【血液専門研修/教育施設の現状調査(第3報)】: もはや地域間格差ではありません—あらゆる枠を越えてつながり、安心の未来を担う専門医を皆で育てましょう😊!


日頃より温かいご支援をいただいている皆様
関東地方における豪雨被害のニュースには心が痛む思いです。
本日、わが国に未曾有の犠牲をもたらした太平洋戦争の終戦から、81年の節目を迎えました。現代を生きる私たちは、この経験から何を学び、何を行い、何を次世代に伝えていくべきか、その問いには尽きることがありません。
さて、大変お待たせしておりましたが、このたびようやく血液専攻医の研修・教育施設を対象とした現状調査の結果がまとまりました。その驚くべき結果を、いち早く皆様にお伝えいたしたく、お盆でお休みのところに失礼をいたします。[全診療科からの回答ではないため、以前にお伝えしましたように、以下の結果には施設バイアスや非回答バイアス(注)の影響を考慮する必要があります。](注:「回答した診療科」と「回答できなかった診療科」の間に背景の相違があることで生じる偏り。)
今回、6月15日から8月9日までのわずか8週間のうちに、255の診療科から回答にご協力をいただきました。まず、その内訳をお示ししますとともに、あらためて深く感謝と御礼を申し上げます。
• 成人診療科(対象603診療科):218件(回答率36%)
• 小児科(対象107診療科):37件(回答率35%)
• 合計(対象710診療科):255件(回答率36%)
なお、今回の解析では主として地域別の比較を行いました。「大都市圏」は、首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)、愛知県、および京阪神(京都府・大阪府・兵庫県)の1都2府5県(計8都府県)と定義しました。これは医療提供体制の分析等で用いられる三大都市圏に準じた区分であり、「大都市圏」と「大都市圏以外(1道38県)」の2群に分けて集計・解析を行いました。
(1)小児診療科の解析要約:
① 医師確保の脆弱性が示唆されました:
回答して下さった37診療科のうち、12診療科(32%)では2024~2026年度の3年間を通じて新規採用者が0名であり、22診療科(60%)では3年間の新規採用者数が1名以下でした。仮に未回答の全診療科で3年間に2名以上の新規採用者を確保できていたという、最も楽観的な仮定を置いた場合でも、全対象107診療科中22診療科(21%)では3年間の新規採用者数が1名以下ということになります。したがって、回答率の限界を考慮しても、小児血液疾患診療を将来担う医師の確保が困難な診療科が、全国にかなりの割合で存在することが示唆されました。
② 明確な地域差は証明されませんでした:
今回の回答施設では、3年間の新規採用者が0-1名であった割合は、意外にも大都市圏で65%、大都市圏以外で55%と、むしろ大都市圏で高かったのですが、統計学的有意差は認められませんでした。回答診療科数が37と少なく、施設バイアス・非回答バイアスの可能性を除外できないため、地域差について確定的な結論は得られませんでした。しかし、医師確保の問題が地方だけに限定されたものではなく、大都市圏にも存在する可能性が示されたと言えます。
(2)成人診療科(血液内科)の解析要約:
① 大都市圏以外では常勤医2名以下で診療を維持している施設が4割に上りました:
回答をして下さった218診療科における常勤医数の中央値は、大都市圏4人、大都市圏以外3人でした。診療体制が脆弱になりやすい一つの目安として「常勤医2名以下」に注目すると、その割合は大都市圏28%に対し、大都市圏以外では40%にも達していました。大都市圏以外の地域における血液疾患に対する診療提供体制が、非常に脆弱であることを示す重要な知見と考えます。
② 次世代への診療体制の継承に懸念を抱える施設が4分の1以上存在します:
今後10~20年間の血液診療を担う世代の存在を評価するため、40歳未満の常勤医師数に注目しました。その結果、40歳未満の常勤医が1人もいない診療科は、大都市圏25%、大都市圏以外35%にも上りました。大都市圏以外では約3診療科に1診療科で40歳未満の常勤医が不在であることになり、現在の診療体制を次世代へ継承することが出来なくなる可能性を秘めた大きな懸念事項と考えられます。
③ 常勤医師の新規採用が停滞している施設が大都市圏でも多いことがわかりました:
大変驚いたことに、2024~2026年度に新規採用者が0名であった成人診療科の割合は、55.0%→57.8%→59.6%と3年連続で増加し、2026年度には約6割に達しています。また、2024~2026年度の3年間を通じて新規採用者が0名だった診療科は63診療科(29%)、3年間の新規採用者が1名以下にとどまった診療科は127診療科(58%)でした。すなわち、回答診療科の約6割では、3年間に新たに加わった常勤医が1名以下であったことになります。
④ 新規採用者が少ない問題は大都市圏でも大都市圏以外と同様であることが判明しました:
3年間を通じて新規採用者が0名だった診療科は、大都市圏でも23%に達しており、大都市圏以外では33%でした。加えて、3年間の新規採用者が1名以下であった割合は56%(大都市圏)対59%(大都市圏以外)で、地域差を認めませんでした。したがって、血液内科医確保の困難は地方だけの問題ではなく、大都市圏にも広く存在していることが判明しました。
以上の集計結果をお読みになられて、血液疾患の診療体制が大都市圏においても「危機」を迎えつつあるとお感じになった方が多いのではないかと推測いたします。私自身も、全く予想していなかった結果であり、血液疾患を専門的に診療している医師数がすでに「絶対的不足」に陥っていることを考えざるを得ません。
しかし、今ならまだ間に合います。
がん・血液疾患の専門医不足は、もはや一部の地域だけの問題ではなく、私たちの命と未来に直結する共通の危機です。
市民と医療従事者が、あらゆる枠を越えて手を取り合い、声を上げ、共に行動することで、必ずこの現状は変えられます。今こそ、私たち一人ひとりの力を合わせ、解決への扉を共に開きましょう。
署名サイトURL: https://c.org/wNtJ4MWsWD
(8月12日より、医師育成に関する制度の改革を求める新しい署名活動も開始しています。ぜひ、こちらもご支援をよろしくお願いいたします。)
「あなたの病気を診られる専門医が、この地域にはいません」――そんな日本にしないための緊急署名!!」署名サイト:https://c.org/Pxt7CdrmTK
一戸辰夫(「若手がん治療医・血液内科医を支援する会」代表)[連絡先:tatsuo.ichinohe@icloud.com いつでも皆様からの建設的ご批判・ご意見をお待ちしています]