知事への要請:神宮外苑再開発事業の環境影響評価手続の再実施を求めます

署名活動の主旨

神宮外苑再開発事業は、都市計画公園区域の一部を解除し、その土地に現に存在しているラグビー場や野球場を、建国記念文庫の杜や港区道上の銀杏並木の上に移転し、その跡地に超高層オフィスビルを建て、その賃料・地代を三井不動産と明治時宮が稼ぐという、国民の寄付で百年前に作られた公園の歴史的綠の環境を潰して行う「土地活用事業」であり、公共的資産の私物化に他なりません。今まさに、私的利益のために、都民・国民・世界の市民が樹齢百年超の樹林を含む公園としての環境を享受する権利が脅かされようとしています。

さて、10月21日の環境影響評価審議会には、事業者が「改善案」と称する事業計画の変更案が報告されましたが、これは、ラグビー場の設計については、わずかに変更しただけのものに過ぎず、建国記念文庫の杜の樹木・生態系に対する日影や建物の影響は、ほとんど改善されておらず、また、建国記念文庫の杜の樹木のうち、建物を建設するために邪魔になる樹木は、まとめて移植することで「生態系を復元」することとしていたものを、今回は、個別バラバラに異なった場所に移植する計画に変更するなど、あいかわらず、神宮外苑の綠環境に壊滅的な影響を与えるものになっています。

このように、今回の変更後の事業計画の案は、環境に著しい影響を及ぼすおそれがあるものに該当しますので、都知事は東京都環境影響評価条例63条に基づき、事業者に環境影響評価手続の再度の実施を求める義務があるわけです。都は、ラグビー場の設計変更は、(審議会も都も事業者も不適切と認めていた)当初案に比べれば、改善されているから「環境に著しい影響を及ぼすおそれがある」ものとはいえない、などと非合理的な説明を(都議会などでは)しているのですが、通常の例とは違い、環境影響評価書を受理した時点のラグビー場の設計は、綠や生態系の保全等の面で不適切なものであるから、事業着手後にあらためて建築設計と緑化計画の改善案を提案し審議することとなっていたわけですし、改善案を提出するまでは樹木の伐採を中止するよう都も事業者に要請していたものです。ですから、今回の案が、当初案より環境影響について改善されていることは当然のことですし、検討すべき問題は、今回の案において、必要にして十分な改善がなされているかどうかなのです。つまり、改善後の設計による環境影響を、科学的客観的に予測・評価・審査する必要があるわけです。にもかかわらず、10月21日の環境影響評価審議会では、ラグビー場の日影による影響の改善の程度や、新たな移植計画による建国記念文庫の杜の復元の可能性などについては、何の審議もされませんでした。したがって、こうした点については、再度、環境アセスメントの手続(すなわち、再度の評価書案の提出、縦覧、(市民の)意見書の提出、(事業者の)見解書の提出、都民の意見を聴く会の開催、等々)を実施する中で、科学的・客観的に評価される必要があるわけです。

なお、審議会では最後の会長総括として、「今回の報告では、ラグビー場棟などの計画の見直し、…保存樹木の増加・伐採樹木の減少、野球場棟のセットバック方針を示すなど、…の報告がございました。」とまとめられており、報告された事業計画の変更は、新ラグビー場の設計変更だけではないことが示されていました。また、同会長総括において、会長は「委員から、(今回の変更が)環境に著しい影響を及ぼすのではないかといった特段の意見はございませんでしたが、…」と述べていおられますが、実際のところ、審議会においては「(今回の変更が)環境に著しい影響を及ぼすおそれがない」とする特段の意見もなかったのです。また審議会においては、建国記念文庫の杜の樹木や生態系の劣化、移植先の環境の変化(劣化)について懸念する質問・助言・意見が提出されており、これらの発言が委員からなされたということは、(今回の変更が)「環境に著しい影響を及ぼすおそれがない」とは必ずしもいえない、ということを示すものです。

以上のことから、私たちは、東京都知事に対し、今回の事業計画の変更の性質を適確に認識し、東京都環境影響評価条例63条に基づき、神宮外苑再開発事業の事業者に対し、変更後の事業計画についての環境影響評価手続の再度の実施を求めることを要請します。

皆様、この請願に署名して、私たちの要求を都知事に届けましょう。

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【参考条文】
■東京都環境影響評価条例
(事業内容の変更による手続の再実施)
第63条
 知事は、前条第一項の規定による変更の届出があつた対象事業について、当該変更が環境に著しい影響を及ぼすおそれがあると認めるときは、審議会の意見を聴いた上で、当該事業者に対し、既に完了している手続の全部又は一部を再度実施するよう求めるものとする。

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大方潤一郎(東京大学名誉教授) <https://habitat-lab.blogspot.com>

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大方 潤一郎署名発信者東京大学名誉教授(都市計画・専攻) 1954年生まれ。82年・東京大学都市工学科博士課程退学、同助手。84年・横浜国大建築学科・助手/助教授、96年・東京大学都市工学科・助教授・教授、2019年・明治大学特任教授を経て、東京大学名誉教授。工学博士。専門は都市計画、都市デザイン・コントロール、まちづくり条例など。主な著書に「協議型まちづくり」「地方分権時代のまちづくり条例」「都市計画根底から見なおし新たな挑戦へ」など。穂高町まちづくり審議会会長、鎌倉市、横須賀市、熱海市などの都市計画審議会会長などを歴任。

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署名活動の主旨

神宮外苑再開発事業は、都市計画公園区域の一部を解除し、その土地に現に存在しているラグビー場や野球場を、建国記念文庫の杜や港区道上の銀杏並木の上に移転し、その跡地に超高層オフィスビルを建て、その賃料・地代を三井不動産と明治時宮が稼ぐという、国民の寄付で百年前に作られた公園の歴史的綠の環境を潰して行う「土地活用事業」であり、公共的資産の私物化に他なりません。今まさに、私的利益のために、都民・国民・世界の市民が樹齢百年超の樹林を含む公園としての環境を享受する権利が脅かされようとしています。

さて、10月21日の環境影響評価審議会には、事業者が「改善案」と称する事業計画の変更案が報告されましたが、これは、ラグビー場の設計については、わずかに変更しただけのものに過ぎず、建国記念文庫の杜の樹木・生態系に対する日影や建物の影響は、ほとんど改善されておらず、また、建国記念文庫の杜の樹木のうち、建物を建設するために邪魔になる樹木は、まとめて移植することで「生態系を復元」することとしていたものを、今回は、個別バラバラに異なった場所に移植する計画に変更するなど、あいかわらず、神宮外苑の綠環境に壊滅的な影響を与えるものになっています。

このように、今回の変更後の事業計画の案は、環境に著しい影響を及ぼすおそれがあるものに該当しますので、都知事は東京都環境影響評価条例63条に基づき、事業者に環境影響評価手続の再度の実施を求める義務があるわけです。都は、ラグビー場の設計変更は、(審議会も都も事業者も不適切と認めていた)当初案に比べれば、改善されているから「環境に著しい影響を及ぼすおそれがある」ものとはいえない、などと非合理的な説明を(都議会などでは)しているのですが、通常の例とは違い、環境影響評価書を受理した時点のラグビー場の設計は、綠や生態系の保全等の面で不適切なものであるから、事業着手後にあらためて建築設計と緑化計画の改善案を提案し審議することとなっていたわけですし、改善案を提出するまでは樹木の伐採を中止するよう都も事業者に要請していたものです。ですから、今回の案が、当初案より環境影響について改善されていることは当然のことですし、検討すべき問題は、今回の案において、必要にして十分な改善がなされているかどうかなのです。つまり、改善後の設計による環境影響を、科学的客観的に予測・評価・審査する必要があるわけです。にもかかわらず、10月21日の環境影響評価審議会では、ラグビー場の日影による影響の改善の程度や、新たな移植計画による建国記念文庫の杜の復元の可能性などについては、何の審議もされませんでした。したがって、こうした点については、再度、環境アセスメントの手続(すなわち、再度の評価書案の提出、縦覧、(市民の)意見書の提出、(事業者の)見解書の提出、都民の意見を聴く会の開催、等々)を実施する中で、科学的・客観的に評価される必要があるわけです。

なお、審議会では最後の会長総括として、「今回の報告では、ラグビー場棟などの計画の見直し、…保存樹木の増加・伐採樹木の減少、野球場棟のセットバック方針を示すなど、…の報告がございました。」とまとめられており、報告された事業計画の変更は、新ラグビー場の設計変更だけではないことが示されていました。また、同会長総括において、会長は「委員から、(今回の変更が)環境に著しい影響を及ぼすのではないかといった特段の意見はございませんでしたが、…」と述べていおられますが、実際のところ、審議会においては「(今回の変更が)環境に著しい影響を及ぼすおそれがない」とする特段の意見もなかったのです。また審議会においては、建国記念文庫の杜の樹木や生態系の劣化、移植先の環境の変化(劣化)について懸念する質問・助言・意見が提出されており、これらの発言が委員からなされたということは、(今回の変更が)「環境に著しい影響を及ぼすおそれがない」とは必ずしもいえない、ということを示すものです。

以上のことから、私たちは、東京都知事に対し、今回の事業計画の変更の性質を適確に認識し、東京都環境影響評価条例63条に基づき、神宮外苑再開発事業の事業者に対し、変更後の事業計画についての環境影響評価手続の再度の実施を求めることを要請します。

皆様、この請願に署名して、私たちの要求を都知事に届けましょう。

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【参考条文】
■東京都環境影響評価条例
(事業内容の変更による手続の再実施)
第63条
 知事は、前条第一項の規定による変更の届出があつた対象事業について、当該変更が環境に著しい影響を及ぼすおそれがあると認めるときは、審議会の意見を聴いた上で、当該事業者に対し、既に完了している手続の全部又は一部を再度実施するよう求めるものとする。

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大方潤一郎(東京大学名誉教授) <https://habitat-lab.blogspot.com>

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大方 潤一郎署名発信者東京大学名誉教授(都市計画・専攻) 1954年生まれ。82年・東京大学都市工学科博士課程退学、同助手。84年・横浜国大建築学科・助手/助教授、96年・東京大学都市工学科・助教授・教授、2019年・明治大学特任教授を経て、東京大学名誉教授。工学博士。専門は都市計画、都市デザイン・コントロール、まちづくり条例など。主な著書に「協議型まちづくり」「地方分権時代のまちづくり条例」「都市計画根底から見なおし新たな挑戦へ」など。穂高町まちづくり審議会会長、鎌倉市、横須賀市、熱海市などの都市計画審議会会長などを歴任。

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2024年11月15日に作成されたオンライン署名