札幌市白石区民センターで開催予定のアイヌに対するヘイトスピーチ講演会を承認取消あるいは利用制限してください

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北海道知事 鈴木直道殿
札幌市長 秋元克広殿
札幌市白石区役所 区民センター 担当者殿

貸室施設利用制限要望書

2019年8月29日
C.R.A.C.NORTH

要望

 9月21日(土)、的場光昭・小野寺まさる講演会「あなたもなれる?みんなで“アイヌ”になろう?」(主催: 日本会議北海道本部)が札幌市白石区民センターで開催されると告知されている。講演会の「あなたもなれる?みんなで“アイヌ”になろう?」という題目は、アイヌの独自の民族としての一体性を否定し、誰でも“アイヌ”というものになれるのだと民族的アイデンティティ(帰属意識)を剥奪したヘイトスピーチ(差別煽動表現)である。

 ここでアイヌに引用符がつくのは、自分たちは決してアイヌを否定しているわけではなく、民族としての独自性を有している人がもういないと主張しているのであって、アイヌにルーツを持つ日本国民とアイヌではない日本国民に異なる権利はなく、ともに「日本人」と同じのものとしては認めているのだというエクスキューズを込めているとも考えられるが、いずれにせよ、彼/女らは、現在、名乗られるアイヌというものは、「日本人」にない福祉資金援助や民族文化振興のための予算を不正に取得するために捏造されているのだと主張しているのである。このようにして、本講演会の題目は、アイヌの民族としての独自性を否定し、アイヌではない「日本人」と同じように扱うべきだと「同化強要」をしているが、先住民族は強制的に同化させられない権利を有している(「先住民族の権利に関する国際連合宣言(以下、先住民族宣言)」第8条)

 さらにこの題目は、告知を読んだ人間ひとりひとりに、あなたもアイヌになれるかもしれない、みんなアイヌになろうかと誘いかけており、さも笑える冗談のような書きぶりでありながら、差別煽動性に充ちている。差別的意識を助長し誘発するこの告知の段階で既に、アイヌに対する差別を禁止した「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律(以下、アイヌ施策推進法)」に違反している。

 次に第1部の的場光昭氏の演題は「科学的アイヌ先住民族否定論」であるが、「先住民族」は近代以降の植民地化や国境画定によって一方的に国家に統合され、そのために国際法に基づいて政策を展開する上で必要な規準に適した人々を指す用語であり、「科学的」に否定可能なものではない。的場氏は今年2019年6月2日の講演会で、「文献的、考古学的、分子生物学的知見に基づくと、“アイヌは北海道の先住民族ではない”と科学的には判断せざるを得ない。アイヌを“先住民族”として利用する周辺諸国、そして国内の革命勢力があることにアイヌ系日本人自身が気づいてほしい。」と発言しているが、彼は学問用語の誤った把握や史料批判の欠けた事例提示によって、とにかくアイヌ民族を「朝鮮人労働者」や「北朝鮮」または「被差別部落民」と結びつけようとしている。また遺伝子研究を間違った形で流用することによって先住民族としての地位を貶め、民族的アイデンティティを否定できるとする。例えば、北海道の縄文文化人の末裔とオホーツク文化の人々の間の「遺伝子交流」として説明した分子人類学者の文章を、的場氏が、縄文人がオホーツク文化の人々と入れ替わったと曲解し、アイヌより先に異なる民族がいたとしてアイヌは先住民族ではないと主張するのである。

 先住民族が共有する民族的アイデンティティが「科学的」に否定可能なものであるという主張は、1950年以来、ジェノサイドにまでおよぶものとして、国連教育科学文化機関によって疑似科学と認められた優生学思想および科学的人種差別主義に基づいている。

 また第2部の小野寺まさる氏は、元道議という公人でありながら、ツイッターなどのSNSやチャンネル桜北海道などの動画配信ニュース、講演会等でアイヌ民族否定を積極的に繰り返している人物である。今年、3月18日に開催されたアイヌ施策推進法をテーマとした小野寺まさる氏の講演会は、アイヌの自治区に中国共産党が入って治外法権になるという陰謀論的主張で、そこに同和がアイヌになりすましているという「なりすましネタ」や「アイヌのさじ加減ひとつでアイヌになれる」などの民族的アイデンティティを否定したヘイトスピーチが入っている。5月25日に北海道立道民活動センター「かでる2.7」でわたしたちの抗議にもかかわらず残念ながら開催された講演会では、アイヌ協会会員資格と生活・教育支援のために道が行う生活実態調査の対象者、それとアイヌ民族としての帰属意識を恣意的に混同させるもので、まさにアイヌに対するヘイトスピーチを行うネット右翼のお手本のような主張をしていた。したがって、本講演でもアイヌに対するヘイトスピーチが出る相当程度蓋然性が高い。
 つまり、本講演会は、題目がアイヌに対するヘイトスピーチであり、講演者の講演内容もヘイトスピーチである蓋然性が相当程度高いと云える。

 5月24日に施行されたアイヌ施策推進法はアイヌが先住民族であることを法文に定め、またアイヌ差別を禁止した初めての法律である。

 この第4条「何人も、アイヌの人々に対して、アイヌであることを理由として、差別することその他の権利利益の侵害をする行為をしてはならない」はアイヌ差別禁止について規定している条文であり、また第5条は「国及び地方公共団体は、前2条に定める基本理念にのっとり、アイヌ施策を策定し、及び実施する責務を有する」と、アイヌ差別禁止のための施策を地方公共団体が策定し実施する責務があることを定めている。また「アイヌの人々に対する差別を根絶し、アイヌの人々の民族としての誇りの尊重と共生社会の実現を図る」ためには、「アイヌに関する教育並びにアイヌへの理解を深めるための啓発及び広報活動の充実に向けた取組を推進すること」とあわせて、「本法第4条の規定を踏まえ、不当な差別的言動の解消に向けた実効性のある具体的措置を講ずる」必要があることが参議院国土交通委員会附帯決議で明確にされている(2019年4月18日)。したがって道および札幌市はアイヌ差別禁止について実効性のある具体的措置を講ずる責務がある。

 次にアイヌ施策推進法の国会審議において、「民族としてのアイヌなんてもういない」といった趣旨の発言が同法に禁止されるアイヌに対するヘイトスピーチの事例として挙げられた(衆議院 国交委員会 4月10日)。また、「差別を受けないといったことについての権利が国連宣言の中にあ」り「第4条のところで、アイヌの人々に対する差別の禁止に関する基本理念を示して」いると答えた(同上)。さらに国務大臣の「アイヌの方々を明確に差別することを目的としたヘイトスピーチはこの条文に反する」という答弁(同上)、大臣政務官の「第4条においては、アイヌの人々に対してと規定しており、必ずしも個人を対象としない差別的言動も本条に反する」という答弁があった(参議院 国交委員会 4月18日)。 

 ここから導き出される政府の法第4条の解釈指針:
・アイヌに対する差別的取扱いのみならず、差別的言動をも禁ずる
・アイヌの民族的アイデンティティを否定する言動をヘイトスピーチとして禁ずる
・先住民族宣言、とくに第2条と第8条に基づき、アイヌ差別を禁ずる
・明確にアイヌの人々を差別することを目的としたヘイトスピーチを禁ずる
・アイヌ個々人に対するものだけではなく、集団に対するヘイトスピーチも禁ずる

 札幌市議会では「アイヌ民族なんて、いまはもういないんですよね。せいぜいアイヌ系日本人が良いところですが、利権を行使しまくっているこの不合理。納税者に説明できません。」および「私も選挙に落ちたら○○○になろうかな」(文脈上○○○にはアイヌが入る)という発言がヘイトスピーチであると認められた(2014年9月22日 「金子やすゆき議員に対する議員辞職を求める決議」)。今回の講演会の趣旨はこれらアイヌの独自の民族としての一体性を否定し、民族的アイデンティティを剥奪するヘイトスピーチだと公的に認められた文言と同じだと分かる

 道や札幌市は地方公共団体として、政府が国会審議で示したアイヌに対するヘイトスピーチ禁止に関する指針および札幌市議会で示された民意に沿って、アイヌに対するヘイトスピーチを防止し是正するための効果的な措置(先住民族宣言 第8条)する積極的な措置をとるべきである。

 周知の通り、公の施設は「住民の福祉を増進する目的」で設けられており、住民の利用は「正当な理由」がない限り拒んではならないと定められている(地方自治法第244条)。したがって白石区民センターは、憲法、地方自治法等の観点からその利用申請を原則として許可する必要がある。

 しかし同時に、21日の講演会はアイヌ差別を目的とした違法なヘイトスピーチであり、その目的を秘して利用承認を得たといえ、承認取り消しまたは利用制限の対象となり得るというべきである(第9条、第10条)。

 また、直ちに承認取消まで行うには躊躇がありうるとしても、札幌市区民センター条例上、「区民センター等の管理運営上必要があるときは、その使用について条件を付することができる」(第4条)とされている。利用に関する指示や利用状況の調査が十分に可能である。

 これらの措置(承認に際しての条件付与、利用に関する指示、利用状況の調査)は、施設の利用自体を禁じるものではなく、あくまで施設の設置目的に沿うような利用となるように条件を付する、あるいは指示、調査をするという限度に留まるものであるから、利用の承認取消等の措置と比較しても利用者の権利制約の程度は至って低く、これらの措置を講じたからといって指定管理者に法的責任が発生するおそれは極めて乏しい。

 他方、既に述べたとおり、「あなたもなれる? みんなで“アイヌ”になろう?」という講演の題目がヘイトスピーチであり、またヘイトスピーチが行われる蓋然性が相当程度に高いことに照らすと、むしろこれらの措置を講じることのないまま漫然と現実にヘイトスピーチが行われてしまうことを許してしまった場合の問題の方がより深刻だと理解すべきである。

 したがって、指定管理者は、少なくともこれらの措置(承認に際しての条件付与、利用に関する指示、利用状況の調査)については、積極的に講じることを検討すべきである。

 よって以下の2点を求める。

一、2019年9月21日(土)に告知されている「あなたもなれる? みんなで“アイヌ”になろう? 」講演会は、題目そのものがアイヌに対するヘイトスピーチであり、講演内容もヘイトスピーチである蓋然性が相当程度高い。したがってアイヌに対するヘイトスピーチが目的の違法な講演会だと云える。それを秘して区民ホールの利用承認を得ているので、承認を取り消すこと

二、あるいは承認に際しての条件付与、利用に関する指示、利用状況の調査をおこなうこと

理由、
以下略

貸室施設利用制限要望書全文
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資料-1
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資料-2
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