
TBSテレビNスタで三田市野焼き問題が取り上げられました。
間違い、誤解だらけの報道です。
https://jcc.jp/sp/jiken/33295/より引用
『兵庫県三田市では野焼きを巡り住民トラブルが起きている。
野焼きとは木の芽(土の上)は燃えて、草の芽や根(土の中)は燃えないため森林にせず草原を保てる。
野焼きによって水溶性の良質な肥料になる。
野焼きに詳しい阿蘇草原再生協議会・高橋佳孝会長は「野焼きは先人の知恵。日本の農業では伝統的に行われてきた」と話す。
野焼きは廃棄物処理法で原則禁止。
慣例的に行われているどんど焼きなど、農林業を営む上でやむを得ない場合に農家の野焼きは認められている。
農家は「野焼きができなくなったら死活問題」と話す。
野焼きは全国的にやらない方向に向かっている。
総務省郊外苦情調査(2016年)で、全国の地方自治体への苦情の約2割は野焼き。
新潟県では刈り取った稲わらを細かくして土に混ぜ込んだり、富山県は焼却炉で燃やしビニールハウスの暖房にしているが、コストが増す。
農薬散布でも2日前に窓を開けず洗濯物を干さないよう、お知らせを一軒一軒お願いしたが、洗濯物が干されていて諦める場合もある。
農道(農家が作業するために自分の土地に作った道など)に収穫期はトラクターを停めて作業するため、農家にとっては「自分の土地に停めている」感覚だが、新しく住んだ人は「邪魔だ」と農家とトラブルになることもある。』
問題点その1
草地野焼きと廃棄物野焼きを混同している。
草地野焼きとは、美しい草地(?)を維持するために春先に一斉に立ち枯れた茅や葦を焼き払うことです。
ここで問題になっているのは、廃棄物の野焼きです。
VTRに見られる野焼きはほとんどが刈り取った雑草です。
雑草を集めて処分するのが面倒でその場で燃やしているだけであり、草地保存や肥料のためではありません。ただのゴミ焼却です
農家が刈り取った雑草や作物残さは事業系一般廃棄物であり、原則焼却禁止となっています。
問題点その2
「農家の野焼きはOK」ではありません。
「やむを得ない」という言葉の意味をご存知ないのでしょうか。
廃棄物処理法第3条において、事業者は廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない責務と、国の政策に協力する責務が定められています。
環境基本法第8条、循環型社会形成推進基本法第11条、バイオマス活用推進基本法第16条も同様です。
国の政策として、農林水産省『環境と調和の取れた農業生産活動規範について(農業環境規範)』において、「作物残さ等の有機物についても利用や適正な処理に努める。」と書かれており、農業を営む事業者はこれに従う責務があります。
そういった大前提の上に、焼却禁止の例外「やむを得ない場合」があります。
やむを得ないとは、害虫の大発生などで熟考を重ねた結果、他にどうしようもない場合に用いるべきであって、「処理が面倒だから燃やす」のは廃棄物の適正処理の責務に反する法律違反となります。
そのため多くの自治体では燃やさない様に指導しています。
山形県の例
(1)剪定枝や稲わら等の農作物残さなどのうち循環利用が可能なものは資源として適正に利用を進める。
(2)資源として利用できない農作物残さなどは一般廃棄物に該当する。廃棄物の焼却は原則禁止されており、市町村等の焼却処分場等で処理する。
しかし、一部の市町村の環境担当者は法律の認識が不十分で、農業は燃やしてOKと誤解し、指導が全く行われていません。
農家とその他住民とトラブルになっているのはそのような市町村に限られた話です。
問題点その3
野焼きができなくなったら死活問題ではありません。
既に多くの自治体で野焼きしない指導が行われ、野焼きしない農家は多いです。
三田市と同じ兵庫県でも、次のようなネットの書き込み情報があります。
「兵庫県の別の地域(もっと田舎)に住んでいる祖父母の家に電話したところ、該当自治体では禁止されている(消防本部から通知が出ている)そうです。
野焼きについて聞いたところ、「必要ないのでは」とのことでした。
田んぼの藁も田んぼにすき込んでしまうので、焼く必要性はまったく感じないとのことでした。
また、畔の草も、刈った後ではなく刈る前が問題で、雑草と伸び放題にしてたら、多くの害虫がわくし、種も落ちるそうですが、きちんと刈っていたら害虫はあまりわまりわかないそうです。刈り取って枯らした草は集めて肥料にも出来るし、(水路に入らないように)畔に放置していても何ら問題はなく、費用をかけて処分する必要は感じないとのこと。」
特に、稲わらはほとんど全ての自治体ですき込みを指導しており、野焼きする農家は減少しています。
一部の農家だけコストを理由に野焼きを認めるのでは法の公平性が保てません。
本当に死活問題なのは、煙害で健康被害を受ける市民です。
野焼きの煙には一酸化炭素、ホルムアルデヒド、ベンゾピレン等の有害化学物質が含まれています。
煙が見えなくても「かなり臭うな」という時のPM2.5の値は軽く100を超えます(健康を害する恐れの値は70)。
また、喘息患者や化学物質過敏症患者は、わずかに臭う程度でも咳、頭痛、めまい、吐き気、倦怠感などの症状に悩まされています。
重度の患者は呼吸困難になり、救急搬送され入院しなければならなくなる場合もあります。
介護者がいなければ本当に死んでしまいます。
持病を持つ人は新興住宅地に限った事ではありません。
代々農業を営む人や、そこに嫁いだ人、その子息も持病に悩まされている場合もありますが、村八分が怖くて声に出せず、表に出ていないだけです。
報道機関としては「農家VS新住民」の構図にした方が視聴者の目を引きやすいのでしょうが、健康被害についても掘り下げなければ、真実を報道したことになりません。
問題点その4
野焼きと農薬と交通障害の問題を一緒にしてはいけません。
野焼きの問題は法律と健康被害の問題ですが、今回の報道では、まるで移住者がクレーマーのように受け取られます。
それともわざとクレーマーの様に印象付けて、農家の野焼きを正当化する狙いでもあったのでしょうか。
問題点その5
「年に一度くらい我慢するべき」という声が紹介されていましたが、農家のゴミ焼きは毎日の様に行われています。
一部農家の連日のゴミ野焼きのために、健全な日常生活を奪われる苦しみを想像してみて下さい。
どこに共存策を見いだせましょうか。
私は、今回の誤解を招く内容を訂正し、真実を再報道して下さるよう要望します。
野焼き被害者の方、TBSに抗議メール送りましょう。