東北一の鮎釣りの清流、最上小国川にダムをつくらないで!

東北一の鮎釣りの清流、最上小国川にダムをつくらないで!
最上小国川は山形を貫流する最上川の支流の内、唯一ダムを持たない天然河川です。上流にはブナの原生林があり、生物多様性に富みアユ、サクラマスが生息。特にアユ釣りには全国から3万人訪れます。夏は年間7回もの友鮎釣りのトーナメント がおこなわれ、このアユ釣りだけ試算してもこの経済効果は年21.8億円。(近畿大有路研究室調べ)この自然資本が、今、最上小国川ダムという「穴あきダム」で破壊されようとしています。このダムは赤倉温泉地域の治水を主な目的としたダムであり総工費は約80億とされています。
私達、最上小国川の清流を守る会はこのダム建設の問題に取り組み、その一部有志は昨年9月25日には差し止めの訴訟を起こしています。(原告 高桑順一 共同代表)
そして、この川で100年以上漁業を営んできた小国川漁協は、河川環境の悪化を心配し、平成18年に決定した反対決議を貫いています。
しかし、山形県は、昨年10月よりこのダムの周辺工事を強行しはじめました。「穴あき(流水型)ダムならアユなどの生息に影響が少ない」などと主張し、環境悪化による悪影響を全く無視したまま、1万人以上の反対署名や訴訟を無視したままです。
森は海の恋人、そしてその仲人が川です。この上流にはブナの原生林があります。日本海、最上川、最上小国川で森と海をつなぐ良好な生態系が存在するからこそ、天然アユが大量に遡上し、サクラマスやサケもが遡上するのです。他にもカジカやウナギ、ハヤ、稀少種であるハナカジカ、スナヤツメが生息し、トウホクサンショウウオも上流に生息します。又、ここで放流されるアユはこの川のアユから採卵し、三瀬の孵化場で育てたアユであり、冷水病などがほぼ皆無で、生態がほぼ天然同様です。これは小国川漁協が県試験場とともに全国で初めて取り組み評価されている先例です。特産のアユ「松原アユ」は明治天皇への献上品でもあります。
又、サクラマスは今、全国で準絶滅危惧種になりました。今周辺工事が強行されているダムサイトは、ヤマメ、サクラマスの良好な産卵場所です。
ダム建設は、その建設の時点で環境を破壊し、今まで永きにわたって築き上げられてきた絶妙な生態系を瞬時に破壊します。生物多様性は飛行機の部品のようなものであり、その地域の自然破壊や例えばアユやサクラマスの生態に、その何の要素の欠落により深刻なダメージを与えるかは、研究は段々に進んできてはいるものの、全ては解明されているわけではありません。ですから、絶対に乱暴な判断をすべきではないのです。日本での「穴あきダム」流水型ダムの先例は、2つしかなくその2例の益田川も犀川も上流に大きな貯水ダムがあって、穴あきダムを造る以前に清流環境ではありませんでした。上流に大型ダムをもたない小国川とは全く違う環境です。2013年10月5日、赤倉温泉での講演で京大防災研 竹門康弘先生は、流水型ダムでも小国川の環境に影響を与えかねない事を科学的に明らかにしました。穴あきダムも巨大なコンクリート構造物に変わりなく、環境インパクトははかりしれません。
吉村知事や県の姿勢はこの生物多様性や自然界の絶妙なバランスについてもあまりにも無知で乱暴な判断をしています。
治水の焦点である赤倉温泉街を安全にできる方策はダムの他にもあり、川辺孝幸 山形大学、今本博健、京大名誉教授、大熊孝 新潟大学ら複数の科学者とともにダムに拠らない治水の代替プランについても提案をし続けています。ダムに依らない治水方策について県はこれまで基本的に無視し、十分な検討や調査をおこなわず、とにかく「やれない理由」だけをつけてやダムの方が有利な理由をつくりあげ、流域住民、漁協に説明をオウム返しのように繰り返ししてきただけでした。
赤倉温泉の安全安心を叶え、持続可能な流域地域をつくるには、ダム建設ではなく、河川改修をおこない、それとともに赤倉温泉を再生させる、総合的な治水対策こそ最善の策です。今や「ダムのない清流」こそ、観光資源であり、山形県随一、アユ生産額1億3千万円をずっと継続してきた小国川漁協の日々の営みこそ県の宝です。それを守り、次世代に手渡したいのです。先ずは全国的にも貴重な自然環境を有する最上小国川のダム建設を止めたいのです。どうぞ、ご協力お願いします。
漁業権をもつ「小国川漁協」はダム反対を貫いています。そのため、県は川の中にはいっての本体工事ができない状況が続いています。
- 2013年の年末、2014年1月1日に更新の際の小国川漁協の漁業権に対し、許認可権をもつ山形県がその認可を認めない可能性があるなどと脅しをかけ、ダム建設を承諾させようとする前代未聞の事件がありました。漁業権は財産権であり、こんな暴挙は許されません。その際、提示した回答書に記された小国川漁協の姿勢は以下です。
最上小国川の治水対策について
最上小国川はダムのない川であるが故に、ことさら「清流小国川」として広く知れ渡り、最上町と舟形町のかけがいのない観光資源であり、流域の人々に計り知れない多くの恵みをもたらしていることは誰もが認めることであります。
小国川漁業協同組合は、川に生息している魚族の生態系を守ること及び繁殖保護に努めることを使命として、永年努力してきております。
ダムが造られれば、これまでの自然環境に変化を及ぼし、特に河川の生態系に悪影響が及ぶことを回避することはできません。生息している魚族の生態系を守り、これらの増殖保護を行いながら良好な漁場を維持していくことを使命とし、豊かな自然環境を後世に引き継ぐため努力している私共小国川漁業協同組合は、ダム建設を看過することはできないのです。
小国川に育っている魚種は、質、量とも一級品として多くの人々から認められ、自然豊かな素晴らしい川として羨望され、たくさんの釣り人が訪れるのです。
恵まれた自然環境は、人の手によって造られたものではありません。多くの豊かな漁場があり、「清流小国川」として広く世間に認められている大きな観光資源を未来に引き継ぐためにも、最上小国川の治水対策はダムに拠らない対策を要望します。
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私達は、今後の流域の持続可能な発展のためにも、又、次世代の子ども達のためにも、志をもって反対をし続けている小国川漁協を応援し、東北一のアユの清流、小国川をなんとしても守りたいのです。
どうぞよろしくお願いします。