徒歩通学児童のヘルメット着用を強制しないで

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茨城県牛久市は4月より徒歩通学児童へのヘルメット着用を義務付けました.県内でヘルメット着用により守られたであろう事故は過去にないそうですが,今後あるかもしれない事故を未然に防ぐのが目的であり,茨城県教育委員会が推進しているからというのが理由です.徒歩だけでなくバス通学児童も同様にヘルメット着用を義務付けられています.今まで,保護者からの要望は一件もありません.

調べたところ,徒歩時のヘルメット着用が有効であった事故は全国でも極めて少なく,600万人以上の中で1年に1度あるかないかでした(日本スポーツ振興センター,災害給付データベースより).この数字は統計学的には有効性があるとはいえない,ということを示しており,着用を強制する根拠にはなりません.それに対し,近年の異常気象による熱中症のリスク,小さい児童が重い荷物を持ちながらヘルメットを着用するという首への負担などのリスクについては検証されていません.

警察に問い合わせたところ,その有効性の低さから徒歩児童については着用を推進しておらず,あくまで市の政策であるとの説明を受けました.ヘルメットメーカーでさえ全学年に着用を強制するには無理があるとのことでした.

ヘルメットには帽子にあるつばがないため,一般的には知られていませんが,斜視やてんかんなど光刺激に大変弱い疾患を有する児童は眩しさで大きな苦痛を強いられます.市の方針では義務化しないと着用をさぼる児童がでてくるため強制するとのことですが,着用によるリスクを検討せずに児童に強制することは大変危険ですし,児童への人権を無視したものです.

暑い中,眩しさにうつむきながら顔を真っ赤にして汗だくで下校する子供たち,頭や首が痛いという1年生,まぶしいため片目をつぶりながら歩く児童もいて,見るに耐えません.

私は眼科医ですが,様々な眼科疾患のお子さんが外来で眩しさや頭痛に対する苦痛を訴えます.他科の医師も徒歩でのヘルメット着用については疑問視していて,勤務している複数の病院において,着用を推進する医師,看護師は一人もいません.着用したい児童についてはそれを否定しませんが,すべての児童に強制すべきではありません.

徒歩通学児童へのヘルメット着用の強制は政策として不適切です.個人の事情に考慮を必要とする内容であり,着用は強制するべきものではないと考えます.