
2022年10月26日
ご賛同者の皆さま
理研ネットは10月15日に「理研400人の雇止めSTOP! 署名倍加キャンペーン集会」を開催し、雇止め回避のために署名を広げることを呼びかけました。
9/30に理研が「新しい人事施策の導入について」を発表しました。一部メディアによって、問題が解決に向かうかのような報道が流布されています。しかし、理研は来年3月末に約400人の雇止めを強行しようとしており、問題は何も解決していません。
これについての見解をまとめました。お読みいただき、署名の拡散にご協力ください。
理研「新人事施策」は雇止め強行宣言
「STOP研究者の“使い捨て”」署名にご協力ください
10月15日 理研の非正規雇用問題を解決するネットワーク
9月30日に理化学研究所が「新しい人事施策の導入について」を発表しました。一部メディアが「理研、研究者の雇用期間上限撤廃へ 通算10年超も応募可」と報じるなど、問題が解決するかのような報道が流布されています。しかし、理研は来年3月末に約400人の雇止めを強行しようとしており、問題は何も解決していません。
理研は「通算契約期間の上限規制を撤廃」するとしていますが、新人事施策はその時期を明記していません。理研労働組合に対し、上限の撤廃は2023年4月1日と回答しており、来年3月末の雇止めは強行する構えです。
雇止め対象者が新たな研究プロジェクトに応募できるようにルールを改めるとしていますが、研究プロジェクトのテーマは限定されており、雇止めとなる研究者が採用される保証はどこにもありません。採用されなかった研究者は“使い捨て”となります。
就業規則から通算契約期間の上限の文言は削除されても、理研は労働契約法18条にもとづく無期転換に関する基本的な方針を変えていません。同条は、有期労働契約が更新されて通算5年、研究者の場合は10年を超えた時に、労働者が申し込みをすれば、無期労働契約に転換することを使用者に義務付けています(無期転換ルール)。多くの大学は、これに則り無条件に無期転換権を認めています。しかし、理研はこれを避けるために5年、10年で雇止めをする方針で対応してきました。「新人事施策」はこれを変えるとは明言していません。契約期間の上限の撤廃は、新規の公募において採用することを規程上可能とするだけです。今まで、通算契約期間の上限に達した際は新規の公募の応募資格がないとしてきたことを改善するものではありますが、職員の採用に際して無期転換権獲得する職員の審査が公正に行われることが担保されておらず、いわゆる「通算契約期間の上限の撤廃」とはいえません。
理研は、「プロジェクトの時限」が来年3月末だから雇止めをすると説明しています。しかし、理研の中長期目標(7年間)のプロジェクト研究の時限は3年後の2025年3月末です。来年3月末に雇止めにする本当の理由は、プロジェクト研究が終わるからではなくて、無期雇用転換ルールにもとづいて、労働者に無期雇用転換権が与えられるのを防ぐためであり、それは違法です。
雇止めに直面している研究者は、プロジェクトの途中で研究を打ち切られようとしています。「プロジェクトの時限」は、理事会がトップダウンで決めて研究者に押し付けているだけで、科学的な裏付けのある説明は一切ありません。そもそも、理研におけるプロジェクト研究の改廃は、理事会が決定していますが、議事録も公表されず、プロジェクト研究が廃止となる理由などについての説明はほとんどありません。
海外ではどうでしょうか。
たとえば、フランスの国立科学研究センター(CNRS)は、大学や他の公的研究機関、企業と連携して、千をこえる研究ユニットを構成して、プロジェクト研究を実施しています(『フランスの科学技術情勢』2019年8月)。研究ユニットは、5年に1度、研究・高等教育評価高等審議会(HCERES)の評価を受ける義務があり、これを受けてユニットの改廃が行われます。千人を超える専門家で構成される科学研究国家委員会(CoNRS)が、ユニットの創設や改廃に関する提言を行うこともあります。
つまり、CNRSのユニットの創設や改廃は、科学者による自治的でオープンな議論にもとづいて行われています。なぜ、ユニットの改廃についての議論がオープンにできるかといえば、研究者の約8割が正規雇用であり、ユニットの改廃が雇用問題に結びつかないからです。
理研は、任期付き雇用の研究者によってプロジェクト研究が担われていますが、これまでは雇用上限はなく、10年、20年と理研で研究を続けることができました。だからこそ理研は、世界トップクラスの研究水準を維持することができました。
しかし、来年3月末の約400人の研究系職員の雇止めの強行を許すならば、今後は無期雇用転換逃れのための雇止めが頻繁に起きることになります。そうなれば、研究者の雇用年数は短くなり、優秀な研究者が落ち着いて研究を行う環境は失われ、理研の研究水準の低下は避けられません。
研究水準を低下させる理研の雇止めをやめさせるためには、市民のみなさんの協力が必要です。
Change.orgの「STOP研究者の“使い捨て”」署名にご協力ください。