「ヘイトハラスメント裁判」控訴審の公正な審議・判決を求めます!

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はじめに

 2015年8月、フジ住宅株式会社(大阪府岸和田市、東証Ⅰ部上場)と代表取締役会長・今井光郎氏を被告として、同社で働く韓国籍の在日コリアン3世が損害賠償請求をおこなう裁判を提訴した裁判は、2020年7月に大阪地裁堺支部で、被告らによる違法行為を認定し、連帯して原告に110万円の支払いを命じる判決がくだされました。原告、被告の双方は、この判決を不服として控訴し、2021年1月28日から高等裁判所での控訴審が始まりました。

1審判決が認定した被告らによる違法行為

 1審判決が認定した、今井会長とフジ住宅による違法行為は次の通りです。(1)フジ住宅社内でおこなわれた資料配布行為は業務との関連がなく、「韓国の国籍や民族的出自を有する者にとっては著しい侮辱と感じ、その名誉感情を害するものであるとともに、そのような顕著な嫌悪感情を抱いている被告らから差別的取扱いを受けるのではないかとの現実的な危惧感」を抱くものであり、心の静穏を乱されることなく働くことができる労働者の人格的利益を侵害するおそれがあり、その態様、程度がもはや社会的に許容できる限度を超えている。(2)教科書採択運動への動員行為は「業務と関連しない政治活動であって、労働者である原告の政治的な思想・信条の自由を侵害する差別的取扱いを伴うもの」で、「侵害の態様、程度が社会的に許容できる限度を超え」、原告の人格的利益(思想・信条の自由)を侵害している。(3)提訴後に被告らが原告を非難する従業員らの感想文などを配布した行為は、明らかに「原告に対する報復であるとともに、原告を社内で孤立化させる危険の高いものであり、原告の裁判を受ける権利を抑圧するとともに、その職場において自由な人間関係を形成する自由や名誉感情を侵害した」。

1審判決を改めるべき点

 この1審判決は、個人に向けられた差別的言動を受けていない場合であっても、本件のような実態について人格権侵害を認定したものであり、外国人住民のみならず労働者全体にも該当する一般的規範として意義を持つ判断であると評価することができます。しかし「資料配布行為が、原告個人に向けられた差別的言動と認めることはでき」ないと判断していることは、次の2つの理由から間違っています。

 第一に、1審判決は、差別的言動が特定の人を名指ししなくても、差別を受ける立場にある人に大きな精神的苦痛を強いるものであることを見逃しています。不当な差別的言動が在日コリアン等に「多大な苦痛を強い」ていると謳うヘイトスピーチ解消法は、ヘイトスピーチの定義に特定個人を名指しするもの等の制限は設けていません。日本が加入・批准している国際人権諸条約も同様です。1審判決は、裁判所が国内法と国際人権諸条約によって期待されている、集団に対する差別的言動によって、その属性を有する個人が受けた精神的被害を救済すべき役割を軽視しているといわざるを得ません。

 第二に、被告らはフジ住宅社内に朝鮮半島にルーツを持つ原告が在籍していることを当然に認識しており、2015年1月に原告が代理人を通して改善要求を行った後も、資料配付を続けています。被告らは、原告がそれによって精神的苦痛を感じていることを知っていたのです。

1審判決後も苛烈さを増して継続されているヘイトハラスメントを差し止めることについて

 さらに、1審判決後のフジ住宅社内では、被告らによる煽動によって従業員が書き記した「感想文」等の配布が継続されており、その内容は原告に対する、言論による集団リンチともいうべき個人攻撃です。なかには「差別をするつもりはないが、今後は、採用時に同じような言いがかりをつけられる可能性も考えて、採用検討しなければいけない」、「日本人だったら何をやっても許されるだろうと思っている思想が根底にあるように思え」る、「在日としての過剰なまでの被害者民族意識を捨て」ろなど、人種差別的言動が数多く含まれています。また原告に対する直接的差別ではないものの、(近世朝鮮は)「良民や賎民に美しい女性がいれば、人の妻であろうが、娘であろうが、犯し放題」、「武漢ウィルス」、「歴史を捏造する韓国」、(韓国人の)「日本には何をやっても許されるという異常心理」など、特定の国や、その国にルーツをもつ人に対する敵意、憎悪、偏見を煽る資料が配付され続けています。特定の歴史観、政治観に基づく刊行物のコピー等の配布も同様です。1審判決が被告らによる違法行為を認定したことを一切反省することなく、原告に対する個人攻撃については、むしろ苛烈さを増しているのです。このまま個人攻撃が継続されると、その被害は事後的な賠償だけでは取り返しがつかないものになってしまうのではないかと危惧しています。そして、あらゆる手段を使って執拗に、全方位から取り囲むように原告を追い込み続けていることを考えると、被告らが通常の規範意識を取り戻して自主的に資料配布をやめることは、全く考えられません。

以上のような観点から、私たちは次のことを要望いたします。 

1.1審判決が認定した被告らによる違法行為を引き続き認定してください。

2.被告らによる資料配布行為は、原告本人に対する「直接の差別」であり、それによる精神的被害が生じていることを追加して認定してください。

3.フジ住宅株式会社と代表取締役会長・今井光郎氏が、1審判決後も継続している資料配布行為、とりわけ原告個人に対する報復的誹謗中傷、直接的差別が重大かつ悪質な違法行為であることを認定してください。

4.フジ住宅株式会社と代表取締役会長・今井光郎氏による資料配付を差し止める命令を出してください。

                                   以上

<連絡先・署名用紙送付先>

ヘイトハラスメント裁判を支える会

〒544-0031大阪市生野区鶴橋2-15-27

特定非営利活動法人 多民族共生人権教育センター気付

電話:06(6715)6600 FAX:06(6715)0153

E-mail:info@taminzoku.com