大津市の「ごみ発電」の問題点解決に向けた生ごみ分別の実現について

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発信者:竺 文彦 宛先:大津市長(佐藤健司さん)

1.大津市の「ごみ発電」が始まります

 これまで、大津市では家庭ごみのうち燃やせるごみ(紙、プラスチック、生ごみ)を環境美化センター(180t/日)および北部クリーンセンター(170t/日)の2か所の焼却施設で、焼却処理してきました。

 施設の老朽化により建て替えを行い、環境美化センターは2021年4月試運転、7月本稼働されることとなっており、北部クリーンセンターも2022年には建て替えの予定です。現在の地球温暖化防止の課題の中で、焼却施設は温暖化促進施設であり、今後は発電を行い、発生するエネルギーを利用することが必要で、大津市の焼却施設においても発電を行います。

2.「ごみ発電」の2つの問題点!

 ここで、ごみ焼却施設の発電において、2つの問題点があります。1つは水分の塊である生ごみを焼却することのエネルギーの損失の問題と、もう1つは発電後の高温の蒸気、温水の利用の問題です。

 大津市のごみが2か所の焼却場で焼却され、発電された場合、含まれる水分の蒸発熱によって、どの程度のエネルギー損失となるかを試算してみましょう。

3. 生ごみの量の試算

 令和元年度における大津市の家庭系燃やせるごみ量は、59,854t、事業系燃やせるごみ量は、23,492tです。このうちの厨芥類の比率については、(令和2年の分析では、)家庭系燃厨芥類の比率は28.23%、事業系燃やせるごみ中の厨芥類の比率は35.54%ですので、

 家庭系の厨芥類の量は、

   59,854(t)× 28.23 ÷ 100= 16,896.78(t)

 事業系の厨芥類の量は、

   23,492(t)× 35.54 ÷ 100= 8,349.06(t)

となり、合計では、16,896.78 + 8,349.06 =25,245.84(t)と推定できます。

4.水分量の試算

 厨芥類中の水分は8割から9割ですので、8割と仮定すると、含まれる水の量は、

   25,245.84 × 0.8 =20,196.67(t)

と推定できます。

 ここで、もう一つの方法で、水分量を試算してみましょう。環境美化センターと北部クリーンセンターとにおける焼却するごみの分析において水分の分析結果が示されていますので、その分析結果から水分量を推定してみます。

 令和元年度における環境美化センターの燃やせるごみの量は、42,911.64(t)、北部クリーンセンターの燃やせるごみの量は、40,100.69(t)であり、その水分分析値は、それぞれ43.2(%)、40.9(%)です。したがって、それぞれの施設における水分量は、

  環境美化センター

    42,911.64(t)× 43.2 ÷ 100 = 18,537.83(t)

  北部クリーンセンター

    40,100.69(t)× 40.9 ÷ 100 = 16,401.18(t)

したがって、水分分析の結果からは、水分量は、合計34,939.01(t)となります。

 すなわち、焼却されるごみ中の水分量は、厨芥類の水分量の推定からは、およそ2万t、水分の分析からは、およそ3.5万tとなります。実際の値は、水分分析から計算した値に近いと推定されますが、ここでは、過大評価とならないよう厨芥類の水分量からの推定量を用いて、計算を進めます。

(以上のごみのデータについては、令和3年・令和4年期第1回大津市廃棄物減量等推進審議会(令和3年3月24日)資料を用いました。)

5.水の蒸発で奪われる熱量

 水の蒸発により奪われる蒸発熱は、その時の温度によって変化します。実際には、平温から100℃まで温度が上昇しながら徐々に蒸発していくことになりますので、平均的な温度として、60℃における水の蒸発熱 2,359(kJ/kg)を用います。

 20,196.7tの水の60℃における蒸発熱は、

2,359(kJ/kg)× 20,196.7 ×1,000(kg)=47,644,015 ×1,000(kJ)

 となります。

6.失われる発電量

ここで、

1(J)=1(W)×1(s) すなわち 3,600(J)=1(Wh)

 であるため、蒸発熱量を発電量に換算すると、

  47,644,015× 1,000(kJ)÷ 3,600(kJ/kWh)=13,234.4 ×1,000 

                               (kWh)

となります。ただし、ここで発電効率を4割と仮定すると、発電量は、

  13,234.4 ×1,000(kWh)× 0.4=5,293.78 ×1,000(kWh)

となります。

7.失われる電気料金

 この発電量を売電した場合の価格を計算してみましょう。

関西電力によるごみ発電の買取価格は、18.7(円/kWh)であるため、

https://kepco.jp/ryokin/kaitori/gaiyou/gaiyou2/

この発電量の価格は、

  5,293.78  ×1,000(kWh)× 18.7(円/kWh)=98,993,680(円)

となります。したがって、2か所の焼却場で発電を行った場合、水分の蒸発によるエネルギーの損失は、およそ年間476億kJであり、電力の損失は、およそ529万kWhで、電力料金としては、およそ1億円の損失となります。

 この計算では、水分量を控えめに設定したため、実際の水分測定結果を基に計算すると水分量はこの計算の約1.5倍となるため、損失電気料金もおよそ年間1.5億円近くなると考えられます。

 このように、水分の塊である生ごみを焼却することはエネルギーの観点からも財政の観点からも望ましくなく、分別収集して堆肥化すべきであると考えます。

 さらに、生ごみの処理方法として、堆肥化から発展してヨーロッパでは当たり前となっているメタン発酵を行えば、生ごみからもエネルギーを発生させることができ、日本政府が提唱している2050年カーボン・ニュートラルに適合し、地球温暖化防止に貢献することとなります。

 実際に生ごみの分別収集を行う場合は、分別収集費用の増加や生ごみ処理費について考えなければなりません。しかし、現在、燃やせるごみの収集を週に2回(月に8回)行っていますので、このうちの生ごみ量は1/3ですので、月8回のうち2回ないし3回を生ごみ収集に充てれば、それほど収集費用が増加する訳ではありません。また、全域で生ごみ収集を行った場合の堆肥化施設については、大津市ではすでに伊香立において堆肥化を行っており、施設の拡張や新設が必要になりますが、堆肥化施設に必要な費用は焼却施設に比べれば、非常に安い費用で済みます。それは、物を燃やすことと物を積み上げて時々ひっくり返すことに必要な経費を想像して頂ければご理解いただけると思います。

8.排熱の徹底的な利用

 もう1つの問題点である発電後の水蒸気や高温のお湯の利用の問題については、現在の様に温水プールなどの排熱のごく一部を利用するのではなく、排熱を十分に利用する方法を考える必要があります。ヨーロッパにおいては、地域に温水のパイプが設置されているため、排熱を地域に供給し、家庭内の温水利用や暖房に利用され、エネルギーを十分に利用しています。日本では地域に温水パイプが設置されていないため、大半の排熱を放出して温暖化を促進してしまっています。環境美化センターにおいても、早急に排熱の十分な利用方法(農業利用、産業利用あるいは住宅での利用)を検討し、実施されることを要望します。

 以上、環境美化センターの発電開始にあたって、生ごみの分別収集と排熱の利用について早急に対策を立てられることを要望します。

 

                  大津の生ごみ分別収集・堆肥化を進める会

                              代表 竺 文彦

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