出身。