孤立死産したベトナム人技能実習生グエットさんの無罪判決を求めます!

この方々が賛同しました
川端 聡子さんと19名の他の方が最近賛同しました。

署名活動の主旨

ENGLISH 

ベトナム人技能実習生のグエットさんは来日前から「妊娠したら帰国」と繰り返し言われていたため、2023年12月に妊娠に気づいた後も誰にも相談できずにいました。2024年2月2日、知人宅で一人突然の出産を迎えましたが、残念ながら死産でした。大量出血とそれに伴う酸欠状態等で何度も失神し、死産から約8時間後、帰宅した知人に病院へ連れて行かれ、診察時に警察へ通報され、子どもの遺体を適切に処置しなかったとして死体遺棄罪で起訴されました。彼女は一貫して「子どもを捨てたのではなく、どうすればいいかも考えれなかった」と無罪を主張してきましたが、2025年3月7日、福岡地方裁判所は不当にも有罪判決(懲役1年6月執行猶予3年)を言い渡しました。そして、2025年11月4日、福岡高等裁判所は1審の有罪判決を支持し、控訴を棄却しました。グエットさんは、この判決を不服として、最高裁判所へ上告し、2026年1月13日に最高裁に上告趣意書を提出しました。しかし、2026年3月9日付で最高裁判所第二小法廷(三浦守裁判長)は、グエットさんの上告の申立てを棄却する決定を行い、上告棄却決定に対して行った異議申立に対しても、最高裁判所は異議申立の棄却決定を2026年3月27日付で行い、2026年4月1日に主任弁護人に届きました。これで刑事裁判 死体遺棄被告事件は、一審福岡地裁の有罪判決(懲役1年6月、執行猶予3年)が確定することになりました。

ベトナム人技能実習生グエットさんの上告棄却決定及び異議申立棄却決定に対する抗議声明

最高裁判所(第二小法廷)は2026年3月9日、グエットさんの上告を棄却しました。また。そして同年3月13日上告棄却決定に対する異議申立に対しても、同年3月27日棄却を決定しました。この決定は、孤立出産という深刻な社会問題に対して司法が真正面から向き合うことを避けたものであり、極めて不当だと言わざるを得ません。

弁護団が最高裁に提出した上告趣意書は、本件が単なる死体遺棄事件ではなく、外国人技能実習生という極めて弱い立場に置かれた女性が、妊娠・出産に関する情報や医療、社会的支援から切り離され、孤立したまま死産に至ったという構造的問題を含む事件であることを指摘していました。また、本件が憲法上の権利侵害にあたる可能性があること、妊娠・出産という女性特有の状況を十分に考慮しない刑事判断が、結果として女性にのみ不利益をもたらす間接差別にあたること、さらに外国人・女性という立場が重なることによる交差性差別の問題についても訴えていました。それにもかかわらず、最高裁はこれらの重要な問題について実質的な検討を行うことなく、「上告理由に当たらない」として退けました。この決定は、孤立出産に追い込まれた女性の現実を見ようとせず、その責任を女性一人に負わせるものです。本来問われるべき日本社会の構造的問題に目を向けないまま、不正義をそのまま認めてしまう判断であると言わざるを得ません。

リプロダクティブ・ジャスティスの観点から見れば、すべての人が安全で尊厳のある環境の中で妊娠・出産・子育てに関する選択を行うことができる社会が実現されなければなりません。しかし日本では、子どもを持つ権利、子どもを持たない権利がいまだ十分に保障されておらず、孤立出産は社会的に弱い立場に置かれた女性ほど、医療や支援へのアクセスから排除されやすいという日本社会の構造の中で生じています。それにもかかわらず、全ての責任を負わされているのは女性一人です。社会の側にある責任は、いったい誰が問うのでしょうか。

本件は、同様の状況に置かれたベトナム人技能実習生リンさんの事件と比べても、極めて不合理な結果となっています。リンさんは無罪とされ、グエットさんは有罪とされました。しかし、その差は本質的なものではありません。出産後に子どもがどこに置かれていたかという違いにすぎません。出産直後の女性がどのような身体的・精神的状況にあるのかを考えれば、グエットさんが死産から医療機関に連れて行かれるまでのわずか8時間の短時間の中でどのような行動を取れるのかを慎重に検討する必要があったはずです。それにもかかわらず、その現実への配慮を欠いたまま結果のみで刑事責任を判断することは、女性の身体と出産の現実を著しく軽視した判断です。

さらに、医療機関で死産した場合には、遺体の処置は医療従事者が行う一方で、孤立出産をした女性に対しては、死産直後であっても適切な処置が求められ、それができないことが犯罪とされてしまいます。

孤立出産した女性を支援の対象とするのではなく、「無責任な母親」「母親になる資格のない女性」といったレッテルを貼り、犯罪者として扱ってしまう差別的構造が、女性たちをさらに沈黙と孤立へと追い込んでいます。今回の決定は、この構造を結果として正当化するものです。

このままでは、第二、第三のグエットさんのような事例が繰り返されることになります。孤立出産に追い込まれた女性が犯罪者として扱われる社会を、私たちは決して容認することはできません。

グエットさんは無罪です。正されるべきはグエットさんではありません。女性を孤立出産へと追い込む社会であり、不当な判断を下す司法制度です。

私たちは、女性にのみ責任を押し付けるのではなく、孤立出産に追い込まれた女性を処罰の対象ではなく支援と擁護の対象とする社会への転換を強く求めます。

2026年4月2日

支援団体連名 (順不同)  14団体

  • コムスタカー外国人と共に生きる会
  • ベトナム人技能実習生グエットさんの裁判を支援する会
  • アジアに生きる会・ふくおか
  • 日本ベトナム友好協会福岡支部
  • アジア ソーシャルワーク創造協会-ASCA
  • 東アジアに平和を!市民行動
  • ふぇみん婦人民主クラブ
  • ふぇみんベトナムプロジェクト
  • (公財)日本キリスト教婦人矯風会
  •  日本キリスト教婦人矯風会熊本グループ
  • SOSHIREN女(わたし)のからだから
  • もっと安全な中絶をアクションASAJ
  •  #なんでないのプロジェクト
  • 私のからだデモ
     

グエットさんは現在、日本で働くための在留資格(「技能実習2号ロ」)の更新を申請中ですが、刑事裁判の影響により、その許可がどうなるか分からない状況に置かれています。

しかし、今回の有罪判決は退去強制の対象となるものではなく、これまで日本で適切に技能実習を継続してきた経緯もあります。そのため、私たちは、これまでの経緯や状況を踏まえ、引き続き日本での在留と技能実習の継続が認められるよう、在留期間の更新を許可することを求めて要請書を2026年3月25日付で福岡出入国在留管理局へ提出しました。グエットさんの在留更新が許可されるよう、引き続き皆様のご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。

 

 

 

 

2025年3月4日不当判決が下された

 

 

【事件の概要】

 グエットさんはベトナムの貧しい家庭の出身で、技能実習生として日本で働き家族の生活を支えるために150万円の借金をして2023年7月に来日しました。来日前からベトナムの送り出し機関より「妊娠したら帰国しなければならない」と言われていました。2023年12月頃、体の異変に気がつき、妊娠が判明。来日後に交際を始めた相手との子どもではなく、来日前に交際していた相手の子どもでした。日本の受け入れ先である監理団体からも「妊娠したら仕事ができなくなるから帰国しなければいけない」と繰り返し言われていたので、借金を残したまま帰国させられるのが怖く、自分を頼りにしている家族にも、交際相手にも、誰にも妊娠について相談できずにいました。

 2024年2月2日、グエットさんは普段通り出勤しましたが、腹痛で仕事ができずに、午前10時頃に退社します。自転車で帰宅途中、腹痛が酷くなって動けなくなったところに、通りかかった方が声をかけて下さり、家に連れて行ってあげると言われました。来日して半年ほどでほとんど日本語ができないグエットさんは、自宅までの経路を説明できなかったので、説明のしやすい交際相手の自宅まで連れて行ってもらいました。

 交際相手の家に着くと破水したのでトイレに行き、そのまま出産。生まれてきた赤ちゃんを抱きかかえても、顔は真っ青で泣きもせず、反応もせず、息もしていませんでした。グエットさんは失った命に対しての罪悪感や後悔など様々な感情が入り混じり、申し訳ない気持ちでいっぱいで我が子の顔を正視することができませんでした。赤ちゃんをそのままの状態にしておくことはできず、疲労困憊の中、大量の出血に見舞われながら、何度か気を失いながら、赤ちゃんを入れるものを部屋中探し回り、ようやく見つけたのがスーパーのビニール袋でした。赤ちゃんをビニール袋に入れ、持ち手は結ばずに抱きかかえて時々顔を見て泣きながらごめんなさいと謝りました。しかし、体力は限界にきていて、抱きかかえ続けるのがきつく、またベトナムでは遺体を床の上に置くことはタブーとされていることから、しゃがみこんでいた場所のすぐ側にあったゴミ箱のゴミの上に置きました。交際相手が間もなく帰宅することも考え、現在の交際相手の自宅で前の交際相手との子どもを死産してしまったことを申し訳なく思い、彼に子どもの遺体を見せたくない気持ちもありました。

 夕方、交際相手が帰宅し、血まみれで倒れている彼女の状態を発見し、近くのクリニックへ連れて行き、そこから救急車で別の病院に搬送されました。この病院から警察に通報がなされ、その後、入院中に警察により事情聴取がされました。そして、死産から4日後の2月6日に死体遺棄の容疑で逮捕され、2月27日同容疑で起訴されました。

グエットさんは博多警察署と福岡拘置所での約5か月拘留を経て7月2日に保釈が認められました。グエットさんは一貫して「子どもを捨てたのではなく、どうすればいいかも考えれなかった」と無罪を主張してきましたが、2025年3月7日、福岡地方裁判所は不当にも求刑通りの有罪判決(懲役1年6月執行猶予3年)を言い渡しました。そして、2025年11月4日、福岡高等裁判所は1審の有罪判決を支持し、控訴を棄却しました。

 

【私たちの考え】

 グエットさんの孤立出産(死産)の背景には、多くの実習生が妊娠を理由に強制帰国させられている現実があります。「妊娠したら帰国」と言われ、多額の借金を残し帰国させられることを恐れて誰にも相談できず、言葉の壁もあり支援にもつながることができずに孤立出産に追い込まれたものです。

「孤立出産」は、妊婦健診を受けられず、妊娠そのものを周囲に隠したまま出産せざるを得ない女性が多く陥る状況です。孤立出産は母子ともに命の危険が非常に高く、とくに死産だった場合、死産直後の女性は、身体的に大量出血や極度の疲労状態にあるだけでなく、精神的なショックも大きく、冷静で合理的な判断を求めること自体が酷です。それにもかかわらず、孤立出産直後に取った行為が「適切でなかった」として死体遺棄罪に問われ、逮捕・起訴されてしまっています。

そして、医療機関での死産後の遺体の取り扱いについては何も問われにもかかわらず、孤立死産においては、出産直後の女性による遺体の「適切な処置」が不当にも求められてしまっています。逮捕・勾留された女性たちは、死産直後にもかかわらず十分な医療や心理的ケアを受けられず、身体的・精神的に過酷な環境に置かれ続けます。ようやく命を取りとめたにもかかわらず、その後も司法によって再び苦境に追い込まれているのが実態です。

 現在日本では約45万人もの技能実習生を受け入れており、その多くは我々日本人の暮らしを支える労働力として活躍しています。しかし一方で彼らは職業選択や居住移転の自由など基本的人権が制限されており、国内外から「現代の奴隷制度」と批判されています。特に妊娠や出産という大切なライフイベントでもその自由が認められず、「妊娠がわかったら、帰国しなければならない」と言われている現状は深刻です。

この問題は女性の労働権及びリプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する権利)を奪うだけでなく、リプロダクティブ・ジャスティス(性と生殖・再生産を巡る社会正義)にも反し、妊娠や出産の責任を女性一人に背負わせる日本社会のジェンダー不平等も露呈しています。

 グエットさん一人を犯罪者として罰することで、この問題を終わらせるべきではありません。私たちはグエットさんを無罪とすることを求めます。そして、彼女や同じような境遇に置かれた他の人々に対する社会福祉的支援と保護を強く訴えます。

 


【署名集約先】
ベトナム人技能実習生グエットさんの裁判を支援する会
 〒812‐0017
 福岡市博多区美野島2‐5‐31 美野島司牧センター気付
 電話 090-7450‐9805(井上)
 FAX 092‐821-7292
 Eメール inoueym21@yahoo.co.jp

【呼びかけ団体】 (2026年3月6日現在)

  • アジアに生きる会・ふくおか 
  • コムスタカ-外国人と共に生きる会
  • 外国人技能実習生権利ネット・北九州  
  •  美野島司牧センター
  • 日本ベトナム友好協会福岡支部
  • NPO法人熊本YWCA
  • 日本キリスト教婦人矯風会・熊本グループ 
  • ゼネラルユニオン 
  • 平和を求め軍拡を許さない女たちの会・熊本
  • 公益社団法人福岡県人権研究所外国人部会
  • 移住者と共に生きるネットワーク・九州
  • 福岡コモン研究会
  • ふぇみん婦人民主クラブ
  • #なんでないのプロジェクト 
  • 北京JAC  
  • アジア女性資料センター 
  • NPO法人PILCON 
  • 東アジアに平和を!市民行動
  • SOSHIREN 女(わたし)のからだから
  • #もっと安全な中絶をアクション(ASAJ)
  • 公益財団法人日本YWCA
  • スクラムユニオン・ひろしま
  • アジア ソーシャルワーク創造協会-ASCA
  • 国際婦人年連絡会

~グエットさん裁判支援のための寄付のお願い~
グエットさんの支援のため、裁判費用(弁護士費用や実費等)、最高裁のある東京への旅費屋宿泊日や行動費などが必要です。そのための支援金の寄付を募ります。是非ご賛同いただき下記の口座への送金をお願いします。

郵便振替 外国人技能実習生権利ネット・北九州 01750-8-84519

クレジットでも寄付ができます。
クレジットでの支払いはこちらからお願いいたします。


14,644

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川端 聡子さんと19名の他の方が最近賛同しました。

署名活動の主旨

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ベトナム人技能実習生のグエットさんは来日前から「妊娠したら帰国」と繰り返し言われていたため、2023年12月に妊娠に気づいた後も誰にも相談できずにいました。2024年2月2日、知人宅で一人突然の出産を迎えましたが、残念ながら死産でした。大量出血とそれに伴う酸欠状態等で何度も失神し、死産から約8時間後、帰宅した知人に病院へ連れて行かれ、診察時に警察へ通報され、子どもの遺体を適切に処置しなかったとして死体遺棄罪で起訴されました。彼女は一貫して「子どもを捨てたのではなく、どうすればいいかも考えれなかった」と無罪を主張してきましたが、2025年3月7日、福岡地方裁判所は不当にも有罪判決(懲役1年6月執行猶予3年)を言い渡しました。そして、2025年11月4日、福岡高等裁判所は1審の有罪判決を支持し、控訴を棄却しました。グエットさんは、この判決を不服として、最高裁判所へ上告し、2026年1月13日に最高裁に上告趣意書を提出しました。しかし、2026年3月9日付で最高裁判所第二小法廷(三浦守裁判長)は、グエットさんの上告の申立てを棄却する決定を行い、上告棄却決定に対して行った異議申立に対しても、最高裁判所は異議申立の棄却決定を2026年3月27日付で行い、2026年4月1日に主任弁護人に届きました。これで刑事裁判 死体遺棄被告事件は、一審福岡地裁の有罪判決(懲役1年6月、執行猶予3年)が確定することになりました。

ベトナム人技能実習生グエットさんの上告棄却決定及び異議申立棄却決定に対する抗議声明

最高裁判所(第二小法廷)は2026年3月9日、グエットさんの上告を棄却しました。また。そして同年3月13日上告棄却決定に対する異議申立に対しても、同年3月27日棄却を決定しました。この決定は、孤立出産という深刻な社会問題に対して司法が真正面から向き合うことを避けたものであり、極めて不当だと言わざるを得ません。

弁護団が最高裁に提出した上告趣意書は、本件が単なる死体遺棄事件ではなく、外国人技能実習生という極めて弱い立場に置かれた女性が、妊娠・出産に関する情報や医療、社会的支援から切り離され、孤立したまま死産に至ったという構造的問題を含む事件であることを指摘していました。また、本件が憲法上の権利侵害にあたる可能性があること、妊娠・出産という女性特有の状況を十分に考慮しない刑事判断が、結果として女性にのみ不利益をもたらす間接差別にあたること、さらに外国人・女性という立場が重なることによる交差性差別の問題についても訴えていました。それにもかかわらず、最高裁はこれらの重要な問題について実質的な検討を行うことなく、「上告理由に当たらない」として退けました。この決定は、孤立出産に追い込まれた女性の現実を見ようとせず、その責任を女性一人に負わせるものです。本来問われるべき日本社会の構造的問題に目を向けないまま、不正義をそのまま認めてしまう判断であると言わざるを得ません。

リプロダクティブ・ジャスティスの観点から見れば、すべての人が安全で尊厳のある環境の中で妊娠・出産・子育てに関する選択を行うことができる社会が実現されなければなりません。しかし日本では、子どもを持つ権利、子どもを持たない権利がいまだ十分に保障されておらず、孤立出産は社会的に弱い立場に置かれた女性ほど、医療や支援へのアクセスから排除されやすいという日本社会の構造の中で生じています。それにもかかわらず、全ての責任を負わされているのは女性一人です。社会の側にある責任は、いったい誰が問うのでしょうか。

本件は、同様の状況に置かれたベトナム人技能実習生リンさんの事件と比べても、極めて不合理な結果となっています。リンさんは無罪とされ、グエットさんは有罪とされました。しかし、その差は本質的なものではありません。出産後に子どもがどこに置かれていたかという違いにすぎません。出産直後の女性がどのような身体的・精神的状況にあるのかを考えれば、グエットさんが死産から医療機関に連れて行かれるまでのわずか8時間の短時間の中でどのような行動を取れるのかを慎重に検討する必要があったはずです。それにもかかわらず、その現実への配慮を欠いたまま結果のみで刑事責任を判断することは、女性の身体と出産の現実を著しく軽視した判断です。

さらに、医療機関で死産した場合には、遺体の処置は医療従事者が行う一方で、孤立出産をした女性に対しては、死産直後であっても適切な処置が求められ、それができないことが犯罪とされてしまいます。

孤立出産した女性を支援の対象とするのではなく、「無責任な母親」「母親になる資格のない女性」といったレッテルを貼り、犯罪者として扱ってしまう差別的構造が、女性たちをさらに沈黙と孤立へと追い込んでいます。今回の決定は、この構造を結果として正当化するものです。

このままでは、第二、第三のグエットさんのような事例が繰り返されることになります。孤立出産に追い込まれた女性が犯罪者として扱われる社会を、私たちは決して容認することはできません。

グエットさんは無罪です。正されるべきはグエットさんではありません。女性を孤立出産へと追い込む社会であり、不当な判断を下す司法制度です。

私たちは、女性にのみ責任を押し付けるのではなく、孤立出産に追い込まれた女性を処罰の対象ではなく支援と擁護の対象とする社会への転換を強く求めます。

2026年4月2日

支援団体連名 (順不同)  14団体

  • コムスタカー外国人と共に生きる会
  • ベトナム人技能実習生グエットさんの裁判を支援する会
  • アジアに生きる会・ふくおか
  • 日本ベトナム友好協会福岡支部
  • アジア ソーシャルワーク創造協会-ASCA
  • 東アジアに平和を!市民行動
  • ふぇみん婦人民主クラブ
  • ふぇみんベトナムプロジェクト
  • (公財)日本キリスト教婦人矯風会
  •  日本キリスト教婦人矯風会熊本グループ
  • SOSHIREN女(わたし)のからだから
  • もっと安全な中絶をアクションASAJ
  •  #なんでないのプロジェクト
  • 私のからだデモ
     

グエットさんは現在、日本で働くための在留資格(「技能実習2号ロ」)の更新を申請中ですが、刑事裁判の影響により、その許可がどうなるか分からない状況に置かれています。

しかし、今回の有罪判決は退去強制の対象となるものではなく、これまで日本で適切に技能実習を継続してきた経緯もあります。そのため、私たちは、これまでの経緯や状況を踏まえ、引き続き日本での在留と技能実習の継続が認められるよう、在留期間の更新を許可することを求めて要請書を2026年3月25日付で福岡出入国在留管理局へ提出しました。グエットさんの在留更新が許可されるよう、引き続き皆様のご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。

 

 

 

 

2025年3月4日不当判決が下された

 

 

【事件の概要】

 グエットさんはベトナムの貧しい家庭の出身で、技能実習生として日本で働き家族の生活を支えるために150万円の借金をして2023年7月に来日しました。来日前からベトナムの送り出し機関より「妊娠したら帰国しなければならない」と言われていました。2023年12月頃、体の異変に気がつき、妊娠が判明。来日後に交際を始めた相手との子どもではなく、来日前に交際していた相手の子どもでした。日本の受け入れ先である監理団体からも「妊娠したら仕事ができなくなるから帰国しなければいけない」と繰り返し言われていたので、借金を残したまま帰国させられるのが怖く、自分を頼りにしている家族にも、交際相手にも、誰にも妊娠について相談できずにいました。

 2024年2月2日、グエットさんは普段通り出勤しましたが、腹痛で仕事ができずに、午前10時頃に退社します。自転車で帰宅途中、腹痛が酷くなって動けなくなったところに、通りかかった方が声をかけて下さり、家に連れて行ってあげると言われました。来日して半年ほどでほとんど日本語ができないグエットさんは、自宅までの経路を説明できなかったので、説明のしやすい交際相手の自宅まで連れて行ってもらいました。

 交際相手の家に着くと破水したのでトイレに行き、そのまま出産。生まれてきた赤ちゃんを抱きかかえても、顔は真っ青で泣きもせず、反応もせず、息もしていませんでした。グエットさんは失った命に対しての罪悪感や後悔など様々な感情が入り混じり、申し訳ない気持ちでいっぱいで我が子の顔を正視することができませんでした。赤ちゃんをそのままの状態にしておくことはできず、疲労困憊の中、大量の出血に見舞われながら、何度か気を失いながら、赤ちゃんを入れるものを部屋中探し回り、ようやく見つけたのがスーパーのビニール袋でした。赤ちゃんをビニール袋に入れ、持ち手は結ばずに抱きかかえて時々顔を見て泣きながらごめんなさいと謝りました。しかし、体力は限界にきていて、抱きかかえ続けるのがきつく、またベトナムでは遺体を床の上に置くことはタブーとされていることから、しゃがみこんでいた場所のすぐ側にあったゴミ箱のゴミの上に置きました。交際相手が間もなく帰宅することも考え、現在の交際相手の自宅で前の交際相手との子どもを死産してしまったことを申し訳なく思い、彼に子どもの遺体を見せたくない気持ちもありました。

 夕方、交際相手が帰宅し、血まみれで倒れている彼女の状態を発見し、近くのクリニックへ連れて行き、そこから救急車で別の病院に搬送されました。この病院から警察に通報がなされ、その後、入院中に警察により事情聴取がされました。そして、死産から4日後の2月6日に死体遺棄の容疑で逮捕され、2月27日同容疑で起訴されました。

グエットさんは博多警察署と福岡拘置所での約5か月拘留を経て7月2日に保釈が認められました。グエットさんは一貫して「子どもを捨てたのではなく、どうすればいいかも考えれなかった」と無罪を主張してきましたが、2025年3月7日、福岡地方裁判所は不当にも求刑通りの有罪判決(懲役1年6月執行猶予3年)を言い渡しました。そして、2025年11月4日、福岡高等裁判所は1審の有罪判決を支持し、控訴を棄却しました。

 

【私たちの考え】

 グエットさんの孤立出産(死産)の背景には、多くの実習生が妊娠を理由に強制帰国させられている現実があります。「妊娠したら帰国」と言われ、多額の借金を残し帰国させられることを恐れて誰にも相談できず、言葉の壁もあり支援にもつながることができずに孤立出産に追い込まれたものです。

「孤立出産」は、妊婦健診を受けられず、妊娠そのものを周囲に隠したまま出産せざるを得ない女性が多く陥る状況です。孤立出産は母子ともに命の危険が非常に高く、とくに死産だった場合、死産直後の女性は、身体的に大量出血や極度の疲労状態にあるだけでなく、精神的なショックも大きく、冷静で合理的な判断を求めること自体が酷です。それにもかかわらず、孤立出産直後に取った行為が「適切でなかった」として死体遺棄罪に問われ、逮捕・起訴されてしまっています。

そして、医療機関での死産後の遺体の取り扱いについては何も問われにもかかわらず、孤立死産においては、出産直後の女性による遺体の「適切な処置」が不当にも求められてしまっています。逮捕・勾留された女性たちは、死産直後にもかかわらず十分な医療や心理的ケアを受けられず、身体的・精神的に過酷な環境に置かれ続けます。ようやく命を取りとめたにもかかわらず、その後も司法によって再び苦境に追い込まれているのが実態です。

 現在日本では約45万人もの技能実習生を受け入れており、その多くは我々日本人の暮らしを支える労働力として活躍しています。しかし一方で彼らは職業選択や居住移転の自由など基本的人権が制限されており、国内外から「現代の奴隷制度」と批判されています。特に妊娠や出産という大切なライフイベントでもその自由が認められず、「妊娠がわかったら、帰国しなければならない」と言われている現状は深刻です。

この問題は女性の労働権及びリプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する権利)を奪うだけでなく、リプロダクティブ・ジャスティス(性と生殖・再生産を巡る社会正義)にも反し、妊娠や出産の責任を女性一人に背負わせる日本社会のジェンダー不平等も露呈しています。

 グエットさん一人を犯罪者として罰することで、この問題を終わらせるべきではありません。私たちはグエットさんを無罪とすることを求めます。そして、彼女や同じような境遇に置かれた他の人々に対する社会福祉的支援と保護を強く訴えます。

 


【署名集約先】
ベトナム人技能実習生グエットさんの裁判を支援する会
 〒812‐0017
 福岡市博多区美野島2‐5‐31 美野島司牧センター気付
 電話 090-7450‐9805(井上)
 FAX 092‐821-7292
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【呼びかけ団体】 (2026年3月6日現在)

  • アジアに生きる会・ふくおか 
  • コムスタカ-外国人と共に生きる会
  • 外国人技能実習生権利ネット・北九州  
  •  美野島司牧センター
  • 日本ベトナム友好協会福岡支部
  • NPO法人熊本YWCA
  • 日本キリスト教婦人矯風会・熊本グループ 
  • ゼネラルユニオン 
  • 平和を求め軍拡を許さない女たちの会・熊本
  • 公益社団法人福岡県人権研究所外国人部会
  • 移住者と共に生きるネットワーク・九州
  • 福岡コモン研究会
  • ふぇみん婦人民主クラブ
  • #なんでないのプロジェクト 
  • 北京JAC  
  • アジア女性資料センター 
  • NPO法人PILCON 
  • 東アジアに平和を!市民行動
  • SOSHIREN 女(わたし)のからだから
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  • 公益財団法人日本YWCA
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  • アジア ソーシャルワーク創造協会-ASCA
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郵便振替 外国人技能実習生権利ネット・北九州 01750-8-84519

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