こんにちは。SaveMedSaveLives医療を守ろうプロジェクトです。
以下の3つのトピックについて、皆さんと一緒に考えていきたいです。
-----------------------------------------------------
1. 東京女子医大の授業料値上げ:病院経営悪化が社会に与える影響とは
2. 医療機関支援に関する政府の方針は?
3. 医療機関支援策は経済対策でもある
-----------------------------------------------------
1. 東京女子医大の授業料値上げ:病院経営悪化が社会に与える影響とは
東京女子医科大が2021年度の入学生から学費を値上げする(6年間で計1200万円値上げする)ことが発表されました。原因としては、従来の経営不振に加え、コロナ禍による大学病院の経営悪化の影響などが指摘されています。
『東京女子医大、学費1200万円値上げ コロナで経営難』朝日新聞2020年9月27日
https://www.asahi.com/amp/articles/ASN9W6361N9TULFA03H.html?ref=tw_asahi&__twitter_impression=true
医療機関は周辺の経済、教育、研究などと互いに影響し合いながら存立しているので、医療機関の経営悪化が放置されればその影響は周辺領域に及びます。医療従事者の減給、雇用減少、地域経済の停滞、学費値上げ、研究費削減等の形で現れてくる可能性があり、一部は既に起こっています。
東京女子医大に関しては、コロナ前から経営不振が指摘されており、今回の学費値上げはコロナ禍の影響のみで語れるものではありません。
しかし、従来の経営不振にコロナ禍による経営悪化が加わることで今回の学費値上げという帰結が生じたとすれば、少なくともコロナ禍による経営悪化部分に対する支援(減収補填)を行えば、コロナ禍に伴う周辺領域への悪影響を最小限に食い止めることが出来るのではないでしょうか。
コロナ前から経営不振であった法人をコロナ禍において救済することには感覚的に抵抗が生じるかもしれませんが、救済内容をコロナ禍に伴う損失分(2020年4月以降の減収分)に限れば、その救済策は理にかなっているのではないでしょうか。すなわち、医療機関への財政支援策として減収補填こそが今求められているのではないでしょうか。
2. 医療機関支援に関する政府の方針は?
9月25日、官邸で新型コロナウイルス感染症対策本部が開催され、コロナへの対応について話し合われたそうです。
『新型コロナウイルス感染症対策本部(第43回)』2020年9月25日
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202009/25corona.html
菅総理の発言から、医療機関への支援に関連する2ヵ所の部分を拾ってみます。
①「専門家の分析によれば、我が国の新規陽性者数は、7月末以降下降を続けていますが、秋以降、季節性のインフルエンザの流行期には、発熱等の症状を訴える方が大幅に増え、検査や医療の需要が急増する恐れがあります。」
『秋以降に医療の需要が急増する』恐れがあるということは、専門家の見解であり、多くの人が共有している認識では無いでしょうか。政府としてもそのように認識しているようです。
②「また、地域の医療提供体制を維持・確保するために、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる医療機関の安定的な経営を確保するための支援を進めております。」
『地域の医療提供体制を維持・確保する』という方針に反対する人はおそらくあまりいないでしょう。専門家、与野党、多くの国民がその重要性を共有している事項だと思います。
注目すべきはその経営支援策の【内容】と【対象】です。
【支援策の内容】
現在政府が行なっている支援策は以下です。
・診療報酬の一部引き上げ
・空床確保に対する補助
・陰圧化装置の設置の補助
・医療物資の購入の補助
こういった支援は新型コロナ患者受け入れ病院を対象に行われています。問題は、この対応で支援が足りているか、この支援策で地域の医療提供体制維持が可能なのか、という点です。
このような支援策が打ち出されている現在でも、多くの病院が借り入れ、寄附集め、クラウドファンディングなどの資金集めに奔走している現状があり、医療提供体制維持のための支援が不足していると言わざるを得ません。現状では、医療機関組織内のリソースが資金集めに割かれていることになります。
経営難は、医療従事者を含む職員に減給という形でしわ寄せが来ますし、既にそれは起こっています。その先に起こるのは医療従事者の離職であると考えられます。これは医療提供体制の維持が達成されないことを意味します。
このような状況を打開する方策の一つが『減収補填』ではないでしょうか。適切な減収補填による経営の安定化は、医療提供体制の維持に大きく寄与します。減収補填による経営の安定化、それに伴う医療従事者の生活と労働の向上こそが、医療提供体制を堅持します。
一度失われた人的リソースを取り戻すこと、医療人材の確保には大きなコストがかかります。そのため、医療従事者の離職が起こってからでは遅い、というのが重要な点です。時期を逸すれば医療提供体制維持にかかるコストはさらに膨らみます。
迅速に『減収補填』の支援策を打ち出すことが、結果的に医療提供体制維持(または一度壊れた体制を立て直すこと)にかかるコストを最小限に抑えることになるのではないでしょうか。
【支援の対象】
現在政府が行なっている支援策の対象は、新型コロナ患者を受け入れている病院に限定されています。しかし、新型コロナ患者を受け入れていない病院も受診控えによる減収で経営難に陥っていることは既に調査で明らかになっています。
支援対象を限定することは、それ以外の医療機関の体制維持・確保には努めないということです。地域の医療提供体制は、コロナ受け入れ病院のみで成り立っているわけではありません。
ですから、『秋以降の医療需要の急増』を認識し『地域の医療提供体制を維持・確保する』という方針と、『支援対象をコロナ受け入れ病院のみに限定する』という対応は明らかに矛盾しています。
コロナ患者受け入れ病院は赤字幅も大きく、そこに対する支援を大きくするのは当然でしょう。その上で、『地域の医療提供体制の維持・確保』を目指すのであれば、支援対象を限定せず、全ての医療機関に対する適切な財政支援(減収補填)を打ち出し、医療需要の急増に備えるべきではないでしょうか。
3. 医療機関支援策は経済対策でもある
パンデミックへの対応として、移動推奨(緩和)が経済活動を喚起する一方で感染拡大のリスクとなり、移動制限(自粛)が感染拡大を抑える一方で経済活動の停滞をもたらすことから、この『アクセル』と『ブレーキ』をどのようなタイミングでどのようなバランスで進めていくかが常々議論されています。
多くの場合、感染対策と経済対策は相反し、「感染対策か経済対策か」の二項対立で語られることが多いです。しかし、医療機関への財政支援は、感染症対策と経済対策が同時に進む施策です。
医療機関への財政支援策が感染症対策であることは明白です。医療機関は疾患の診断・治療を担い、命を救う最後の砦として機能します。十分な医療提供体制がなければ、国として感染症に立ち向かうことはできないでしょう。
それと同時に、医療機関への財政支援策は、経済対策でもあります。特に、地域の中核病院が地域経済の一端を担っていることは否定できません。病院は雇用を生み出し(医療従事者、事務職員、清掃スタッフ、売店職員、食堂職員など)、病院周辺のコンビニ・飲食店・弁当屋などを病院職員や患者家族が利用することで消費が生まれています。経営難の病院を救うことは、こういった地域の雇用を守り、消費を促進することにつながります。
感染症対策であり経済対策でもある医療機関への財政支援を、減収補填という形で積極的に打ち出すことで、医療体制と地域経済を守り、持続可能な社会を創っていくべきではないでしょうか。
以上、3つのトピックについて見てみました。
医療体制などの社会の基盤を維持し、人々の命と健康、活力を守るため、コロナ禍における十分な支援策を打ち出し、ポストコロナの社会へ向かう力をつけていくべきではないかと思います。
皆さんはどうお考えでしょうか。TwitterなどのSNSでぜひ発信していってください。
ちなみに、新内閣で厚生労働大臣となった田村憲久さん(写真で菅さんの隣に写っている)には、8月25日に本署名を国会事務所に持参し、受け取っていただいています。減収補填を含めた財政支援策をぜひ政策に反映してもらいたいと思います。
国会議員293名が減収補填を中心とした医療機関支援策を提言している(コロナと闘う病院を支援する議員連盟)わけですから、ぜひ国会を開き、具体的な政策について議論し、迅速に進めていただきたいです。
今後も、政府の医療支援策や国会の動向に注目です。
引き続き、医療機関への財政支援を求める声を広げていきましょう!

