マンション建設の建築確認取消請求に関し、公開口頭審査が4月18日、京都大学シンポジウムホールにて開催されました。審査請求人として聖護院門跡門主の宮城泰年さん、聖護院・黑谷の景観を守る会から近隣住民2名、審査請求人代理人として中島晃弁護士及び飯田昭弁護士、更に参考人として大森直樹一級建築士が出席し、陳述を行いました。処分庁側は代理人として日本ERI(株)から6名出席しています。
請求人陳述は何れも、京都の景観を讃え、その毀損を憂う市民・府民・国民の思いをまぎれもなく代弁しているのに較べて、処分庁側の陳述は既提出済の弁明書の棒読みに近く、京都へのリスペクトは微塵も感じられない無機質な陳述に終始しました。彼らの主張はただ建築基準法には違反していないという一点に収束するのみです。
公開審査には50名以上の方々が傍聴に訪れ、地元の関心の高さを再確認しました。どちらの陳述が出席者の心に響いたかは、言うまでも有りません。
今回の審査ではまだ結論は出ず、継続審査となりますが、こうしている間にも建設工事は進行しています。法律の壁は厚く、建築確認を覆すのは容易ではありませんが、実直に声を上げ続ける他に京都の景観を守る道は有りません。私たちは機会有る限り主張し続けますので、今後ともご支援頂きますよう、お願い申し上げます。
<提出陳述書より>
現在、建築確認取消審査請求中のマンション予定地は、京都市より「山並み背景型美観地区」に指定された区域内にあります。当該マンションは高さ15mの高層マンションで、完成したあかつきには、現在春日北通りから一望できる東山の山並みが、数十メートルに亘って遮られてしまいます。何故この山並み背景を遮ってしまう建物の建築が許可されてしまうのでしょうか。中高層条例において、この地区の建築高さは15mに規制されており、その意味では規制範囲内です。しかし中高層条例は正式には「京都市中高層建築物等の建築等に関わる住環境の保全及び形成に関する条例」であり、新たな建築物によって既存の住環境が悪影響を受けないように規制をかけるための条例であったはずです。その中から高さ規制値15mだけを取り出して建築許可を与えるのは、全く条例本来の理念から逸脱していると言わざるを得ません。長年日々の生活の中で東山の景観を眺めつつ暮らしてきた近隣住民にとっては、この景観を失うことは住環境の悪化そのものです。法律は何故この悪化を阻止できないのでしょうか。これで美観地区と言えるのでしょうか。
マンション建設に反対はしていません。山並み背景型美観地区にふさわしい、周辺環境に調和した建築物を望んでいるだけです。三階以下の低層建築にすればたやすく可能です。山並み背景も保全されます。建築確認の際、何故このような指導ができなかったのでしょうか。
京都の景観は貴重な歴史的資源であり、国民共有財産です。これを保全し、将来世代に引き継がせて行く事が、大多数の京都市民・府民の思いです。この市民・府民の思いを実現するためにこそ作られた法律が景観法や中高層条例ではなかったのでしょうか。
今法律は開発企業の利潤追求野望に寄り添って運用されています。こんな運用を続けていけば、50年、100年後の京都の景観はどうなっているでしょうか。気づいたら高層マンションやホテルが立ち並び、かつての山並み背景の景観も失われた、殺伐とした街に変貌しているのではないでしょうか。今歯止めをかけなければ、この未来は必ずやってきます。開発企業に節度は期待できません。目先の利益を追い求めて開発を続け、その結果京都のアイデンティティは失われていきます。今こそ法律を市民・府民目線で運用し、京都の景観を守るために役立てましょう。
