札幌市の公立小中学校に冷房(エアコン)の設置を!

札幌市の公立小中学校に冷房(エアコン)の設置を!
私は札幌市内の小学校に通う子どもを持つ者です。
今夏、札幌は猛暑に見舞われ、1924年以来97年ぶりの13日連続真夏日を記録しました。気象予報士が「危険な暑さ」と警告していたのは記憶に新しいと思います。
しかし、札幌市の小中学校には冷房設備(エアコン/クーラー)が十分に設置されていません。
文部科学省が2020年9月に発表した調査によると、道内の小中学校における冷房の設置率は4.3%、札幌市はそれを下回るわずか3.4%です。(全国平均は92.8%)また、設置されている教室は多くが保健室などの特別教室で、普通学級への普及はほとんど進んでいません。
子どもたちを熱中症から守り、落ち着いて勉強ができる環境を与えられるよう、札幌市内の全公立小中学校に早急に冷房の設置を求めます。
署名は札幌市、札幌市教育委員会に提出予定です。
※部屋を冷房する設備の呼び名としては、「エアコン」または「クーラー」を使用するのが一般的ですが、文部科学省等の資料では「空調」または「冷房」としていることが多いこと、また「エアコン」では冷暖房設備と誤解される可能性があることを懸念して、ここでは一部の場合を除き「冷房」と統一します。
■冷房を設置するメリット
- 子どもを熱中症から守り、落ち着いて勉強できる環境を提供できる。
- 学校で働く教職員に快適な職場環境を提供できる。
- 災害時、避難所として運営する際により多くの人に安全で快適な環境を提供できる。
■予想される意見に対して
★冷房を使用することで子どもの心身が弱くなるのではないか?
北海道では、冷房がない小中学校時代を過ごしてきた方が大半です。冷房を使用することで、子どもたちの成長を不安に思う方もいるでしょう。
しかし冷房を使用しないこと、また熱中症になったことで体が丈夫になるというエビデンスは見つけられません。また、冷房を使用している子どもと、冷房を使用していない子どもで心身の強さに差異があったという結果も見つけられませんでした。
「冷房を使用すると汗腺が発達しないのではないか」「クーラーの効いた部屋にいて汗をかかずにいると、暑さに弱くなるのではないか」という方もいますが、子どもたちは登下校や体育の授業、遊びなどを通して十分に汗をかいています。
多くの大人たちは冷房の効いた涼しい環境で仕事をしています。「教育のため」「体を強くするため」という科学的根拠のない考えで、子どもたちに過酷な環境を押し付けてよいとはいえません。
★比較的寒冷である札幌市に冷房はぜいたく品ではないのか?
「夏日や猛暑日が少ない札幌は冷房がなくても大丈夫」「寒冷地ではすでに暖房もあるのに、冷房も使うなんてぜいたくだ」と考える方もいるでしょう。
しかし、札幌市の年平均気温は、過去100年間で2℃以上も上昇しています。また1日の最高気温や最低気温も上昇しています。これは札幌市の環境教育プログラムにも記載があり、小学生でも勉強します。
今年、札幌の真夏日は18日連続となり97年ぶりに記録を更新しました。昨年も28℃以上となった日は32日(うち8月は17日)、30℃以上の真夏日は12日ありました。
札幌市や日本各地でヒートアイランド現象や地球温暖化による気温の上昇が進んでいることを考えると、今後も気温の上昇は予想されます。
また、環境省熱中症予防情報サイトでは「冷夏でも熱中症は発生する可能性がある」と注意喚起をしています。
市内の各役所や図書館、児童会館など多くの公共施設に冷房が導入されていることから考えても、子どもを熱中症から守るためには、冷房は決して「ぜいたく品」ではありません。
★暑さが続くのは、学校の夏休み期間中なのでは?
2021年度の夏休み期間は、小学校が7/24~8/17、中学校が7/22~8/22です。気象データを見ると、2021年は7/24の夏休み開始までに最高気温が28度を超える日が7月は11日、6月は5日ありました。
文部科学省は「学校環境衛生管理マニュアル」のなかで望ましい温度の基準を「17℃以上、28℃以下」としています。
ひとつの教室に30人以上の児童生徒が集まることを考えると、室温や体感温度はさらに高くなり、これより低い気温でも熱中症の危険性はあるでしょう。これに加え、近年では9月も残暑が続くことは珍しくありません。
夏の暑さは毎年必ずやってくるもので対策なしに避けられるものではありませんし、猛暑は今年だけとは限りません。統計からみても、札幌市をはじめ全国的に気温は上がりつつあり、夏休み期間以外でも熱中症のリスクは高まっています。
子どもに「暑さは数日だから耐えろ」と熱中症のリスクを負わせるのはあまりに無責任ではないでしょうか。
また、夏休み期間中も教職員は冷房がない職員室で働いています。学校内で働く教職員のためにも、冷房は設置すべきと考えます。
さらに、冷房の導入は夏場に災害が起きた際の暑さ対策にもなります。避難場所に指定されている小中学校の各教室に冷房が設置されれば、より多くの方に安全で快適な環境を与え、安心して避難することができるでしょう。
★札幌市に冷房を設置する予算はないのでは?
冷房を導入するのであれば、公平性を考えるとすべての学校のすべての教室に冷房を導入する必要があります。もちろん設置には莫大な予算が必要であること、電気代など市の財政的負担が増えることは否めません。
しかし、道内のなかにも寿都町で100%、小清水町で74.4%(普通教室は100%)など、高い冷房設置率をほこっているところもあります。「学校数や街の規模が違う」という方もいるかもしれませんが、全国的にみると小中学校における冷房設置率は92.8%で、他の都府県では多くの市町村が予算を割いています。
小中学生は通算9年間、多くの時間を学校で過ごします。予算がないことを言い訳に、いつまでも子どもたちを過酷な環境においていてよいのでしょうか。
★学校も扇風機などで暑さ対策をしているのでは?
もちろん学校側でも、扇風機の活用や換気、水筒を持参するなど熱中症予防をしていると見聞きしています(後述)。しかし、自衛には限界があり、とくに小学生などの低年齢層では、体温調節機能が未発達であること、自分で自らの体調の変化を訴えられないことがあることなどから、扇風機や換気のみでは十分な対策とはいえないと考えます。
昨年3月に行われた市議会において、
『暑さ対策に関する調査結果として、特に暑さが著しい教室があると回答した学校は約7割、暑さが著しい教室の多くは、校舎の3階または4階といった最上階の教室である。』
という旨の発言がありました。
(令和2年第一部予算特別委員会-03月25日-05号 永本学校施設担当部長より)
今年の猛暑では、自宅や職場に冷房がなく、つらい思いをした方、熱中症の危険を感じた方も多いのではないでしょうか。子どもを過酷な環境から守るのは、声を上げることができる私たち大人の役割です。
★コロナ禍において冷房を使用すると、教室内にウイルスが拡散されるのでは?
文部科学省「学校における新型コロナウイルス感染症 に関する衛生管理マニュアル」において 『エアコン使用時においても換気は必要』と記載はあるものの、冷房の使用を禁止する文言はありません。多くの公共施設では冷房が使用されていますし、他の都府県では学校でも冷房が使用されています。
■札幌市の現状
- 小・中学校での全普通教室への扇風機導入率 81.6%
- 保健室への移動式エアコン等の設置率 90.8%
- 約2割の学校の普通教室と約1割の学校の職員室に移動式エアコン等を導入
(令和2年第一部決算特別委員会-10月16日-05号/松原学校施設担当部長より)
■ご署名前される方へ
ご署名いただくと、本署名サイトChange.org様から寄付の呼びかけが表示されますが、私個人とは全く関係ありません。また寄付しなくても賛同いただけます。寄付についてのお問い合わせや解除は、Change.org様へご連絡をお願い申し上げます。また、「寄付なし」でも署名としてカウントされますのでご安心ください。
■参考・資料URL
国立成育医療研究センター 病気に関する情報 熱中症(熱射病)
http://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/heatstroke.html
札幌市環境教育プログラム-実践編-小学校編 上昇する札幌の気温 (5年)- 札幌市
https://www.city.sapporo.jp/kankyo/kankyo_kyoiku/program/documents/07.pdf
公立学校施設の空調(冷房)設備の設置状況について- 文部科学省
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/31/09/__icsFiles/afieldfile/2019/09/19/1421285_1.pdf
公立小中学校の空調(冷房)設備設置状況- 文部科学省
https://www.mext.go.jp/content/20210316-mxt_sisetujo-000013462_11.pdf
公立学校施設の空調(冷房)設備の今後について- 文部科学省
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyosei/mext_00943.html
2.高齢者と子どもの注意事項 - 環境省熱中症予防情報サイト
http://www.wbgt.env.go.jp/pdf/manual/heatillness_manual_3-2.pdf
避難所となる学校施設の防災機能に関する事例集- 文部科学省
https://www.mext.go.jp/content/20200331-mxt_bousai-000005480_02.pdf
学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル~「学校の新しい生活様式」~- 文部科学省
https://www.mext.go.jp/a_menu/coronavirus/mext_00029.html
「新しい生活様式」における熱中症予防行動のポイント- 厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_coronanettyuu.html
学校環境衛生管理マニュアル「学校環境衛生基準」の理論と実践【平成30年度改訂版】- 文部科学省
札幌市議会会議録 令和2年第一部予算特別委員会-03月25日-05号
札幌市議会会議録 令和2年第一部決算特別委員会-10月16日-05号