iPS細胞の網膜移植の更なる発展を!

iPS細胞の網膜移植の更なる発展を!
【経緯】
世界初のiPS細胞移植が行ったのが当時理化学研究所に勤めていた高橋政代医師(以下「高橋氏」と称する)がプロジェクトリーダーを務めるチームで、網膜色素上皮細胞(以下、「RPE」と称する)が傷んでいく加齢黄斑変性(※1)の患者にiPS細胞から作成したRPEシートを移植する手術でした。その手術により、RPE移植の安全性と有効性が確認されました。報道の中には『移植患者の視力低下が止まったが、矯正視力は依然として低いままである』等の内容もありましたが、RPEと共に変性をしてしまった他の網膜細胞は移植を行なっていないため、『視力の低下が止まった』こと自体が大きな有効性であり、逆に早期に移植ができれば非常に効果が高いことが証明されました。その移植の技術は株式会社ヘリオス(以下、「ヘリオス社」と称する)が独占的に使える契約を結び、実用化への道を歩むことになりました。高橋氏はその後、2017年3月と2021年1月にRPEシートとは別の移植方法である「RPE懸濁液移植」や、2020年10月に視野や視力を再生させるために必要な「視細胞移植」を実施しています。その一方、ヘリオス社は2017年に治験を開始すると予定をしていましたが、2021年現在でもその動きはありません。また高橋氏が開発した技術はヘリオス社が独占交渉権を持っているため、高橋氏本人であってもその技術をヘリオス社の断りなく使用することができなく、高橋氏が協議を求めるもののヘリオス社は協議を受け入れる事はありませんでした(高橋氏Twitterより)。高橋氏は移植技術の発展と実用化を願い、ヘリオス社に託したものの、その技術がいつまで経っても使われることがなく、更に開発者本人までもがその技術を使うことができない状況が続いたため、2021年9月に高橋氏は特許庁に裁定の請求を求めました。
この裁定請求が認められれば、10年以内に加齢黄斑変性(※1)や網膜色素変性症(※2)などの難治性の網膜の病気の治療を日本で受けられるようにすると高橋氏は明言しております。
加齢黄斑変性(※1)・・・・・・50歳以上の約1.3%が罹患し、主には加齢が原因である病気。網膜の中心部の黄斑と呼ばれる部分が異常をきたしてくる病気であり、滲出型と萎縮型がある。網膜色素上皮細胞周辺が痛んでいくことで、視力や視野に関係する視細胞も同時に痛んでくるため、網膜色素上皮細胞の移植を行うことで進行を抑制することができ、更に視細胞の移植も行うことで視力や視野の改善も望める。歌手の和田アキ子さんもこの病気であることを公表されている。
網膜色素変性症(※2)・・・・・・約4000人から8000人に1人が罹患し、遺伝子が原因となる病気。加齢黄斑変性と同様に網膜色素上皮細胞が原因で視細胞が痛んでいくタイプと視細胞のみが痛んでいくタイプがあるが、日本人の多くは後者のタイプである。網膜色素上皮細胞や視細胞の移植で進行の抑制や視力や視野の改善が望める。東京パラリンピック競泳の銀メダリストの富田宇宙さんや箱根駅伝で大活躍された創価大学・陸上競技部駅伝部の嶋津雄大さんや永井大育さんもこの病気であることを公表されている。
【要望】
前述の通り、早期に移植ができれば加齢黄斑変性は進行が抑制され、QOLが下がることなく生活を行うことができます。しかしヘリオス社は実用化を急がないばかりか、他には技術を一切使わせることをしないため、早期の実用化を第一には考えず、その独占契約をもとに利益の追求を優先的に考えている様に見受けられます。資本主義としてはもちろん利益を追求を考えることは間違っていませんが、加齢黄斑変性や網膜疾患を患っている者やその家族の立場からすればその技術をしっかり使い、早期に実用化をして頂くことを強く望んでいます。そのためヘリオス社には患者である私が望むこととして以下の①②の2点で、産業経済大臣(特許庁)に望むことは③の1点です。
①RPE移植の早期実用化に関わる研究には積極的に特許の使用を認める
②RPE移植を早期に実現するよう研究を今よりも加速する
③ヘリオス社が①を認めなかった際に、高橋氏の裁定内容にある「網膜色素上皮細胞の製造方法」等に関する特許の使用を認める
【結びに…】
最後になりますが、一患者として、日々研究をしてくださっている研究者の方には感謝しかありません。それは高橋政代医師だけでなく、ヘリオス社の研究者様に対しても同じように感じております。今回のこのキャンペーンは会社経営からの目線がなく、一方的な患者目線であることは重々承知しております。しかしこう思っている患者もいるんだということを知っていただけたらありがたく思います。もし、この意見にご賛同頂ける方が多く、ヘリオス社の方にこの思いが届きましたら、何とぞ治療の早期実現に向けて舵を切っていただけたらと思います。特許庁におかれましても、高橋氏が求めた裁定について、われわれ患者は死には至りませんが生きていくことが本当に困難になっていきますゆえ、何卒公益性を認めていただける判断をよろしくお願い申し上げます。
もしこの意見にご賛同がいただける方はご署名をお願い致します。