出産費が「61万円超」の人がほぼ半数。高すぎて子どもを産めない国・ニッポン。出産を原則無償にしてください!#出産を無償に

出産費が「61万円超」の人がほぼ半数。高すぎて子どもを産めない国・ニッポン。出産を原則無償にしてください!#出産を無償に
この署名で変えたいこと
■まさかこんなに高いとは…退院時の請求書には「ほぼ70万円!」
「里帰り出産した時、子どもが生まれた喜びもつかのま、請求書の70万円近い金額にびっくり。かき集めて払ったけど、2人目はどうしよう・・と夫婦で話しています」
「4人目の出産は55万円。1人目、2人目の時よりはるかに高額なっていて焦りました」
「高い。産みたくてもこの金額では産めない。育児放棄や赤ちゃんポストを使いたくなる人がいてもおかしくないと思った」
「教育にも多額の負担があるのに、(子育ての)入り口の出産でなぜこんなにお金がかるのかわからない」
これらは、最近出産を経験した方から寄せられた声です。高額な出産費用が「産み控え」を招いている状況が見て取れます。
出産には「出産育児一時金(42万円※1)」が健康保険から支給されているものの、費用は年々上昇し、首都圏を中心に数十万円もの自己負担が必要なケースが増えています。
厚労省の調査では、2019年の全国の出産費用の平均は52万4182円で、7年前から3万7千円も上昇していました。
私たちが行ったweb調査では、全国約1,200人のうち47%が出産費用は「61万円以上」かかったと回答。この負担を「高いと思う」が3分の2を占め、「妥当だと思う」は28%でした。半数以上が「自己負担が大きくて驚いた」「日本は子どもを産みにくい国だと思った」と答えています。
→調査結果は〈子どもと家族のための緊急提言プロジェクト〉サイトで
この調査では、一時金の範囲内で産めたのはわずか7%。しかも、その半数は、帝王切開で医療保険適用になったため負担が軽くなった人たちでした。
■産める病院自体が激減。妊婦は医療機関を選べない
10年以上前から産科医不足は深刻で、首都圏などの都市部でも「産める医療機関」は減っています。加えて高齢出産や不妊治療が増え、「ハイリスク」とみなされる妊婦は近所のクリニックや助産院から高額な高度医療機関に回されることがあります。
妊娠判明ですぐに予約しないと「産み場所」が決まらない“出産難民”の不安も広がっており、不本意でも高額な病院に予約せざるをえないケースが増えています。
■ブラックボックスの中、高額化する出産費用
驚くのは、「国民皆保険」を誇る日本において、なぜか妊娠・出産は公的医療保険の適用外とされ、退院時の請求額が非常な高額になっても、一時金を超えた支払いは自己責任とされていることです。※2
出産は自由に価格設定できる自由診療であるため、「エステ」「マッサージ」「特別な料理」など母子の安全や健康に必須ではないサービスが追加されたセット料金が提示されたり、高額化する傾向もみられます。web調査では、「産後に体調が優れず、お祝い御膳もエステもいらなかった」「エステとかなくていいから安くしてほしい」などの声がありました。
日本と同じく「国民皆保険」のイギリス、フランス、ドイツでは妊娠・出産も保険適用されており、さらに自己負担がない「出産無償化」が実現されています。
“少子化危機”といわれる日本で、なぜ出産する人たちに高額な自己負担を強いる状況が放置されているのでしょうか。将来の結婚や出産を考える若者に、「お金がないなら出産はできない」と思わせていてよいのでしょうか。
■出産一時金の増額は解決ではない
問題に気付き、政府も出産育児一時金の引き上げを検討することになりました。自民党の有志議員は5月、出産費用の軽減を岸田首相に申し入れ、首相も「(一時金の引き上げは)さらに努力しなければいけない」と国会で答弁しています。
ただ、これまでも一時金が増額されると医療機関の料金設定がさらに高くなり、結果、妊産婦の負担が軽減されない状況が続いてきました。今必要なのは、出産費用の基本部分は公定価格にして料金を透明化し、自己負担を極力なくすことです。
そして、出産も保険適用とし、豪華な料理などの特別なサービスを除けば、「原則無償」にすることが求められています。一時金の増額だけでは本当の解決にならないからです。
■少子化対策の“入口”は、出産の無償化
内閣府が2020年度に日本、フランス、ドイツ、スウェーデンの4か国の若い世代に行った「少子化社会に関する国際意識調査」では、自分の国が子どもを産み育てやすいと思うかという質問に、「そう思う」と答えた割合がスウェーデンで97%、フランス82%、ドイツで77%と高かったのに対し、日本は38%でした。61%が「そう思わない」と回答し、4か国のなかで突出した「産み育てにくい国」であることが浮き彫りになりました。
日本では「子育ては家族責任」とされ、社会的支援が乏しく、子ども・子育ての政策に使う予算が少ない問題が指摘されます。出産を無償化した主要国が多いなか、自己責任を基本としている日本の現状は、“貧弱な子育て政策”の象徴ともいえます。
現在、国は全世代型社会保障の構築へ議論を重ねていますが、最重要課題である少子化の対策を本気で前進させるなら、その第一歩として「出産の無償化」の実現を求めます。
私たちは、出産費用のほか、妊娠中や産前産後の支援も含めて、子育てスタート期の社会的支援の乏しさを問題視し、「子ども・子育て政策の改革 5つの緊急提言」を掲げています。妊娠期から全ての親子に専門家が寄り添う伴走型支援など、子どもと家族のための普遍的で、包括的な政策の実現を目指しています。出産費用問題は、子育てのスタートラインに立つ全ての家庭に立ちふさがる「壁」となっていることから、包括的な政策への“入口”と位置付け、「出産費用の壁」の撤廃へ取り組んでいます。
■以上の理由から、私たちは以下の2点を
岸田内閣総理大臣
野田少子化対策担当大臣
後藤厚生労働大臣
に求めます。
① 出産費用の実態調査と費用高騰の要因究明(予約金、特別なサービスなどの実態把握を含む)
② 出産費用の公定価格化と、出産の原則無償化
経済状況に関わらず、誰もが安心して子どもを産める社会、子どもたちが安心して生まれてくることができる国へ、変えてください。
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※1:一時金には、出産事故に備えた産科医療補償制度の掛け金も含まれるため、実質的な支援は40万8千円。 ※2:医療保険制度では、例えば100万円の手術を受けた患者の負担は3割の30万円となり、さらに過重な医療費で困窮しないよう負担軽減する「高額療養費制度」により、実際に支払う額は平均的所得の人なら9万円程に軽減されます。