

2024年11月22日付で下記の声明を出しましたので、長文ですが是非お読みください。なお、社会福祉法人グローが11月28日に記者会見をすると公表しました。グローが記者会見をするのは、2020年11月13日の提訴以来、今回が初めてです。
判決確定を受けて(声明)
社会福祉法人グロー(以下「グロー」)の北岡賢剛前理事長による性暴力とハラスメント被害の判決が、2024年10月24日、提訴から約4年ぶりにおりました。私たちは、勇気を持って性加害を告発した原告に心から連帯の意を表し、2024年2月から、以下の4項目を掲げて署名を募り、現在約1万6千筆を集めています。
- 北岡賢剛氏は、性暴力・ハラスメントという重大な人権侵害を引き起こした責任を認めて謝罪してください。
- 社会福祉法人グロー(理事長・牛谷正人氏)は、前理事長による性暴力・ハラスメントを黙認した安全配慮義務違反の責任を認めて謝罪し、社会福祉法人として高い倫理観を持って真摯な再発防止に取り組み、誰もが安心して働き、利用することのできる福祉の場に生まれ変わってください。
- 滋賀県は、この問題に対する検証なしに社会福祉法人グローを県立2施設の指定管理者に選定し続けたこと、女性活躍推進企業に認定したことについて見直してください。今後は指定管理者の選定や女性活躍推進企業の認定の基準に、実質的なハラスメント防止対策の実施を必須項目として入れてください。
- 滋賀県は、県や県の外郭団体、指定管理施設等(「県関連機関」とする)で働いたり利用したりする者が安心して相談できるハラスメント相談窓口を設け、専従の職員を置き、職員・利用者に周知を徹底してください。また県や県関連機関で起きたハラスメント事案に対応する第三者委員会の設置や運用の方針を明確化して県民に示してください。
私たちは、3月6日に、滋賀県に対して項目③④を求めて署名1次集約を提出し、その後もやりとりを続けてきました。また判決後の11月1日に項目②を求めてグローに署名2次集約を提出し、11月8日までの回答を求めて申入れをしました。11月27日には滋賀県に署名3次集約の提出と申入れを行う予定です。北岡賢剛前理事長へは現時点で提出方法を検討中です。
11月8日、グローは「法人が提訴された裁判について」を公表し、控訴しないことを明らかにしました。また、グロー元職員の原告・鈴木朝子さん(仮名)も控訴しませんでしたので、鈴木さんに関する判決は全て確定しました。一方、もう一人の原告・木村倫さん(仮名)に対しては、北岡賢剛前理事長が控訴したため、裁判が続きます。
11月8日には、当会の署名提出時の申し入れへのグローの回答も届きました(別紙)。11月16日には「判決報告集会」を開催し、参集した様々な立場の方々とこの声明の素案も含めて議論をしました。グローは記者会見を11月28日に開くとのことであり、また11月28日には滋賀県議会11月定例会議も開会されることから、特に報道各社および県議会議員各位にご参照いただきたく、判決確定を受けた、グローに関する当会のコメントを以下の通り公表します。滋賀県に関しては、11月27日の署名提出時の申入れ内容を別途公表予定です。
1.判決確定への評価
グローが控訴しなかったことによって、判決が確定したことは当然のこととはいえ評価します。判決の確定を受け、速やかに原告への真摯な謝罪と賠償を行うことを求めます。ただし、原告への謝罪が真摯なものであるためには、以下の各項目が考慮される必要があると考えます。
2.何について謝罪するのかが問われる
「法人が提訴された裁判について」において、牛谷理事長は「本件事案を防止できなかったこと」に限定して、原告に謝罪を表明しています。判決で安全配慮義務違反が認められ損害賠償の対象となったのは「本件事案を防止できなかったこと」ですので、これは当たり前のことです。しかし原告が受けた精神的苦痛は「本件事案を防止できなかったこと」にとどまりません。提訴直後の2020年12月18日に「一連のハラスメント報道」は「一方的な糾弾」だとする文書を法人ホームページで公表しました。当該文書は現在もホームページに掲載されています(2024年11月21日最終確認)。このような姿勢で、4年に及ぶ裁判の間、グローは責任を認めようとせず、原告と争う姿勢で一貫したことは原告への二次加害に他なりません。「本件事案を防止できなかったこと」に関して謝罪するのは判決に従う以上当たり前のことであり、それ以外の部分も含めていったい何を反省した上で何を謝罪するのかが問われていると考えます。この点を改めて明らかにし、上記で指摘した二次加害についても謝罪するよう求めます。
3.「北岡前理事長にかかる裁判は終了していない」は鈴木さんに関しては誤りである
当会への回答において、グローは「北岡前理事長にかかる裁判につきましては、北岡前理事長が控訴されたこともあり、裁判が終了していません。当法人の立場から法的判断について断定的なことを申し上げることはできませんが、第一審判決で北岡前理事長の行為として認定された原告の人格的利益を違法に侵害する不法行為については、遺憾に思うとともに、北岡前理事長には判決を真摯に受け止め原告へ謝罪することを求めます。」としています。北岡前理事長が控訴した(できた)のは木村倫さんに対してのみであり、グロー元職員の鈴木朝子さんに関する裁判は、鈴木さんが控訴しなかったことをもって終了しました。
従って、3年の消滅時効の壁により損害賠償が認められなかっただけで、北岡前理事長による鈴木さんへの「人格的利益を違法に侵害する不法行為」の事実は確定し、裁判は終了しています。北岡前理事長に真摯な受けとめと謝罪を求める文脈であったとしても、あたかも北岡前理事長の控訴により「裁判が終了していない」かのような見解をグローが出すことは不適切です。鈴木さんに関する裁判は、北岡前理事長が被告の部分も、グローが被告の部分も、全て司法の上では確定していることを改めて強調しておきます。
なお、北岡前理事長が木村倫さんを控訴したことについて、当会はグローからの11月8日の回答文書によって初めて知りました。北岡前理事長本人は未だに公の場での発信はしておらず、原告側が北岡前理事長の控訴の事実をホームページ上で公表したのは11月13日でした。批判的な文脈の中であったとしても、北岡前理事長の控訴の事実をグローが先に「公表」したという事実に違和感を覚えたということを申し添えます。
4.説明責任を果たそうとしなかったことの責任が厳しく問われる
11月8日付でグローは記者会見の開催を調整中である旨を明らかにしました。当会への回答に「法人の主張は裁判で明らかにしていく方針で、この間、法人からの発信・公表を行っていませんでした」とあるとおり、メディアの取材に応じないだけでなく、県から何度も公表するように「意見」が出されていることについてすら、一切、説明責任を果たして来なかったことが、県から2施設で合計約9億円もの指定管理料を受けて公共事業を請け負う社会福祉法人として適切であったのか、厳しく問われると考えます。
5.提訴後の「ハラスメント防止に関する取り組み」の内実が問われる
グローは10月28日付で、3頁におよぶ「当法人のハラスメント防止対策について」を公表し、さも適切な防止体制がとってきたかのように数々の取り組みを羅列しています。しかし、そこからは、肝心の、法人役員(特に理事長)がハラスメントを起こした場合の対応フローが読み取れなかったので11月1日付で質問したところ、そのような対応フローは「ありません」との回答で大変驚きました。2020年11月に提訴を受けても北岡理事長を解任せず、被害者が満身創痍になりながら裁判に訴えるしかなかった問題を、「一方的な糾弾」のように見なし、深刻に受けとめてこなかったことがここに現れていると思います。
なお、提訴後のグローの内部状況を知る元職員からの情報提供が当会にありましたが、ハラスメント防止体制が整って安心して働ける職場になったとは到底言いがたい状況だったようです。
6.第三者委員会の設置による検証が必須
10月28日および11月8日にグローが出した文書で言及されている「外部評価の仕組み」は、当会への回答により、前理事長による性加害・ハラスメント問題に関する第三者委員会の設置ではないことがわかりました。グローは「裁判の場で法人の責任について判断していただく方針」で臨んできたとして、今後も第三者委員会を設置するつもりは無さそうです。しかし裁判と第三者委員会は目的が全く異なり、再発防止のためには第三者委員会の設置による検証が不可欠です。なぜ問題が起きたか、なぜ被害の拡大は止められなかったか、なぜ原告の在職中に解決と救済ができなかったか、なぜ提訴後にも評議員会によるけん制機能も働かなかったか等については、司法の場で明らかにすることではないからです。第三者委員会の設置による検証を経て、当時の責任の所在を明確にし、処分されるべき者を処分した上で再発防止策を立てるべきです。
「社会福祉法人グローのハラスメント裁判開始から1年」(障害者ドットコム、2022年1月31日)によれば、鈴木さんが所属していたグローの企画事業部文化芸術推進課の元職員21人を対象に退職者有志がアンケート調査を行ったところ、14名が応じ、セクハラは7割、パワハラは全員が認知、セクハラの大半は北岡理事長、パワハラは他に文化芸術推進課長が主な加害者として挙げられていたとのことです。この調査は裁判で原告・鈴木さんの訴えを裏付ける上で重要な証拠になったことと思います。しかし裁判では鈴木さんに関して起きた不法行為の事実認定をすることしかできず、グローが安全配慮義務を果たす組織に真に生まれ変わるには、このような調査を第三者委員会で行い、検証することが必須です。既に有志の方々の自発的な調査によって問題の所在は明らかになっているのですから、なおのこと第三者委員会の設置が必須だと考えます。
7.役員および評議員の責任は厳しく問われる
以上の項目で指摘したような問題のある組織運営を続けてきたグローの役員・評議員(現・前・元すべて)の責任は厳しく問われるべきだと考えます。現在のグローの理事長は牛谷正人氏ですが、牛谷氏は原告の鈴木さんの在職期間中はずっと副理事長でした。つまり、裁判で確定した安全配慮義務違反の責任を、現在の理事長としてだけでなく、当時の副理事長としても負う立場にあります。現在のグローの役員は牛谷氏を除いて提訴前から全て入れ替わってはいますが、判決で事実認定された不法行為が横行していた当時に管理職だった方が理事になっているのは適切とはいえません。判決を受けて、牛谷理事長および判決で事実認定された不法行為を当時黙認していた管理職だった理事は、全員辞任するべきだと考えます。
グローの組織体制に関しては、評議員会が役割を果たしてこなかったことに関しても指摘せざるをえません。2016年3月の社会福祉法改正により、役員等へのけん制機能を持つ評議員会の設置が全ての社会福祉法人に義務づけられました。裁判の原告の一人である木村倫さん(仮名)が所属している社会福祉法人愛成会においては評議員会による役員等へのけん制が適切に機能し、追及されるなかで北岡理事は辞任、北岡理事のハラスメントを容認、同調した他の理事2名が解任されました。これに対し、グローにおいてはそのけん制は全く機能せず、北岡理事長は2020年12月に一理事になり、さらに2021年3月に任期を満了して理事を退いたにすぎません。そして当時の評議員7名のうち4名が現在も評議員です。このことは厳しく問われるべきであり、評議員の刷新を求めます。
以上7点に渡って述べました。グローがこれらの点に真摯に向き合わない限り、原告はもとより、市民社会からの信頼回復も難しいでしょう。11月1日の申入れをした際、事務局長は「判決を重く受け止め。この問題を早く終わらせたい」と繰り返されました。しかし、「早く終わらせたい」ではなく、今回の問題を根底から反省し、この事態を引き起こした法人だからこそ、少なくとも県内においては性加害・ハラスメントを許さず人権を最も大切にする法人として、県内を牽引する先進的法人を目指すべきだと考えます。そのことが、この度の被害者への真の謝罪になると考えます。
当会は、あらゆる方法を徹底的に尽くして、グローの理念「生きることが光になる」に恥じないよう、そして職員の努力でこれまで培ってきた実績を無にしないよう、誰もが安心して働き、利用することのできる福祉の場に生まれ変わられることを心から願い、強く要請するものです。
2024年11月22日
社会福祉法人グローにおける性加害問題を考える会・滋賀
【Change.org署名】【Facebook】【X】
【e-mail】withyou20201113@gmail.com