学校はそれではよくならない。〜大阪市は学力テストの結果をボーナス/学校予算に反映する方針を撤回してください!〜

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私は大阪で学校内外の教育に関わる活動をしています。先生も子どもも安心して過ごし、成長できる学校が増えてほしいと日々願って現場の先生方と関わっています。今回、吉村大阪市長にこの方針を撤回してもらうために、キャンペーンを始めます(※1)。
 
大阪市の吉村洋文市長は8月2日、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を、教員のボーナスや学校予算に反映させる制度の導入を目指すという方針をメディアに語りました。
 
▼詳細はこちらをご覧ください。https://www.sankei.com/west/news/180802/wst1808020098-n1.html
 
私はこれが現実のものになれば、子どもたちに一生懸命向き合っている先生たち、そして子どもたちを追い詰めるものになると考え、撤回を強く求めます。

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【この方針はココが間違っています】
1. そもそも、安心・安全な環境やつながりがないと勉強には向かえません。

「学力」と「貧困」に相関関係があるということは、いろいろな調査や研究で指摘されています。学力だけではなく、自己肯定感や、非行の出現率とも、貧困は関係があります。大阪市は、平均的な手取り年収の半分を下回る世帯で暮らす相対的貧困率が15.2%。さらに母子家庭では42.9%。全国でも特に厳しい貧困の問題を抱える街なのです。(※2)
 
「お母さんが昼も夜も働いてて家では自分と兄弟で過ごしてる」「ごはん食べられへん日がある」「家に帰ったらお父さんが暴れてて怖い」
 
そんな中で、学校に来て、イライラをクラスメイトにぶつけたり、授業どころじゃなくて集中できなかったり、生活体験が少なくて授業を理解しづらかったりする子が、クラスに一人や二人ではありません。
 
このような厳しい状況にある子どもたちを、なんとか励まし、「生きる力」をつけてもらおうと支援している現場教員の「ふんばり」を、今回の方針はくじくものになります。 
 
2. 現場の教員はこれで「やる気」は出せません。

今回のような「交換条件つき報酬(賞罰)」は、「内発的動機づけ」を失わせます。そもそも先生たちは子どもたちの成長を願っていますし、プライドを持って仕事をしています。「ボーナスを上げてあげるから学力を頑張って上げてください」と言うメッセージは、自発的なやる気を傷つけ自信を失わせても、高めることはありません。昨今の「学校の働き方改革」の流れとも、逆行しています。

3. 給与やボーナスの増減が、学力の向上つながるという根拠がありません。
 
アメリカでは少なくとも10州が給与やボーナスを成果主義にしてきましたが、それが教育効果を高めたという確かな証拠は多くありません。ある実験では、ボーナスがもらえる先生ともらえない先生を意図的につくり、教員の努力と、それぞれの教員が担当した生徒の成績を比較調査をしましたが、変化は見られなかったという報告があります。(参照:中室牧子著「学力の経済学」)
 
4. 「テストの点数」が「評価の指標」として影響力を持ちすぎるのは危険です。

 
現在、文科省は「主体的・対話的で深い学び」の実現を掲げています。また世界的に見ても、21世紀スキルや非認知能力と呼ばれるような、ペーパーテストの点数だけでは測れない力の重要性が注目されています。
 
テストの点数は分かりやすい指標ですが、「生きる力」そのものではありません。
点数を追い求めすぎることは、もっと広い意味での学び(人間性や創造性や市民性など)を損なうことにつながる危険性があります。人の育つ場である学校から、豊かさを奪うことになりかねません。
 
確かに、今の学校には課題はたくさんあり、”学力”もその1つでしょう。でも、「大阪の教育をよくしたい」と思ってがんばっている人の気持ちが折れたら、どうしたってよくはできないのです。
 
ふんばっている先生たち、そしてそのふんばりを応援したいと思ってくれるみなさん、一緒に声を届けてください。
 
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【こんなことが起こりかねないと心配です】
 
私の周囲では、報道の後、「大阪市の教員をやめたい」と言う先生たちの声がすでに複数聞こえてきています。教員志望者が大阪市を避け、今大阪市で講師をしている人も、「採用試験はよそを受けます」ということになりかねません。学力を上げるのが目的だったはずの施策によって、教員の質の担保がむしろ難しくなります。
 
テストの点数を上げるための方策と、全人的な学び育ちを支援するための方策は必ずしも同じとは限りません。兎にも角にもテスト対策が優先されるような状況になれば、大阪市の学校では「教育」ができなくなります。そして、教員が追い詰められると、子どもたちにかかる圧力もおのずと高まります。
 
「自分のボーナスはともかく」と考える先生でも、学校への予算配分に影響が出るとなると、学力テストの日に点数を取れない子を休ませるといったことも出てくるかもしれません。答案の捏造、改竄、操作などが起こるかもしれません。それはそんなことをする教師が悪いと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、これはそんなことをしてしまうような状況に追い込む政策です。
 
吉村市長は「目標未達成の学校の予算配分を減らす」と言っています。学力が上がりにくいのは、最初に書いたように「しんどさ」を抱えている子どもたちと、そういう子たちが多い学校です。そういう学校にこそ、子どもに寄り添う先生と、きちんとした予算の確保が必要なのです。 
 
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【発起人】
武田緑 / 教育コーディネーター(元・一般社団法人コアプラス代表理事)
   
【賛同人】(随時更新・順不同)
苫野一徳 / 熊本大学教育学部准教授
リヒテルズ直子 / オランダ教育研究者
武田富美子 / 立命館大学准教授 
武田信子 / 武蔵大学教授
鈴木大裕 / 教育研究者・NPO法人SOMA副代表理事
寺脇研 / 京都造形芸術大学客員教授
今井紀明 / 認定NPO法人D×P理事長
中村孝一 / NPO法人eboard代表理事
渡剛 / NPO法人あっとすくーる理事長
加藤直人 / NPO法人フォロ代表理事
山下耕平 / NPO法人フォロ事務局長
山下裕子 / 公益社団法人子ども情報研究センター
中尾安余 / 結空間 代表
村中直人/(一社)子ども・青少年育成支援協会 理事
遠藤まめた / LGBTの子ども若者支援
上田假奈代 / 詩人・NPO法人こえとことばのこころの部屋 代表理事
   
※1 本キャンペーンは、イデオロギーを主張するものではなく、現場の感覚から、「大阪市の教育をよくするためにこの方法は違う」ということを、市長と大阪市民のみなさん、そしてより広く社会全体に訴えるためのものです。

※2 大阪市の相対的貧困率は15.2%、母子家庭では42.9%で、全国トップクラスです。

 



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