政府に対して、学費無償化に向けて足を踏み出すことを求めます

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[高等教育予算の大幅増額・学習権保障を求める共同アピール]

わたしたちは学生たちの「学費半減を求める」運動に賛同し、政府に「無償教育の漸進的導入」に取り組むことを求めます

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 高等教育財政に詳しい渡部昭男さんの試算によると、大学、大学院、短期大学、専門学校の授業料を全額無償化した場合、3.7兆円(所得制限900万円以下を設けた場合には2.7兆円)になります。他方、国立大学授業料の半額程度(約27万円)を、すべての国公私立大学学生数、同大学院生数、短期大学数、専修学校専門課程学生数(=357万人)に掛け合わせると、1兆円弱になります。以上のような数値にもとづけば、「学費半減を求める」ことは、決して絵空事ではないはずです。
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2020年5月1日

  高等教育予算の大幅増額・学習権保障を求める大学関係者の会

 新型コロナウイルスの感染が広がるもとで、世界は深刻な不況に陥っています。日本でも企業の倒産や失業者の増大などが広がっています。

 感染の影響は大学や短期大学(以下、大学)にも及んでいます。新学期を迎えた大学では、新入生たちをキャンパスに迎えることができずに、オンラインでの授業をせざるを得ない状況です。教員たちはその準備に追われています。また、職員たちは学生たちの支援に力を尽くしています。

 同時に、わたしたちが直視しなければならないのは、学生たちもかつてない厳しい状況におかれているということです。とりわけ世界有数の高学費、そして貧困な奨学金制度のもとで学ぶ権利を奪われようとしている大勢の学生がいることです。

 高学費を学生自らが負担することは困難であり、家族が学費を負担することが一般的です。しかし、不況が深刻化するもとで家計の経済状況は急速に悪化しています。学生たちのアルバイトも営業の自粛などによってその機会が奪われています。一方で、オンライン授業にともなう支出の増大にも対応しなければなりません。

 

 わたしたちは、いま全国的に広がっている学生たちによる「学費半減を求める」運動は正当なものであると考えます。しかし、それは新型コロナウイルスの感染にともなう緊急避難的な要求にとどまらないものという認識をもつことが必要です。

 大学の教育は商品やサービスではありません。教育は高等教育までを含めて基本的人権の中核をなすものです。また、対面での授業はできなくなったとはいえ、大学は懸命にオンライン授業を行うなどして学生たちの学びを保障しようとしています。対面授業ができなくなったからといって、学費を引き下げるという論理は適切とはいえないでしょう。

 

 高等教育についても日本政府は「無償教育の漸進的導入」を国際社会に対して約束しています。このようなことからすると学生たちの要求は、国際水準に立ったものとして受け止めるべきです。ここで「無償教育の漸進的導入」とは、学ぶ権利を保障するために、(学費以外を含めて)教育費の負担を徐々に減らしていくということです。

 いま全国の大学では、①オンライン授業のための費用を大学が負担し、全学生に一律3~5万円程度を支給する、②学費納入期限の延長や分納の措置をとる、③(一部の大学では)独自の給付制奨学金を設ける、といったことが行われています。しかし、これは新型コロナウイルスの感染の広がりへの対応として不十分です。加えて、「無償教育の漸進的導入」という国際社会の到達点からしても大きな問題点があります。肝心の学費、とりわけ授業料は据え置かれたままであるからです。

 

 なぜ、このような状況なのでしょうか。学費が無償であったり低学費であったりする国では、日本のような「学費半減を求める」運動は起こらないのではないでしょうか。日本では、世界的に見ても高等教育(を含め教育)に対する公財政支出が貧困です。そのため学生や家族は学費負担の重さに苦しめられています。一方、大学は学費収入に大きく依存せざるを得ません。それは、とりわけ私立大学において顕著です。

 個別の大学で学生の経済的な困難に対する支援策を抜本的に拡充することには限界があります。また、財政的に一定の余裕がある大学であれば学生に対する経済的な支援は可能ですが、すべての大学がそのようなことができるわけではありません。

 

 いま求められているのは、高等教育予算の大幅な増額であり、すべての学生の学ぶ権利を保障することです。学費を引き下げ、給付奨学金の対象者の拡大などが急務となっています。そのためには、国民的な運動が必要です。大学関係者も連帯して社会に対してこのことを積極的に呼びかけていく必要があります。

 新型コロナウイルスの感染の拡大は、さまざまなシステムの限界を露呈させています。危機の状況にある現在だからこそ、未来を切り拓く若者たちに対する社会的な支援が必要です。わたしたちのアピールへのみなさまの賛同を心から呼びかけます。

 

井上 千一(大阪人間科学大学)、岡山 茂(早稲田大学)、片山 一義(札幌学院大学)、國本 真吾(鳥取短期大学)、小池 由美子(上田短期大学)、小山 由美(日本大学)、西垣 順子(大阪市立大学)、日永 龍彦(山梨大学)、藤原 隆信(筑紫女学園大学)、細川 孝(龍谷大学)、堀 雅晴(立命館大学)、光本 滋(北海道大学) 

事務局(連絡先):細川孝(hosokawa@biz.ryukoku.ac.jp)