

本日(4月5日)、認可法人外国人技能実習機構の仙台事務所に対して、労働組合を脱退することを示唆するメールを技能実習生に送付していた件について、申し入れを行いました。(写真は宮城県政記者クラブで行った会見の様子)
○賃金未払いや労災事故の末、退職を強要される
今回、問題となっているのは、宮城県石巻市にある水産加工業者の工場で技能実習生として働いていたベトナム人女性3人のケースです。生活のために2019年10月にベトナムから約100万円近くの借金を背負って2019年に来日しましたが、就業中に様々な労働問題が発生していました。
まず、会社役員が大声で怒鳴るなどといったハラスメントは日常的に起こっていました。そのうえ、就業時間の8時以前から出勤し掃除や準備を行なうことが業務として命じられていましたが、それらに対する賃金を会社は支払っていませんでした。さらに、技能実習生の一人は、機械での作業中に人差し指を切断する大怪我を負うという労災事故にも遭っています。そして、2022年2月、些細な「ミス」を理由に3人あわせて退職を強要された後に、離職を余儀なくされました。このように様々な労働法違反や権利侵害がこの職場では確認されています。
○ベトナムへの帰国と労働組合からの脱退を促す監理団体
退職強要を受けた技能実習生は、技能実習生を支援する立場にある監理団体に相談しましたが、技能実習生3人によれば、当該監理団体は転職の支援を拒否し、ベトナムに帰国するよう告げました。さらに、会社に謝罪をし、3人が支援を求めて加入した宮城の労働組合「仙台けやきユニオン」を脱退すれば復職の可能性があるとも技能実習生らに伝えています。
本来であれば監理団体は技能実習生の転職などの支援を行なうべきですが、そもそも受け入れ企業から得る「監理費」で成り立っているため、企業側にたち、会社の意のままにならない技能実習生の権利を抑圧するというケースが蔓延しています。
○労働組合からの脱退を示唆する外国人技能実習機構
監理団体も助けてくれないことを知った技能実習生たちは、技能実習制度が技能実習法に基づいて行われているかを指導監督する立場にある認可法人・外国人技能実習機構に相談しました。
しかし、外国人技能実習機構(OTIT)は会社や監理団体の調査すら行わずに、「会社が求めているのは(中略)今後はトラブルを起こさないと反省し、謝罪すること」、「お互いに問題があった」とあたかも、職場における労働問題について実習生側にも否があるような内容を本人たちに伝えました。
また、相談を受けた外国人技能実習機構の職員は「監理団体にさっきちょっと電話した所ですね、(会社)に戻るための話し合いをする、条件としてユニオン(注:加入する労働組合・仙台けやきユニオンのこと)を脱退するって事を言われました。今すぐには決められないと思うんだけど、OTITが問題解決をサポートして、もしそれでも解決できなかったら、またユニオンにお願いするという方向もあると思います」と労働組合の脱退を促すともとれる発言を、技能実習生に対して行いました。
労働組合に加入することは労働者の基本的な権利です。また、雇用主が行えば不当労働行為(労働組合法第7条)という違法行為にあたります。しかしながら、企業や監理団体の主張を鵜呑みにし、労働組合を脱退することが技能実習生にとって一つの選択肢であると提示したことは、深刻な人権侵害であるとともに、外国人技能実習機構が技能実習生ではなく企業や監理団体の利害に則って行動している団体だと言わざるを得ません。
このように、指導や認可取り消しなど法的な権限を持つ機関である外国人技能実習機構が労働組合からの脱退について言及するのは、極めて不当です。これまで、他にも同様のケースがあったようですが、今回の件ではじめて録音やメールという文書で、外国人技能実習機構の「支援」の実態が明らかになりました。
そこで私たちは、外国人技能実習機構が行った対応について、事実確認と是正を求めて、本日(4月5日)申し入れを行いました。外国人技能実習機構による「不当労働行為」ともとれる対応についての申し入れは、今回が初めてです。また、宮城県政記者クラブにて、報告記者会見を実施しました。
○技能実習制度の廃止に向けて
多額の借金を背負い、かつ職業転職の自由が認められていない外国人技能実習生は、海外から「現代的奴隷制」として批判されています。実際に技能実習生が働く会社の7割で労働法違反が確認されており、一部の「酷い」経営者の問題でなく、労働者に対する権利侵害がこの制度のもとで構造的に起こっています。
そして、それでも建前上は「合法」に運用されることを担保するための外国人技能実習機構が、企業が技能実習生に労働組合から脱退するよう促していることに対して、企業側に指導や連絡すら行わないまま、技能実習生に脱退もオプションの一つであると伝えている事実からしても、制度が適切に運用されることを担保する「最後の砦」である外国人技能実習機構には技能実習生の権利を保障することができないのは明らかです。制度を廃止して、労働者として当然の権利である転職の自由を、国籍に関係なく全ての労働者に保障するべきです。
なお、外国人技能実習機構からの回答期限は、4月12日となっています。回答があり次第、ご報告いたします。
技能実習制度廃止プロジェクト
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