多くの署名をありがとうございます。
おかげさまで、5万人以上(「見直しメッセージ」含)の賛同を大阪高裁裁判長宛に届けることができました。詳細はあらためて報告致します。
以下は裁判の報告です。
2025年9月3日(水)15:30より、大阪高裁にて、第1回裁判が行われました。裁判では、控訴人(建築士)の意見陳述と、中島晃代理人弁護士の意見陳述が読み上げられました。
それに先立ち、建築物が完成し8月22日に検査済であるとの日本ERI株式会社からの反論書により、控訴人代理人弁護士から日本ERI株式会社への控訴については取り下げる旨が伝えられました。(特例の用途許可取消については、継続して争います。)
次回裁判 11月28日(金)13時10~判決 大阪高裁別館84号法廷
署名は引き続き取り組みます。多くの方のシェア・賛同を呼びかけます。
意 見 陳 述 書
2025(令和7)年9月3日
大阪高等裁判所第3民事部ハ係 御中
控訴人ら訴訟代理人
弁護士 中 島 晃
1、京都市は、富裕層を対象とした高級ホテルと誘致することを目的として、宿泊施設の立地をきびしく制限している地域であっても、上質な宿泊施設と認定できれば、これを許容することを前提にして、上質宿泊施設誘致制度を2017年に導入した。
本件ホテルは世界文化遺産を構成する仁和寺の門前であって、しかも建築基準法で許容されている延べ床面積の約2倍もの床面積の宿泊施設であるにもかかわらず、この制度の適用第1号として京都市により上質宿泊施設に選定されたことから、はじめて建設することが可能とされるに至った。
しかし、建築基準法48条に定める特例許可に先行して、京都市が2021年4月に本件ホテルを上質宿泊施設に選定したことは、その後の本件特例許可の審査手続きを大きくゆがめていったといっても過言ではない。
しかも、その後、2021年6月に本件ホテルの建設を計画している株式会社共立メンテナンスが大阪府労働委員会から不当労働行為があったと認定されたことにより法令違反があったとして、京都市から入札参加を停止すると決定を受けたこと(甲12~14)は、上質宿泊施設の運営主体としての適格性に疑義をもたらすものであったことはいうまでもない。
2、建築基準法48条5項は、第一種住居地域(住居の環境を保護するため定める地域)内において延べ床面積が3000㎡を超える商業施設等の建築を原則として禁止し、特定行政庁が「第一種住居地域における住居の環境を害するおそれがない」と認めて特例許可を行った場合に、初めて例外的にその建築を許容するものと定めている。
ところで、この特例許可にあたっては、あらかじめ建築審査会の同意が必要とされているところ、本件ホテルについては、京都市建築審査会の審議の過程で、「第一種住居地域における住居の環境を害することになる」との意見が出されていることは証拠上明らかなところであり(乙9、8頁)、またこうした意見が出されることは当然のことであったということができる。
にもかかわらず、建築審査会が最終的に本件特例許可に同意したのは、事業者が交通量や騒音の抑制等を図るための配慮事項を確実に履行すること、その配慮事項に関して京都市長が事業者と覚書を取り交わし、事業者が配慮事項を履行しなかった場合には、京都市長は本件特例許可を取り消すことができるというきわめて異例とも言うべき条件がつけられたことによるものである。
そして、建築審査会の上述した同意を受けて、事業者が配慮事項を確実に履行すること、また事業者が違反した場合には特例許可を取り消すという、上述したまことに異例の条件のもとに、京都市長によって本件特例許可がなされたものである。
3、以上から、まず第一に、はたして事業者が遵守するとしている配慮事項が第一種住居地域における住居の環境を害さないものとして適切なものといえるかどうかが問われる必要があり、また第二に、配慮事項を事業者が確実に履行することが本当に担保されているといえるかが問われなければならない。
本件で、裁判所に求められていることは、上述した2つの問題について真正面から取り組み、その点についていささかでも不十分なところがあれば、本件ホテルは第一種住居地域における住居の環境を害するおそれがないとはいえないとして、本件特例許可を取り消すことが求められているというべきである。
その点で、原判決は、このことに正面から答えることなく、現実にはありもしないビジネスホテルが建設される場合を例に持ち出して、それとの比較で住居の環境が害される程度はそれほど大きくないかのようにいうのは、上述した裁判所の職責を放棄するものとのそしりを免れないのではないだろうか。
4、控訴人らが裁判所に何よりも強く望むことは、国民の負託にこたえて、はたして事業者のいう配慮事項によって、騒音や交通量の抑制等を図ることができるか、また上述した配慮事項が事業者によって確実に履行されることが本当に担保されているといえるかどうかについて、証拠にもとづいて個別具体的に検討されるとともに、事業者が大阪府労働委員会から不当労働行為と認定されて是正勧告を受けている事情も考慮に入れたうえで、未だに覚書が締結されていないことなどから、配慮事項の確実な履行には重大な疑問があることを正しく見すえた判断を下していただきたいということである。
そうすることによって、裁判所が原判決の誤りを是正し、本件特例許可を取り消す公正な判決が下されることを確信して、当職の意見陳述を終えるものである。

