Message aux signataires劇場をアクセシブルに 鑑賞に障害がある人もない人も一緒に楽しめる劇場を作ってください!!【#劇場をアクセシブルに 】自由民主党ユニバーサル社会推進議員連盟総会に参加しました
We Need Accessible Theatre !Japon
5 juil. 2026

 2026年7月2日(木)、参議院議員会館にて
「自由民主党ユニバーサル社会推進議員連盟」の総会が開催されました。
帝国劇場への署名活動を契機に活動を支援いただいている
(特非)シアター・アクセシビリティ・ネットワーク(TA-net)として、総会に参加しました。

 当日は、萩原昌子(音楽のアクセシビリティアドバイザー、研究者)、岸本匡史(穂の国とよはし芸術劇場 芸術文化プロデューサー)、手話通訳2名が出席し、
芸術文化におけるアクセシビリティ向上の必要性と、課題について要望を行いました。

▼ 今回私たちが提出した 要望のポイント 

 1.舞台芸術におけるアクセシビリティの「ガイドライン策定」
 2.アクセシビリティ経費に特化した全国共通の「助成制度」の創設 
 3.情報保障の足かせとなっている「著作権問題」の解消 
 4.文字による情報保障を担う「専門人材の育成推進」

 要望書PDFはこちらからご覧いただけます
https://drive.google.com/file/d/1HpZTnV_G2Bt0yytyK2dA4XLKhFqU91Q5/view?usp=drive_link
(※テキスト版は本記事の末尾に記載しています)

 総会の最後に、議連幹事長 盛山正仁先生から、
日本の飲食店がアメリカで店舗を出す時は、ADA法(障害のあるアメリカ人法) に則って
車いすユーザーが利用しやすい店舗設計を行っているが、日本ではそうなっていない。
日本でも制度としてしっかりと対応を、という趣旨の力強いご発言がありました。

 今回の総会では13団体が要望を行いましたが、芸術文化に関わる要望は限られており、
この分野で声をあげていくことの重要性を改めて実感する貴重な機会となりました。
 芸術は障害のある人もない人も、誰もが人生を豊かに生きるための大切な基盤となるものです。
みんなで一緒に舞台を楽しみ、感動を分かち合える社会を目指し、これからも活動を行ってまいります。


<要望書テキスト版>

芸術文化分野におけるユニバーサル社会の実現に向けた要望書

平素より格別のご理解、ご協力を賜り深く感謝申し上げます。特定非営利活動法人シアター・アクセシビリティ・ネットワークは、「みんなで一緒に舞台を楽しもう!」という理念のもと、舞台芸術におけるアクセシビリティ向上に取り組んでおります。芸術文化へのアクセシビリティは、一部の人への配慮ではなく、誰もが等しく保障されるべき権利です。その実現に向け、以下の施策を強く要望いたします。特段のご支援を心よりお願い申し上げます。

                 記

要望1.舞台芸術におけるアクセシビリティのガイドラインを障害のある当事者や支援者と共に作成してください。

<要望の趣旨>

 芸術文化分野におけるアクセシビリティ向上に向けたモデル事業や研修などに継続して取り組んでいただき、深く感謝申し上げます。一方で、障害者が舞台芸術を鑑賞できるかどうかは、依然として事業者の判断によるところが大きく、地域や作品によっても差が生じています。

 先日、日本演劇界を牽引する演劇集団により、大規模な舞台作品が上演され、「ろう者」が出演、演出には「手話」が取り入れられました。聴覚障害当事者の出演機会の確保や、舞台表現のひとつとしての手話の導入は大変喜ばしいものです。
 その反面、アクセシビリティへの取り組みは「字幕」の提供が、全52公演中2公演にとどまり、さらに地方公演(北九州8公演・大阪13公演)では一切提供されていません。ろう者が出演しているにもかかわらず、観客として聴覚障害当事者が鑑賞できる機会は東京のみであり、全公演の3%にも達していないのです。
さらに、聴覚障害当事者のための字幕席は抽選での販売・枚数限定のため、実際に鑑賞の扉が開かれている座席は0.2%程度です。この事例は、芸術文化分野における障害のある鑑賞者のアクセシビリティが、十分に保障されていない現状を示しています。
 これまでの取り組みにより蓄積された知見や成果を、モデル事業や先進的な取組にとどめることなく、全国の劇場や文化施設、商業演劇を含む全体へ広く展開していくことが重要であると考えます。
障害の有無にかかわらず誰もが舞台芸術にアクセスできる環境の実現に向け、ガイドラインの作成をお願い申し上げます。

要望2.アクセシビリティ経費のみを対象とする助成制度を創設してください

<要望の趣旨>

 現在、国の助成制度では採択された個別の事業を中心に、字幕、手話通訳、音声ガイド等のアクセシビリティ関連経費を助成対象としています。そのため、障害者が舞台作品にアクセスできるかどうかは、事業の採択結果や主催者の規模・財政状況等に左右される状況が生じています。アクセシビリティの取り組みは、事業内容の審査とは別に提供されるべきではないでしょうか。
 例として、東京都では公益財団法人東京都歴史文化財団アーツカウンシル東京による鑑賞サポート助成制度が整備され、小団体から大規模事業まで多くの舞台芸術事業者に活用されています。しかし当然ながら、利用対象は東京都内の事業に限られるため、地域格差が生じています。 

 アクセシビリティは作品の「付加価値」ではなく、芸術文化への参加を支える「基盤」です。障害者の鑑賞機会が、公演の採択結果や地域によって左右されることなく、全国どこでも必要な情報保障が提供できる環境の整備が必要です。
そのため、アクセシビリティ経費のみを対象として申請可能な、全国共通の助成制度の創設をお願い申し上げます。

要望3.アクセシビリティ向上を目的とする著作物利用について、著作権上の課題を解消するための法制度整備を行ってください。

<要望の趣旨>
 舞台や映像等の芸術文化分野において、聴覚障害当事者が芸術文化団体等の事業者に対し、合理的配慮として「字幕」等の情報保障を求めた際、「著作権の処理」を理由に提供が見送られる事例が後を絶ちません。
 それは、字幕を提供するためには、台本や歌詞といった著作物を、電子上も含め「複製」することになり、そのために著作権利者への許諾及び費用が必要となるためです。

実際に以下のような事象が発生しており、アクセシビリティ向上の足かせとなっています。


 ・許諾が得られない:著作物を複製するための許諾が公演に間に合わない、
  著作物を複製する許諾自体が得られない。
  そのために、「許諾が必要な歌詞部分の字幕のみ省いて提供する」という不完全な対応を
  強いられたり、「一部の歌詞の許諾が得られない」ことを理由に、字幕提供そのものを
  断念される。
 (字幕がないことは障害者が作品にアクセスできないことを意味する。歌詞も登場人物の心情や作品のテーマなどを表現する重要な情報である。) 

 ・手続きの過大な負担:複数権利者への個別の許諾確認や事務手続き、費用などが、
  事業者の負担となっている。

 現行の著作権法第37条の2(聴覚障害者等のための複製等)および同施行令第2条の2には、福祉に関する事業を行う者(政令で定めるもの)がサービスを提供することを前提とした、権利制限(福祉の特例)が存在します。 しかしながら、以下のような厳格な要件の壁があり、一般事業者が一時的な公演等で円滑に活用できる制度になっていません。 

 1.主体の壁:一般の芸術文化団体や興行会社は、適用主体に該当しない。

 2.対象の壁:適用範囲が「専ら聴覚障害者等のため」と制限されており、
   利用者を限定して運用するシステム構築を求められ、オープンな形で提供できない。
   実際は、聴覚障害者だけでなく、加齢性難聴の高齢者、日本語学習者など、
   字幕がなければアクセスできない人が広く存在する。

 この状況は、国が推進する「ユニバーサルな環境の整備」という方針とも矛盾し、アクセシビリティ向上の大きな足かせとなっています。


 また、これらの課題については、文化庁 令和3年度障害者等による文化芸術活動推進事業「障害者による文化芸術活動の推進に関する実態把握事業報告書」等で、事業者側からも問題提起がなされています。

 つきましては、特定の福祉団体に限定せず、事業者が障害者等の情報保障を目的として対応を行う場合において、著作物の複製(歌詞・台本等)による字幕対応を円滑に行えるよう、制度整備を行ってください。

 必要に応じて、特定目的での利用に関する権利制限規定の創設(情報保障目的における許諾の免除)を含め、法改正についても速やかに検討してください。  


要望4.芸術文化における文字による情報アクセシビリティを担う専門人材の育成を推進してください 

<要望の趣旨>

 文化芸術の場において、手話通訳と並び要となっているのが「文字による情報保障」です。中途失聴者や難聴者など、手話を第一言語としない多くの聴覚障害者や高齢者等にとって、文字情報は作品を鑑賞するために不可欠なアクセス手段となっています。 

 近年、AI・音声認識技術が急速に発展し、文化芸術分野においても活用が進んでいます。しかし、この分野で求められるのは、単なる音声の文字起こしではありません。音楽、効果音、声のニュアンスや息遣いといった「音情報全体」を視覚化し、作り手の芸術的意図を損なうことなく観客に届けるには、芸術文化への深い理解と解釈が求められます。

 たとえば演劇等の字幕制作は、音声を文字化するだけではない、作品世界を生き生きと伝えるための芸術表現の一部であり、それゆえに高度な専門性と困難さが伴います。
 また、台本のないトークイベントやシンポジウム等においても、AI・音声認識技術の活用には、より正確に認識させるための環境の整備、事前の辞書登録、舞台芸術専門用語を含む誤変換のリアルタイムな修正など、知識と経験のある専任スタッフの手が欠かせません。

 現在、このように芸術文化分野の現場に求められる高度な知識と技術を必要とする文字情報保障において、これらの専門人材が著しく不足しています。さらに、こうした担い手は職業としても社会的な存在としても十分に認知・確立されていないのが現状です。

 AI・音声認識システムのみでは完結できない、「人が担う専門領域」を明確に整理・体系化し、その担い手を育成するための機会や環境の整備を強く求めます。         
                                以上

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