「子ども家庭福祉士」の国家資格創設に反対します!

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倉谷 桃子
倉谷 桃子さんが賛同しました

●「子ども家庭福祉士」の国家資格創設の動きに反対します!
厚生労働省の社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会のワーキンググループで子どもの支援に関する国家資格の創設の話が持ち上がりました。その後、超党派の議員で構成する「児童虐待から子どもを守る議員の会」と自民党の「児童の養護と未来を考える議員連盟」とが新たな国家資格「子ども家庭福祉士」の創設について検討しはじめました。私たちは、この新たな福祉の資格の創設の動きに反対します。

●すでに福祉の資格は既に沢山ある
福祉に関する資格はすでに沢山あります。国家資格は社会福祉士、精神保健福祉士、があり、また公的な資格として介護支援専門員、社会福祉主事、児童福祉司、この他にも民間の資格も数多く存在しています。福祉の資格は既に飽和状態であり、整合性も図られていません。特に社会福祉士と精神保健福祉士は、相談援助を行う資格が並列してある状況です。相談援助の国家資格が2つとなった1997年から今日にいたるまで継続してその問題性が指摘され、現在、統合化も検討されだしています。

●相談者に福祉相談職が分かりにくい
資格が増えることの弊害の1つに、相談者がどのような人に相談をしているのか判断しにくいことがあげられます。福祉の相談職という1つの専門職があり、その中で専門領域が分かれている、という構図であれば相談者にもわかりやすいでしょう。例えば、医師の場合、医師国家資格が基盤にあり、その中で様々な診療科や専門医に分かれています。疾患別に国家資格が創設されているわけではなく、根っこは同じです。これが“医師”という専門職の像が明確になる理由と考えます。
しかし、福祉相談職の資格は、領域ごとに資格がつくられようとしています。これによって同じ福祉相談職であるにもかかわらず、さまざまな名称がはびこるようになります。これでは福祉相談職の像がはっきりとせず、相談者は相談している相手が国家資格を有している専門家であるのか否かの判別も付きにくくなる状況を生むことが危惧されます。

●福祉相談職の資格政策に矛盾する
また、2007年に福祉相談職の資格については、社会福祉士を基盤とし、その中で各領域の力量を高めていく、という方針が打ち出されていました。これは「社会福祉士及び介護福祉士法」が改正された際の付帯決議に、社会福祉士の任用の促進と、社会福祉士資格取得者の中でそれぞれの専門性を高めていくよう「専門社会福祉士」制度の創設について言及にみることができます。つまり、国の福祉相談職資格の方針は、社会福祉士を基盤にしてくというものでした。にもかかわらず、新たな福祉相談職に関する資格の創設の提案は、福祉相談職の資格政策に矛盾することになります。

●新しい国家資格の創設は時間も費用もかかる
さらに新しい国家資格の創設は、関係機関の調整から始まって、全く新しい法律を草案から作り、内容の審議を重ね、国会に提出し、という手続きを踏まなければならず時間がかかります。また国家資格ができたとしたらその試験問題作成や資格制度を司る機構等の立ち上げや運営する費用もかかります。この時間や資金は新しい国家資格を創設することにではなく、他に使われるべきではないでしょうか。

●検討されるべきこと①:社会福祉士の登用を進めること、公的機関の慣習を変えること
今回の超党派議員らの議論では、「虐待対応が増加して児童相談所に求められる専門性が、施設に入所させる制度運用から、家族支援も含めたソーシャルワークへと変化している」※1「高度な知識と技能が必要なのに、数年で異動する任用資格では専門性が育たず、問題が深刻化する」※2、と指摘していますが、ソーシャルワークは社会福祉士が専門としていますので、社会福祉士の登用を進めればよいだけの話です。また、数年で移動する任用資格では専門性が育たない、という指摘は新たな資格とは関係なく、公的機関の慣習の話です。これについては、公的機関の慣習を変えて行けばよいのではないでしょうか。この2つに力を注いだ方が、時間もお金も節約できるのではないかと考えます。

●検討すべきこと②:児童福祉の現場で働く福祉専門職の労働条件・環境の整備
虐待を含む児童福祉領域で起こっている問題の緩和・解決に専門性の向上の必要性も否定はしません。しかし、最優先事項は専門職の人員の増員、そのための予算増加であると考えます。少ない人員で専門性のみ向上したとしても、1人で対応できるケースには限界があります。そのように考えると、繰り返しになりますが、国家資格の創設よりも人員の補充や予算確保による福祉専門職の質の向上に取り組むべきであると考えます。

以上の理由から、署名を通じてみなさんからの賛同とコメントを集約し、以下の提案を厚生労働大臣や関連省庁、国会議員の皆さんに届けて行きます。

◎これ以上福祉相談職の分断につながる国家資格を創らないでください。
◎新たな国家資格創設を検討する時間、またその後の国家資格運営の予算が計上されるのであれば、その時間と予算や労力を児童福祉の現場で働く福祉専門職の人員の増員や予算増加のために使って下さい

1つの専門職をいくつもの国家資格で分断するような流れを止めるためにも是非署名にご協力ください!よろしくお願い致します。


※1、2 福祉新聞(2019年2月6日)引用。http://www.fukushishimbun.co.jp/topics/21584?fbclid=IwAR3_tx9DUbEmDY8CknKsJNrRNnIjHqbjwFfwnHdiAUAo0wql-t_hg7Qs198


共同発起人
木下大生(武蔵野大学人間科学部准教授)
藤田孝典(NPO法人ほっとプラス代表理事 聖学院大学客員准教授)

賛同者
伊藤文人(日本福祉大学社会福祉学部准教授)
本多勇(武蔵野大学通信教育学部教授)
中野加奈子(大谷大学社会学部准教授)
石川久展(関西学院大学人間福祉学部教授)
高端正幸(埼玉大学経済学部准教授)
芦田麗子(神戸親和女子大学発達教育学部講師)

高木博史(岐阜経済大学経済学部教授)

(賛同表明順)

#新しい福祉の国家資格はいらない