最近、「フタル酸エステル」のDEHP等が、2018年の世界の心疾患死の10%超と関連がある可能性や、約200万人の早産と7万4千人の新生児死亡に関係がある可能性を示唆した研究結果が報じられました。
詳細は、以下のCNN記事をご参照ください。
https://www.cnn.co.jp/fringe/35245917.html
https://www.cnn.co.jp/fringe/35245883.html
「香り」とはヒトの嗅覚が感知できる、空気中を漂う「におい物質」です。
「におい物質」には揮発性があり、多くは親油性です。「香料」を作るには、「におい物質を溶剤に溶かす工程」が必要で、単体の「におい物質」が100種類以上ブレンドされ配合されています。
さらに、その「におい物質」の揮発を抑えるための保留剤として「フタル酸エステル類」が添加されることがあります。
「フタル酸エステル類」というのは、似た化学構造と性質を持つ多くの物質の総称です。プラスチックに柔軟性を与える「可塑剤」して、幅広く大量に使われています。プラスチック製品からは、実は、じわじわとフタル酸エステル類が揮発しています。他にも、身近なところでは、香料、化粧品、消しゴムなどにも、フタル酸エステル類が用いられているものがあります。
生活用品を大量生産するときには、便利な化学物質として使われてきたのですが、実は、様々な有害性が明らかになっています。有名なのは、「環境ホルモン」作用です。健康や生殖に関わる毒性があるため、子どもの玩具や乳児用品への使用に関しては、日本国内でも規制があります。
また、2種類の「フタル酸エステル(DEHPフタル酸ジエチルヘキシル、DBPフタル酸ジブチル)」は、シックハウス症候群の原因物質として、厚生労働省によって室内濃度指針値が定められています。
厚生労働省の研究班は、室内のほこりに含まれる「フタル酸エステル類」が、子どものアレルギーや喘息に影響を与えることを報告しています。
有害性のある「フタル酸エステル類」ですが、香料に配合されているかどうかは、製品のラベルに表示されておらず、開示もされていません。消費者は、香料の入っている製品の使用を避けることが自衛策になります。
ですから、成長途上で、化学物質の影響を受けやすい子どもたちは、無香料の空気環境で過ごす必要があるのです。
厚生労働省研究班による「科学的根拠に基づくシックハウス症候群相談マニュアル(改訂新版)」の211ページには、下記のようなQ&Aが記載されています。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000155147.pdf
Q12. アロマなどのにおいのきつい柔軟剤は⼦供に影響はないでしょうか︖
A 柔軟剤などに含まれるにおい成分は、揮発性が高い化学物質です。また、香りが長く留まるように保留剤としてフタル酸エステル類が利用されることもあります。室内濃度が高くなるとシックハウス症候群の原因となる可能性がありますので、過度な使用は避け、換気不足にならないように注意してください。
上記のように、厚生労働省は「におい成分」と「フタル酸エステル類」について、子どもの健康に悪影響が出る可能性を注意喚起しています。
文部科学省は、無香料を推奨することにためらう理由はありません。
(なお、教室の空気環境の基準を定めた、文部科学省の「学校環境衛生基準」には、厚生労働省が室内濃度指針値を定めている、二つの「フタル酸エステル類」が含まれていません。この点も文部科学省には改善を求めて行きたいところです。)
*フタル酸エステル類の詳細については、ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議の下記の解説をどうぞ。

