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「チラシ・図録なし」の戦争画展、その真相とは? 東京国立近代美術館の担当者に「異例」の対応について聞いた【戦後80年特集】
「コレクションを中心とした特集 記録をひらく 記憶をつむぐ」展が東京国立近代美術館で10月26日まで開催中。戦争記録画24点を展示する最大規模の「戦争画」展は、なぜ「ひっそり」開催されているのか。戦争画はいまだタブーなのか、同館に取材した(撮影:TAB編集部・灰咲光那)
開催の予算に関する記事から一部を抜粋
美術館回答「共催取りやめ、予算の都合」
なぜ本展は異例の広報体制なのか、TAB編集部と筆者は東京国立近代美術館の大谷省吾副館長にメールを送るかたちで取材を行い、展覧会担当者からメールによる回答を得た。なお、本展の主担当は鈴木勝雄企画課長、副担当は大谷副館長と佐原しおり研究員が務めた。
展覧会担当者は回答で、チラシやカタログを作成しなかったのは「ひとえに予算の都合によるもの」と説明。
当初メディアとの共催展を想定して準備を進めたものの、共催展は観客動員を図る様々な広報策を講じる必要があるが、本展を「センセーショナルなものにすることは美術館の本意ではない」ことや、学術的研究に基づきデリケートなメッセージを鑑賞者に伝えることを企図したため、途中段階で共催展を取りやめ、館のみの自主展に切り替えたと明かした。
回答は国立美術館が自主展のための予算がきわめて限られる現状を指摘し、限定的な予算の使途を検討した結果、遠隔地もある他機関(福岡アジア美術館、筥崎宮、広島平和祈念資料館など)からの借用作品の輸送費捻出と、すべての解説文をバイリンガル(日英)にするため「チラシとカタログに予算を割くことを断念しました」と述べた。
カタログの不作成は「担当者としても不本意で、現場レベルではなんとか記録だけでも残したいと思いつつも現段階ではまだ具体的な方向性を見いだせていません」と苦渋をにじませた。