「水道民営化法案」に反対!持続可能な水道のために、水の自治、水の民主主義を守ろう!

「水道民営化法案」に反対!持続可能な水道のために、水の自治、水の民主主義を守ろう!

水道法改正案が2018年6月28日に国会審議入りしました。
宮城県等では、県内の水道事業を超広域化して、多国籍企業によるコンセッションに委ねようとする検討がはじまっています。2018.6.28 国会審議入りした水道法改正は、24条でこうしたコンセッション(民営化)を促す法案です。
今年2018.2月に来日した仏、パリ副市長が語っていました。「パリで水道民営化した後の25年間で起きたことは約2倍もの水道料金の値上げと不透明経営でした。その後、2009年にパリ市で行ったことはもう一度自治体運営の水道に再公営化したことです。それにより民営していた際に、自治体に報告されていた経営実績が実際と異なることがわかりました。そして透明化等に務めた結果、水道料金を8%値下げすることができました。さらに水源管理など長期的な視点で水道事業のマネジメントができるようになりました。水道は、市民が選ぶことができない公共の財産。公の経営が必然であり、持続可能な水道への鍵は、水の民主主義を守ることです。」と訴えておられました。
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ドイツで1000自治体以上でおこなわれている、自治体公社として電力とともに水道、ガス、公共交通などを統合してマネジメントする「シュタットベルケ」もこの再公営化の流れの一貫です。実際に、ベルリン市水道などが民間企業からシュタットベルケへと再公営化されています。
人口減少や設備の老朽化で自治体の多くで、未来に不安要素が突きつけられ、不安が広がっているのが水道事業。でも、民営化やコンセッションに頼ろうとするのは全く安易な考え方です。持続可能な水道経営の為には、広域化や民営化で水の自治を失うよりも、何より市民のために、あくまで透明な経営が原則である公営事業として運営し、より現場の声に耳を傾け、設備の縮小、分散化、小規模化して自己水源を再度見直すなど、「水の自治」を貫くことが肝要です。今、再公営化で水の民主主義を取り戻そうとしている世界の流れがそれを裏付けています。
いのちの水のこと。
災害が起きる度に私達は確認しているはずです。
1998年2月、私は、月山ダムと広域水道事業化により、昭和8年からずっと100%地下水を水源としていた、鶴岡ならではの水道水が失われることを阻止するために、阪神淡路大震災以降3年間にわたり没頭していた神戸の被災地支援活動から鶴岡に戻ってきました。
水がないと暮らしははじまらない。淀川の広域水道よりも足下の酒蔵の水こそが災害時役に立つということを被災地の中で体感した私は、神戸で見直されていた地下水の恵みを、ダムを優先する公共工事の為に、みすみす失おうとしていた事に「絶対に許せない」という思いで鶴岡市の問題に取り組んだのでした。1998年3月にWaterWatchNetworkを立ち上げ、1999年からは市議としてもずっと「ダムと広域水道」の問題を追究してきました。2000年には市民の皆様と住民投票の直接請求署名を実施。1万4000名もの市民有志と住民投票実現に向けて署名を提出するも、残念ながら住民投票を行う事もできませんでした。2001年10月23日、水源切り換えとともに、月山ダムの水源100%の水道に変わって、私達の鶴岡の食文化は確実に変わりました。
地下水100%の水源は今、以前の市民の水源の対岸に工場を建てた民間会社が「天然名水 出羽三山の水」の名でペットボトル飲料として全国で売られています。酒蔵で利用する井戸には、旧来の地下水を求めて市民が水を汲みに行っている始末です。
今般の民営化は、さらに企業の儲けの為に水の自治が奪われる事になります。市民のために 運営されていた水道が、「株主」のために運営されたら、、、世界中で民営化した水道の経営の不透明化、水道料金の不当な高騰、水質の悪化が広がりました。足下にある水道なのに水を買えず市民が飲めなくなるなどの問題が発生し、仕舞いには死者が出る暴動(ボリビア、コチャバンバの水紛争)にまで発展しました。
コンセッションなどの民営化に懲りた世界の自治体が「いのちの水」を自らの手に取り戻しているのが今の現状なのです。
私は、コンセッションを促す今般の水道法改正に対し、心の底から反対します。
日本政府は、世界の再公営化への教訓を学び、持続可能な水道への
正しい道を歩むべきです。
私は、コンセッションを促す今般の水道法改正法案に反対します。
ウォーターワッチネットワーク 鶴岡持続可能社会研究所 草島進一