拙速に成立した、私達の尊厳を奪う「スーパーシティ法」の廃止を求めます

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2020年5月27日に参議院本会議で「国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案」(いわゆる「スーパーシティ法案」)が成立してしまいました。本法案は、2019年6月7日に国会に提出されたものの廃案となっていましたが、今年2月4日に再び国会に提出され、4月2日に衆議院で審議入りをしてからわずか二ヶ月足らずという短期間で十分な議論がなされないまま、報道の数も少ないこともあり、多くの市民が知らない間に採決されました。

参議院における地方創生及び消費者問題に関する特別委員会委員会では、15項目にも及ぶ付帯決議が採択されましたが、これらは本来、立法前に議論されるべきことばかりです。あまりに多くのことが明確になっていないまま成立を許したことに抗議するとともに、「国家戦略特別区域法の一部を改正する法律」の廃止を強く求めます。

「スーパーシティ法」の何が問題か
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国(内閣府)、企業、自治体によって構成される「ミニ独立政府」をつくり、そこに暮らす住民の個人情報を集中管理して、人工知能(AI)やビックデータを活用し、住民が抱える社会的課題を解決する「まるごと未来都市」を目指すという構想です。

例えば、移動、物流、支払い、行政、医療・介護、教育、エネルギー・水、環境・ゴミ、防犯、防災・安全など、少なくとも5つ以上の分野間でデータ連携をすることで、いつでもどこでも必要な移動や配送サービスを受けられたり、行政手続きを効率的に処理できたり、家にいながら医療・介護を受けられるようにすると言います。

便利になることは誰も否定してません。しかし、主に次のような懸念が残されています:

■ プライバシーは守られるの? 私達の同意は?

現在は、分野ごとで、本人の同意のもと行われている個人情報の提供が、初めて一括管理・利用しようというものです。

先端的区域データ活用事業活動に必要だと判断されれば、企業は国や自治体、公共機関が保有する個人情報の提供を求めることができてしまう。それどころか、公益を害さないものであれば、国が持つ個人情報を、本人の同意なく、企業に対し提供できるとさえしていて、私達の知らないところで、私達の個人情報のやりとりがなされ、いつ、どこで、どのように使われているか、分からなくなってしまいます。

また、無数のカメラによって、日々の行動を監視されることも大きな問題です。顔認証などの生体認証によって、いつ、どこにいるか、誰と会ったか、何を買ったかなどの情報が収集・管理され、こうして集積された情報がどのように使われるのかも、私達自身が知ることができません。さらに、個人を特定し、SNSの情報などと突合すれば、その人の思想や人格に関する情報も加わり、プロファイリングされる可能性もあります。こうしたことは、都合の悪い市民に対して制裁を加えるなど、市民の選別、優遇、排除、制裁を可能にする国家による統制に関わる大きな問題に及びます。

このように、サービスの多くが情報連携のもと行われるこの「スーパーシティ」で、果たして私達は個人情報の提供を拒否できるのかさえ分かりません。拒否してしまうと生活ができなくなるなど、事実上個人情報の提供をせざるを得ないようなことにはならないかも心配です。

■ 主役は誰? 

「スーパーシティ 」では、事業等詳細を決める「区域会議」を設けるとされていますが、国(内閣府担当大臣 )、自治体(首長)、民間(企業)で構成するとされており、住民の参加が明記されていません。「住民目線」で未来都市の実現を目指すと言いながら、実質的には住民抜きで国や企業のやりたいように意思決定がなされてしまうのではないか、という懸念が指摘され続けています。

委員会における答弁で、担当者は、法律上住民の参加を義務づける規定がないことを認めた上で、「運用上、住民の代表の方にも参画していただくことを想定している」と曖昧な答弁を繰り返し、最後まで、重要な意思決定の場に住民が参加し、住民の意向が反映される担保もないまま、採決されてしまいました。

「スーパーシティ法」を廃止に
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分野ごとに見てみれば、最先端技術の活用を必要とする人やそれに利便性を感じる人もいると思います。しかし、便利か否かは個々人が決めることであって、国に強制されるものでは決してありません。それぞれが同意のもと、選択するものです。そもそも、こうした情報連携による「まるごと未来都市」という絵は、私達が望んで描かれたものではありません。

市民の個人情報を集中管理・利用する、という未だかつて踏み込むことができていなかった領域に踏み込もうという重大な構想にもかかわらず、そこに暮らすことになる私達市民にきちんとした説明もなく、「利便性」という大義のもと、私達の同意なしに情報連携をしようとし、利活用を図ろうとすること自体、身勝手極まりなく、プライバシーや人権を踏みにじるものだと思っています。

現に、カナダ・トロントでは、監視やプライバシーの観点から住民の反対により頓挫しています。

〔参考〕
カナダは「グーグルの実験マウスではない」トロント再開発めぐり人権団体が反発|BBC 2019.04.17

https://www.bbc.com/japanese/47957788

グーグルの兄弟会社Sidewalk Labs、トロントのスマートシティ計画を断念|CNET News 2020.05.08
https://japan.cnet.com/article/35153431/

グーグルがトロントで夢見た「未来都市」の挫折が意味すること|WIRED 2020.05.09
https://wired.jp/2020/05/09/alphabets-sidewalk-labs-scraps-ambitious-toronto-project/

さらに、前述の通り、運用のなされ方がほとんど決まっておらず、運用しようとしている方々自身、説明もできない構想に、私達の税金が投入されようとしていることも大いに疑問です。

このようにプロセスが極めて乱暴で、私達市民の尊厳を奪い民主主義とは相容れない「スーパーシティ法」の廃止を強く求め、国会へ「国家戦略特別区域法の一部を改正する法律を廃止する法律案」の提出を要望いたします。

#スーパーシティ法の廃止を求めます

〔参考〕
国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案 議案要旨
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/201/pdf/58020150.pdf

内閣府 国家戦略特区「スーパーシティ」
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/supercity/openlabo/supercitycontents.html