一戸 辰夫Hiroshima, Japan
Aug 7, 2026

いつもご支援をいただいている皆様

毎年、8月6日から8月15日までの10日間、私の暮らす広島は「特別な街」になります。

平和を求める医師の国際組織としては、「国境なき医師団(MSF)」や「核戦争防止国際医師会議(IPPNW)」(いずれもノーベル平和賞受賞)が有名ですが、現在、世界中の紛争地やスラム街で多くの医師たちが、住民の生命を守るために片時も休むことなく仕事を続けています。

神様は時に人間に対して残酷で、そのような地域でも平和な先進国と変わらず、悪性腫瘍に罹患される患者さんは少なくありません。世界最貧国と言われる南スーダン(注1)、ブルンジ(注2)では、国内での統計が未整備ですが、国際がん研究機関の推計では、それぞれの国での年間がん罹患者数は、8000人以上と見積もられています。国内での医療システムがほぼ皆無であるため、患者さんは極めて限られたハードルの高いルートを通じて医療へのアクセスを模索します。ごく一部の富裕な患者さんは、がん治療の設備が整った近隣国や海外へ渡航して治療を受けることが可能ですが、ほとんどの患者さんは、がんに対する治療を受けることはできず、痛みなどの症状を緩和すること以外、病状の進行に身を任せる以外の道を選択できません。(注1:人口約1,240万人)(注2:人口約1,470万人)

世界保健機関(WHO)の最新調査によれば、国の基本医療パッケージに「がんの標準治療」を含めている国は、調査対象国のわずか39%とされています。つまり、世界の過半数の国では、がんになった時点で医療へのアクセスが断たれているのが、悲しい現状です。このように、必要な治療を受けることができない不条理に見舞われる「がん患者さん」が、世界全体では年間約1,000万人〜1,200万人以上に上ると推計されています。

翻って、日本の医療がいかに素晴らしいかを考える時、私はいつも「複雑な気持ち」を逃れることができません。広島に世界で初めて落とされた原子爆弾「リトルボーイ」に使用されたウランの大半が、当時、ベルギーの植民地であったコンゴ(現:コンゴ民主共和国)南部に位置する「シンコロブエ鉱山」から採掘されたことはご存知の方も多いと思います。シンコロブエ鉱山のウランは極めて純度が高く、米国やカナダで採掘されるものだけでは、おそらく原子爆弾を製造することができなかったと推定されていますので、もし、コンゴが植民地でなければ、広島や長崎の悲劇は起こらなかったかもしれません。

そして、まさに原爆のウランと同じように、現代の高度医療を支える医療機器の電子部品や薬品の重要成分の多くが、開発途上国や貧しい国々の地下資源(鉱物や植物)に依存していること、また、それらの資源から得られる利益が武器の購入などに利用され、紛争を長期化させる一因となってきたこと、を私たちは忘れてはいけないと思います。(ご興味のある方は、華井 和代氏の著作『資源問題の正義――コンゴの紛争資源問題と消費者の責任』(東信堂, 2016年)をお読みになることをお勧めします。)

「平和とは何か」
いくら問い続けても、私はいまだに回答を見つけることができません。
ぜひ、皆様のお考えをお聞かせいただきたく思います。

皆様のお力添えにより署名をしてくださった方々が3,000名に近づいた日に
署名サイトURL: https://c.org/wNtJ4MWsWD

一戸辰夫(「若手がん治療医・血液内科医を支援する会」代表)[連絡先:tatsuo.ichinohe@icloud.com  いつでも皆様からの建設的ご批判・ご意見をお待ちしています](なお、このオフ・トークの内容はあくまで一戸個人の見解であり、本署名活動のサポーターの方々や後援団体の立場を表明するものではありません。)
 

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