10月29日に第3回目裁判があり、双方の準備書面の陳述等が行われ、裁判所からは原告、被告双方に対して、以下の指示がありました。
〈原告に対して〉
裁判所としては、実質的に医師の指示の下に行われているのであれば、義肢装具士の関与如何にかかわりなく療養費支給基準を満たすと考えるので、具体的に医師の指示がどのようになされていたかを明らかにせよ。
〈被告に対して〉
被告の主張は、採型、製作、装着の全てについて義肢装具士の関与が必要だということか否かを明らかにせよ。
また、厚労省通知がなぜ発出されたのか、その経緯を明らかにせよ。 以上から、裁判所は、原告の主張の通り、医師の指示と確認が明確であれば支給基準を満たすと考えているようです。
また、被告に対しては、被告が厚労省通知を根拠に「義肢装具士が製作に関与していることを要件とした」と主張しているため、上記のような指示を出したものと思われます。 なお、裁判所は、原告が提出した下記の大牟田市の事例がとても参考になる、本件でも大牟田市の基準を満たすのであれば療養費を支給して良いのではないか、と述べていましたので、その確認のために上記の指示が出たものと思われます。
福岡地方裁判所
11月5日に第2回目裁判がWeb会議で開催され、双方の準備書面の陳述が行われ、裁判所からは、もっぱら被告に対して、以下の宿題や指示が出されました。
1.厚労省通知がなぜ発出されることになったのか、背景をめぐる経緯を説明する準備書面を提出せよ。
2.判断は、通知のみで行っているのか、久留米市独自の判断基準があるのか、あるのであれば、それを明らかにせよ。
3.なぜ義肢装具士の関与が必要になったのか、その理由を明らかにせよ。
原告に対しては、指示はありませんでしたが、原告が把握している範囲で、通知が出された背景や趣旨、また義肢装具士法の解釈等についての書面を準備したいと述べました。
以上が、両裁判の進捗状況ですが、両裁判所が、異口同音に、被告に対して、通知の発出経緯の説明を求めていますので、なぜ、何のために通知が出されたのかについては、一つの争点になると思われます。
また、熊本地裁ではすでに明示的に取り上げているように、原告が両裁判所に「参考」として提出している以下の大牟田市の支給要件が、重要な意味を持ってくると思われます。
治療用装具の提供に義肢装具士が関与していない場合の大牟田市国民健康保険の療養費支給要件
(1) 医師が、治療用装具の必要を認め、装着適合を医師が確認している。(根拠法 : 国民健康保険法)
(2) 医師の文書により、診療の補助行為にあたる採型・適合(が必要な場合に)は、医師が行ったものと判断できる。(根拠法 : 義肢装具士法)
(3) 療養費の支給基準に準じた適正な価格である。(根拠 : 治療用装具の療養費支給基準についての厚労省通知)
次回の裁判は、熊本の第4回が12月10日、福岡の第3回が1月11日になります。