文部科学省と各大学にアカデミックハラスメント対策を徹底し,被害者の保護とケアを最優先するよう求めます

ある学生が指導教員にいわれた暴言.

「来年以降は君みたいな方針では指導しないから」,「(君のような)失敗例を作りたくない」

今,日本の大学は,運営費交付金の減少や不安定な若手研究者の雇用,ポスドクなど様々な問題に直面しています.しかし,これらの問題が顕在化する以前より,あまり知られていない大きな人権問題,アカデミックハラスメントを抱えています.

アカデミックハラスメントとは,大学や研究機関におけるいじめや嫌がらせ,セクハラ全般を指しますが,特に教育,研究の場における権力を利用した嫌がらせのことをいいます.具体的には,教授などが下位の教員や学生に対し,侮辱的な言動以外にも,研究テーマを押しつける,妨害をする,成果を奪ったり公表を妨害する,研究費の管理を認めない,教育・研究に無関係の雑務を強要する,卒業させないと脅す,指導を放棄する,などがあります.場合によっては,ものを投げつけたり,実験装置を壊されるなど,暴行や器物破損に該当する行為さえあります.たとえば,冒頭の暴言を投げかけられた学生は

「毎週のように「例年の学生に比べて進捗が遅れている」と打ち合わせで言われ続けました.例年の学生ならば1ヶ月前にはこれぐらいできているはず…など.確かに進捗は遅れ気味でしたが,しかし,毎週のように言われ続けると,自分は”例年の学生”とやらに比べて能力的に大きく劣っていると言われているように段々聞こえてきて不快な気分になりました」

とも証言しています.このようにこれまでにも様々なハラスメント事例が報告されているものの,おそらくこれらは氷山の一角に過ぎません.現在,河野太郎衆議院議員が文部科学省に,実態を調査するようにと指示をしているようですが(2017年1月12日河野議員ブログ ごまめの歯ぎしり),今までこのような調査さえ行われていなかったのが実情です.

 最大の問題は,多くのケースでハラスメント対応窓口が実質的に機能していないことです.そのため,被害を申し出た被害者側が加害者側からさらなる不利益を被り,解決がいっそう難しくなるケース,ハラスメントが長期化することで、教員や学生がうつ病を患ったり,自殺にまで至ったりするケースが報告されています.ハラスメント対応窓口が実際に行った被害者への対応として,以下のような事例が報告されています.

  • ハラスメントを相談した事実が加害者側に漏洩し,ハラスメントが悪化した.
  • ハラスメントを受けたために精神科に通院したことを証明する書類を持参したとこころ,ハラスメントに起因するものではなく,当人に問題が有った事の証拠として採用された.
  • 学生相談室のカウンセラーに相談したところ,事務方→学科の長→当該教員に注意という流れになり,結果としてハラスメントが悪化した.
  • 学生相談室のカウンセラーに相談したところ,教職員総出で相談内容をもみ消すための根回しが行われた.
  • ハラスメントを受けた被害者から相談を受けた別の教員が,ハラスメント対応窓口に代理人として相談に行ったところ,別の教員から研究の邪魔をされる等の不利益を受けた.

このように大学のハラスメント対応窓口が実質的に機能していないのは,不祥事が発覚すると大学としてマイナスの評価を受けるなどの理由が考えられます.本来は,むしろハラスメントに適切に対処した場合,積極的に評価されるべきです.

 現在もハラスメントに悩んでいる学生は多くいます.その大半が窓口で相談を握りつぶされたり,申し立てもできず泣き寝入りしている状況にあります.教員によるハラスメントが辛かったら,学生は大学をやめればいいという方もいらっしゃるかもしれません.学生たちは義務教育から,そして大学における研究活動まで多額の税金を投じて教育がされており,将来,日本のために活躍することを期待されています. そんな学生がアカデミックハラスメントによって,たとえば適応障害を発症したり,場合によっては退学に追い込まれるというのは,大きな国家的損失であるといわざるを得ません.

ハラスメントは,直接の被害者ではない周囲の研究者・学生にも無力感をもたらします.ますます研究・教育成果が求められる大学においては,ハラスメント問題はパフォーマンスの低下要因以外のなにものでもありません.したがって,アカデミックハラスメントは大学だけの問題と考えるのではなく,社会全体の問題として捉えるべきです

 我々は,アカデミックハラスメント対応の徹底化を求めます.具体的には,学内ではなく外部に,専門のカウンセラーや人権問題を専門とする法曹関係者らからなる中立的な機関を新たに設けるべきであると考えます.さらに悪質なハラスメントを行った教員は懲戒し,場合によっては刑事事件とし,ハラスメントはひとの命さえも奪いかねない犯罪的行為であり,絶対に許されないという社会的コンセンサスの形成も必要です.

アカデミックハラスメント対策が必要との声を文部科学省と各大学に届け,アカデミックハラスメントは許さないというコンセンサスを形成しましょう.是非,アカデミックハラスメントという問題を解決し日本の大学が活力を取り戻すために,多くの方のご賛同とソーシャルメディアでの拡散をお願いします

This petition will be delivered to:
  • 松野文部科学大臣
  • 河野太郎議員

    日本の大学の未来を守る会 started this petition with a single signature, and now has 571 supporters. Start a petition today to change something you care about.