
昨年12月27日、全国地域生活支援ネットワークが「アメニティーフォーラム28」(2025年2月7~9日)の告知を、例年より約1ヶ月遅れて発表しました。アメニティーフォーラムは、北岡賢剛氏が長年中心になって運営してきた「福祉業界の祭典」とも言われる一大イベントです。今回のプログラムにも、嘉田由紀子参議院議員(元滋賀県知事)はじめとする国会議員や厚生労働省関係者、障害者団体が名を連ねています。北岡賢剛氏の名が芸術監督としてクレジットされるバリアフリー演劇「ジャンヌダルク」の上演もあります。
フォーラムを主催する全国地域生活支援ネットワークの理事長である水流源彦氏は、原告らの性暴力事件当時から現在まで社会福祉法人グローの評議員です。水流源彦氏については、2024年11月28日のグローによる記者会見の際、ジャーナリストの佐藤慧さんから以下のような質問がありました。
「貴法人の評議員でもある水流源彦(つる もとひこ)氏についてですが、本件裁判において、被害者のひとりが北岡氏に泥酔させられホテルに連れ込まれた際に、被害者をホテルに運ぶのを手伝ったのは水流氏であるという証言がありました。氏は当然評議員として、「善管注意義務」が課せられています。水流氏は鹿児島の社会福祉法人ゆうかりの理事長であるほか、NPO法人全国地域生活支援ネットワークの理事長や内閣府の障害者政策委員会の委員なども務めています。本件性加害、ハラスメントの背景には権力勾配の悪用や周囲の黙認といった構造的暴力があることが裁判でも指摘されていますが、水流氏、および他関係者の責任はどのようにお考えでしょうか? この点、グローとしては水流氏に聞き取りなどされたのでしょうか?」
2020年11月の裁判提訴後の2021年2月は、コロナ禍でアメニティフォーラムは開催されませんでした。2022年5月に規模縮小で「アメニティフォーラム25」が開催されることが報じられると、直前の「アメニティフォーラム24」まで10年間企画に関わってきたアサダワタルさんはnoteで「本当にそれを今やることが必要なのか」と問いかけました。
しかし結局、裁判などなかったかのように開催されました。
翌年、3年ぶりに元の規模で開催された2023年2月の「アメニティーフォーラム26」に際しては、産経新聞が原告の鈴木さんに取材して詳しく報じています。
10日開幕の福祉業界フォーラム 「セクハラ訴訟の当事者が関与」と原告が不快感
(産経新聞、2023年2月6日)
記事によると、原告の鈴木さんは、「北岡氏やグローの裁判に関する説明はせず、〔アメニティーフォーラムの〕プログラムにハラスメントが取り入れられないのは嘆かわしい。主催者は福祉業界における職員の人権についてはテーマに取り上げて議論するまでもないと思っているのだろうか」と疑問を投げかけるとともに、「来場者や登壇者がこの問題をどう考えているのか非常に関心がある」としています。判決を経て初めて開催される今回のプログラムにも、性暴力やハラスメントに関わるプログラムは全く見当たりません。
毎年登壇してきたNPO法人ほうぼくの奥田知志理事長は、判決後に下記の声明を出し、今回は参加しないようです。
元社会福祉法人グロー理事長、北岡賢剛氏の20241024判決についての抱樸としての見解と、北岡氏との関わりについて
また、全国自立生活センター協議会も、下記の声明を発して参加をしない旨、明らかにしています。
社会福祉法人グロー 北岡賢剛前理事長の判決についてのJILとしての声明文
当会の活動は、2024年2月の「アメニティフォーラム27」に際してスタンディングをするところから実質的に始まりました。その際、地方から参加された方が「裁判がどうなったのか、実は気になっていた。チラシを分けてほしい。地元で配る」と言って声をかけてこられました。
前記noteでアサダワタルさんは次のように述べています。
「別に「係争中」であろうが、そのシステムの外で、私たちの生きた生活のなかで、仲間達を気遣い、自分の加害性/被害性を再度点検し、問い合い、高め合うことだってできるはずだ。そういう対話の機会を経ずしては、僕はアメニティの実施には賛同できない。」
当時は「係争中」でしたが、判決が下った今になっても「そういう対話の機会」を経ずに開催されようとしていることに改めて強い憤りを感じます。