放射能汚染水を海洋放出しないで

放射能汚染水を海洋放出しないで
「海はゴミ箱じゃない」とプロダイバーの武本匡弘さんは語ります。武本さんは40年間、海の姿を間近で見つめてきました。この間、サンゴの白化やプラスチック汚染など海は痛めつけられてきましたが、今議論されているのは放射能汚染水を海に放出する案です。
現在、東京電力福島第一原子力発電所には、100万トンを超える放射能汚染水が保管され、今この瞬間も増え続けています。
福島県新地町で3代目を営む漁師は「汚染水放出があれば魚を買ってもらえなくなり、また復興が遠ざかる」と語り、福島で放射線量を公開しながらカフェを経営するオーナーも「原発事故の影響が大きかったことをどれくらい政治や経済を担っている人が実感しているのか」と嘆いています。
原田元環境大臣は、汚染水の処理する方法として、太平洋へ「放出しかない」と発言しましたが、処理方法は国の審議会でまだ議論されている最中です。安易に放出せず、当面保管しながら、放射性物質をしっかり除く技術を開発するという選択肢があります。
私たちグリーンピースは、国際海事機関(IMO)の会合で、日本政府に放射能汚染水の海洋放出をしないよう求めてきました。10月にロンドンで行われた国際会議でも国連加盟国に直接訴えているところです。みなさんの署名は、国際海事機関、国連人権機関へ働きかけるためにも、大きな力になります。
汚染水の処理には不安が残ります。2018年9月には、トリチウム以外は除去できるはずの多核種除去施設で、ストロンチウム90やヨウ素129などが処理した放射能汚染水の80%に残ったままであったことが明らかになりました。処理水が基準値以上の放射能を含んでいること、それを東電が市民にわかりやすい形で情報公開してこなかったことなども問題視され、その後の公聴会では、海洋放出に対して反対意見が多数を占めています。
トリチウムは生物に与えるリスクが無視できるレベルに低減するまでに120年以上かかります。人体に取り込まれれば遺伝子を傷つける恐れがあります。カナダ、アメリカ、イギリスなどにはトリチウム分離施設が存在します。日本でもこれらのすでに実用されている技術を参考に、分離技術を開発すべきです。
・放射能汚染水の意図的な放出はおこなわないこと。
・放射能汚染水は長期保管とし、並行してトリチウム分離技術を開発適用すること。
この二つを求めて、みなさん一緒に声をあげてくれませんか?海の恵み、自然の豊かさ、復興に必要となる食への安心感は一度失われてしまっては、取り戻すことが難しいのです。一緒に力を貸してください。
プレスリリース2019.10.10「中国、韓国、チリが放射能汚染水への憂慮を表明 ーーロンドン条約/議定書締約国会議」
ブログ2019.10.3「汚染水タンク、“やっぱり”まだ置ける– 国の小委員会傍聴記」
プレスリリース2019.10.1「汚染水海洋放出に「反対」50.8% 「福島県だけでなく、日本・世界全体に悪影響を与える」