戦後75年の今こそ、放置されてきた民間人空襲被害者の救済法成立を!

戦後75年の今こそ、放置されてきた民間人空襲被害者の救済法成立を!

開始日
2020年11月2日
署名の宛先
衆議院議長 大島理森殿、参議院議長 山東昭子殿
現在の賛同数:168次の目標:200
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この署名で変えたいこと

今年はアジア・太平洋戦争が終わってから75年になる節目の年です。

しかし、現在でもなお、当時の被害に苦しんでいる人が数多くいることをご存知でしょうか。

あの戦争では、連合軍による日本本土の空襲によって50万人以上の人々が犠牲になったと言われています。さらに多くの方が心身ともに傷つき、また、家族や財産を失いました。戦争で両親を失い、戦争孤児となった子どもは12万人以上。戦後も非常に厳しい暮らしを強いられてきました。

それにもかかわらず、戦後、民間人の空襲被害者には国からの謝罪はおろか、一切の支援の手は差し伸べられませんでした。

累計で60兆円以上に及ぶ、恩給(軍人の年金)や負傷者に対する補償のあった元軍人・軍属とは大きく異なり、同じ戦争に協力したはずの民間人は国から切り捨てられてきたといえます。

それどころか、国による空襲被害の実態調査は十分とはいえず、いまだに空襲被害の全体像ははっきりとしないままです。また、国による空襲被害者の追悼施設もありません。

【軍人と民間人とを差別しない欧州諸国】

第二次世界大戦に参加した欧州諸国では、軍人・軍属と民間人を区別することなく、補償を行っています。敗戦国のドイツ・イタリアにおいても同様です。フランスでは、戦災孤児に対し、生活費や学費・職業訓練費も支援されてきましたが、日本では、孤児の多くは国の援護を受けることはありませんでした。

なぜ、日本では民間人空襲被害者の救済が進まなかったのでしょうか。

【国と雇用関係がなければ補償されない】

1952年に制定された「戦傷病者戦没者遺族等援護法」では、国と雇用関係にあった軍人・軍属が補償の対象となりました。しかし、戦争への協力を強いられ、さらに「防空法」によって、空襲が始まっても逃げることも許されなかった民間人は、補償の対象から外されたのです。

※防空法・・・1937年、都市への空襲に備えるために定められた法律。1941年の改正で、内務大臣が都市からの退去を禁止できること、空襲時の消火活動を義務付けることなどが加わった。これにより、空襲の際に逃げることは法律で禁じられた。

戦時中は「戦時災害保護法」によって、戦争犠牲者の遺族や、住宅や財産を失った場合の補償が定められており、民間人もその対象になっていました。しかし、戦後民間人を保護する戦時災害保護法は復活せず、軍人・軍属への年金や補償は復活したのです。

【戦争被害は我慢せよ】

名古屋・東京・大阪の空襲被害者が、国による謝罪や補償を求めて起こした裁判では、「国民全体が我慢しているのだから、どのような被害を受けたとしても、あなたも我慢しなさい」という理屈で、民間人空襲被害者への補償は退けられてきました(いわゆる「戦争被害受忍論(じゅにんろん)」)。

国が起こした戦争によって多大な被害をこうむり、また、戦争による被害の程度は人それぞれであるにも関わらず、こうした論理で空襲被害者の声はかき消されました。

しかし、裁判所は同時に、空襲被害者の置かれた事情に配慮もし、「国会で立法を通じて解決すべき」との判断も下しました。

このような流れの中で、2010年8月に「全国空襲被害者連絡協議会」(全国空襲連)が発足し、空襲被害者が全国レベルでネットワークされました。さらに、2015年8月には、「空襲被害者等の補償問題について立法措置による解決を考える議員連盟」(超党派空襲議連)が再発足されました。

そしてようやく、「超党派空襲議連」では、民間人空襲被害者を含む戦災被害者を救済する法案をとりまとめようとしています(法案の内容は以下)。終戦から75年が経ち、残された空襲被害者にはもう時間がありません。一刻も早い法案の成立が求められています。今国会での法案成立を実現するため、ぜひご協力をお願いいたします。

【特定戦災障害者に対する特別給付金の支給等に関する法律案(仮称)<概要>

・対象期間:昭和16年12月8日から昭和20年9月7日(※)

※沖縄での戦闘終結を念頭に置いた期間設定になっている

・対象地域・対象の戦闘行為:日本国内で行われた空襲、船舶からの砲撃等

・対象者:空襲等のため負傷し、

①身体障害者福祉法上の障害に該当する人

②外見に著しい傷痕を残す人

③精神疾患のある人、のうち、法律施行日に生存している人

・ただし、①恩給受給者、②「戦傷病者戦没者遺族等援護法」による給付を受ける人、③特定弔慰金等の支給を受ける人、④「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」による給付を受ける人、等を除く。

・給付金額:50万円

・給付金の支給は請求に基づき、厚生労働大臣の下に設けられる「特定戦災障害者等認定審査会」にて給付対象となるかどうかの審査を受ける。

・政府は空襲等による被害に関する実態調査を行う。

・政府は空襲等により死亡した人に対する追悼の意を表す施設の設置を行う。

【この問題はなぜ大切なのか?なぜ今なのか?】

戦後75年が経過し、様々な社会問題がある中で、なぜ今空襲被害者の救済なのか、疑問に思う方もいるかもしれません。

しかし、私たちの未来のためにも、非常に重要な問題なのです。

この問題を放置すると、国の行為によってもたらされた大きな被害に対して、国は責任を取らなくても良いということを認めることになってしまいます。今後もこの国は、国民の生命や身体、財産に関わる重大な局面でさえ、無責任な対応を繰り返すことになりかねません。その時、理不尽で辛い目に遭うのは、まぎれもなくこれからを生きる私たちや、私たちの子ども・孫です。国家の人権意識が問われているのです

そのひとつの証拠として、「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」(国民保護法)(2004年6月14日成立)があります。国民保護法とは名ばかりで、「国民の保護のための措置」に必要な援助について協力した者が死傷した場合には補償することになっていますが、一般人が被害を受けた場合についての補償は全く考えられていません。これはつまり、「国と雇用関係にない民間人に対しては一切補償しない」としてきた戦争被害者への補償と同じ考え方であり、同じことが再び繰り返されようとしています。

ですから、この問題は戦後75年も経ってしまったから今さらいいだろう、という問題ではなく、今こそ解決しなければならない、緊急性の高い問題です。日本を未来世代に心置きなく託せる国にするために、皆さんのご協力をどうぞよろしくお願い致します。

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意思決定者(宛先)

  • 衆議院議長 大島理森殿、参議院議長 山東昭子殿