Kozuma Gakuji京都, Japan
Feb 6, 2026

 1月29日に、当該マンション建築確認取消請求訴訟の第1回口頭弁論が、京都地方裁判所101大法廷にて開かれ、原告代理人として中島弁護士、飯田弁護士、今西弁護士及び原告代表として私も出席しました。当日は原告側の意見陳述のみが予定されていたため、被告側は出席していません。傍聴席には「聖護院・くろ谷の景観を守る会」のメンバーや支援者、計約60名が出席される前で、まず原告代表として意見陳述を行いました。その後、中島弁護士による法律に基づいた審査請求弁論が行われ、閉廷となりました。その後、出席者は弁護士会館会議室に移動し、交流会を実施しました。交流会では、京都市内各所で進む巨大建築の阻止に取り組む方々の、現状報告と意見を聴き、大いに励まされました。裁判は今後更に3度の審理が行われた後、8月6日に判決言渡となります。マンションの竣工予定日は8月18日ですので、正にぎりぎりのせめぎ合いですが、諦めるつもりは有りません。残り3回の審理でも手を緩めず、違法性を追求します。

<原告意見陳述書>

本件マンションの建設現場は、本山修験宗総本山聖護院門跡の真南に位置し、東は浄土宗大本山・くろ谷金戒光明寺へと続く道を中心としたこの地域は、東山や大文字山を背景に望む「山並み背景型美観地区」として京都市より指定されています。歴史都市京都固有の風情ある市街地景観が貴重な文化的資産であることは、まさしく市民共通の思いであり、ならばこその美観地区指定であると、私たちは理解しています。当然ながらその保全と次世代への継承は、京都市民に課された義務であり、その遂行を目的として「京都市市街地景観整備条例」が制定されていることは、その冒頭第1章第1条に、以下のように明記されています。

第1条 この条例は,本市固有の趣のある市街地の景観が市民にとって貴重な文化的資産であることにかんがみ,建築物及び工作物(建築物を除く。以下同じ。)の位置,規模,形態及び意匠の制限並びに植栽等に関する事項その他市街地景観の整備に関し必要な事項を定めることにより,良好な都市環境の形成及び保全に資するとともに,当該景観を将来の世代に継承することを目的とする。

 そしてその第2章第10条には以下の記載があります。

第10条 美観地区等内における工作物(屋外広告物等以外の工作物で、土地又は建築物に定着するものに限る。以下この節において同じ。)の形態、意匠、高さ等は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。

 引き続いて(3)項には以下の記載があります。

(3) 規模及び形態が、歴史的な建造物及び公共施設の外観並びに周辺の町並みの景観と調和し、かつ、道路、公園、広場その他の公共の用に供する空地から見て山並みその他の背景を大幅に覆い隠さないこと。

 この規定は、建築物に関するものでは有りませんが、建築物にも当然当てはまることではないでしょうか。

 私の日本語理解力ではどう読んでも、当該マンションがこの基準を満たしているとは思えません。聖護院門跡という極めて歴史的な施設を、圧倒的な高さから見下ろす威容のマンションのどこが周辺の街並みの景観と調和しているのでしょうか。その高さで、道路から望む東山の景観は数十メートルに亘って覆い隠されてしまいます。これが大幅でないのなら、一体何メートルまで許されるのでしょうか。建築を許可した事務担当者殿は、一度でも現場を視察されたのでしょうか。このことは、事業者が京都市の景観政策課に提出した写真(甲9号証の1)がねつ造されていること、すなわち西側隣地の建物(原告西尾さんのお宅)との間に広く間隔を取って本件マンションが建築されるという偽りの写真が提出され、これをもとに認定済みのスタンプが押されていることからも明らかです。繰り返しますが、この地区は「山並み背景型美観地区」として京都市より指定を受けています。それを保全するための「京都市市街地景観整備条例」も京都市によって制定されました。にもかかわらず何故このような景観破壊が容認されるのでしょうか。京都の市街地景観は、東京・大阪等の大都会とは一線を画す、趣ある景観であり、それあればこそ日本全国更には世界の旅行者からも支持される街となっていることは、周知の事実です。京都には神社仏閣をはじめとする、歴史的な施設が多数あり、その多くが世界遺産にも登録されています。これら個々の施設に価値があることは無論ですが、これら全てを包括して佇まいを形作っている街並みにこそ、京都の真髄があります。本件のみならず、同様の街並み・景観破壊計画が市内各所で進行しており、行政はこれらを容認し続けています。この行政の結果、行き着く先は街並み・景観の変質です。街から現在の趣、風情は失われ、殺伐としたビル街が現れます。こうした環境の中では、由緒ある歴史施設たちもその光に陰りが生じるでしょう。つまりは京都の都市としてのアイデンティティー喪失です。そんな京都に旅行者たちは、今までどおり来てくれるでしょうか。これは自らの首を締め、京都ブランドを貶める行政と言うしかありません。京都は他府県に先駆けて、市街地景観を重要な文化的資産と認め、その維持・保全のための法整備を行ってきました。そうして出来た法律である「市街地景観整備条例」によって、京都の景観は守られるべきはずですが、現在の行政は条例を運用すること無く、景観破壊を容認し続けています。このような行政こそ「違法」と言うべきで、その違法な行政により取得した建築確認は取り消されるべきです。

 山並み背景型美観地区に、その山並み背景を覆い隠す建物が何故建築可能なのか、市街地景観整備条例を知らなくても、誰もが疑問に感じるでしょう。この単純で素朴な疑問への明快な回答を、私たちはずっと求めてきましたが、誰からも回答を得られないままに、建設工事は着々と進行しています。工事完了してしまえば違法建築も既存建築と化し、最早手遅れとなります。京都地方裁判所におかれましては、法律を厳格に適用された上で迅速に審理頂きたく、お願い申し上げます。

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