「家庭に恵まれない子ども達の生活の場を取り上げないで!」

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〇タイトル

「家庭に恵まれない子ども達の生活の場を取り上げないで!」

~暴力の連鎖を断ち切り、人間の尊厳を守り抜くために~

私たちは、平成29年8月2日厚生労働省より出された「新しい社会的養育ビジョン」の見直しを求め、令和2年3月に、今年大学を卒業して社会人となる児童養護施設措置児童と共に加藤勝信厚生労働大臣を訪問し、集めた署名(現在29,000→30,000以上)を手渡して直接要望します。2月末日を期限として更なる署名拡大とご支援をお願いいたします。 

                     〒 884-0102 宮崎県児湯郡木城町椎木644-1

         「子どもの未来を守る会」

          共同代表 叶原土筆 潮谷愛一 藤野與一

               菊池義昭  児嶋草次郎     

① 2019年は世界人権宣言制定70年、子どもの権利条約採択30年、日本国批准25年にあたります。子どもの権利条約は1978年、ヤヌシュ・コルチャックの実践を基にポーランドから提案されました。

ゲットーに閉じ込められ、ユダヤ人孤児たちを食べさせ、子どもたち自身による裁判所、子どもの議会、子どもが決めた法律を作り、子どもは大人と同じ尊厳を持った人間であり、大人の所有物でないことを実践した。そしてコルチャックと施設の職員は、自ら尊厳死を選び、トレブリンカ強制収容所に200人の孤児たちと共に消えた。

② 今、世界中で子どもたちが飢えや暴力で殺され続けています。

日本では、川崎小学校バス停襲撃事件、相模原「津久井やまゆり園」障碍者殺傷事件など、無差別殺傷事件や「栗原心愛ちゃん虐待死」など。毎日のように起こっている小さくされた者への暴力の連鎖が拡大再生産されている。現場をあずかるものとして、当事者の悲痛な叫びを受け止め続け、彼らと共に闘い続けるしかない。

③ この間、緒方貞子さん、中村哲さん、等の偉大な実践家を亡くしました。

石井十次、山室軍平、留岡幸助、などのキリスト教社会事業の先駆的実践家は、困っている人がいれば制度があろうがなかろうが、歴史の希望実現へ向けて、実に創造的で目の前にいる生身の人々と共に歩まれた方々である。緒方貞子や中村哲、石井十次たちに共通するのは、信仰と高い精神性に基づいた現場主義とでもいうべきものであり、正義と平和のために民衆と共に歩む実践にある。

☆ 私は、鳥取こども学園に命からがらたどり着いた子どもたちや保護者が見事に希望の光に変わる姿を見る時、大きな喜びを覚え、共に歩む素晴らしさを痛感する。

④  虐待とは暴力の形態等によって虐待かどうかが決まるものではなく、養育の過程で、子どもの受け止められ欲求を無条件で受け止めているかどうかが問わる。

「栗原心愛ちゃん虐待死」事件では、心愛ちゃんのハラワタがえぐられるような痛みを誰も受け止めていない。父親の性的暴力と母親のネグレクトに耐えかねた心愛ちゃんの「お父さんから暴力を受けています。何とかなりませんか!」という必死の訴えを、両親は勿論、学校も教育委員会も児相も受け止めないばかりか、父親に文書を渡し、身柄まで渡してしまっている。「殺してください」と言っているようなものである。そこには感性を持った生身の人間ではなく職業としてしか対応しない制度や機関がある。福祉の原点に返りたい。

⑤ 2017年8月、「新しい社会的養育ビジョン(新ビジョン)」が国の検討委員会から突然出された。

8月1日のマスコミ各紙は、○特別養子縁組を5年で倍増。○原則小学校入学前の子どもの施設入所停止。○乳児院は里親・養父母支援へ移行。○三歳未満は5年以内、それ以外の未就学児は7年以内に里親委託率を75%以上、学童期以降は一〇年以内に50%以上とする。などと一斉に大きく報道した。

新ビジョンがモデルとしている欧米諸国では、既に施設から里親へ移行し、その結果、里親が職業化し、子どもの「たらいまわし」が大問題となっている。誰からも受け止められず低下した自尊心と絶望感から犯罪に手を染め、テロに走る若者も出ている。

欧米諸国で既に破綻している施設解体論を、現場を知らない学者や政治家が無責任に日本に持ち込み、子ども不在の空論を展開しているのである。

⑥ 全国養護施設高校生交流会(インケアユースの集い)の再建を目指して。

全国養護施設高校生交流会は、子どもの権利条約国連採択前年の1988年に鳥取で第一回が行われた。1994年日本国批准の年に第七回福岡大会が行われ、「福岡育児院施設内虐待事件」が大きく報道されたことから、第八回大会の中止を迫られ、攻防の末1998年に潰されたのである。1995年に砂丘センターで行われた非公式鳥取フォーラムも含めて実数で1,311名の高校生、599名のアシスタント職員、11回計1,910名の参加を数え、今の当事者運動に引き継がれている。

2017年から全国養護施設高校生交流会(インケアユースの集い)再建を目指して、施設の高校生とスタッフをカナダ・オンタリオ州トロントのアドボカシー事務所に何度か派遣し、アドボカシー事務所最高責任者であるアーウィン・エルマンさんも日本を訪問された。

2018年9月、私も含めて養育研究所のメンバー4人でトロントのアドボカシー事務所とライアソン大学を訪問し、鳥取大学とライアソン大学との交流協定に署名し、大歓迎を受けた。帰り際に、アーウィン所長やスタッフから、「鳥取にアドボカシーシステムが出来ることを期待したい。日本の新ビジョンの背景は財政問題であり、カナダでは同じやり方で施設が潰された。日本はそうなって欲しくない」と言われた。

⑦ ここで言うアドボカシーとは「代弁」や「権利擁護」と訳して、「大人がしてあげる」ということになってはならない。大人と子どもが「パートナー」となって一緒に考え、一緒に活動し、一緒に歩むことである。

 

令和2年3月吉日

    厚生労働大臣加藤勝信  殿

 

                     〒 884-0102 宮崎県児湯郡木城町椎木644-1

         「子どもの未来を守る会」

          共同代表 叶原土筆 潮谷愛一 藤野與一

               菊池義昭  児嶋草次郎 

                                

                   日本の福祉文化と子どもの未来を守るための要望書

平成29年8月2日 (2018年) に厚生労働省より出された「新しい社会的養育ビジョン」では、乳幼児の施設への 「新規措置入所の停止」と「施設の滞在期間の制限」を設けています。

この「ビジョン」は、社会的養育の世界標準に迫ろうとする挑戦ではありますが、現状における施設への入所制限は、子どもたちの多様なニーズへの対応を狭め、また生活の場を奪ってしまうと危惧しております。日本の児童養護施設等が100年以上かけて培ってきた専門的機能を消失させます。先人たちが培ってきた子育て文化・福祉文化を尊重し、なにより子ども達の多様な生活ニーズの充足を担保するため、下記のことを要望します。

                                                    要望事項

具体的には、以下の「新しい社会的養育ビジョン」の「(5)乳幼児の家庭養育原則の徹底と、年限を明確にした取り組み目標」の「新規措置入所の停止」および「施設の滞在期間の制限」に係る以下の二つの文言の削除を要請します。

一、乳児院の「新規措置入所を停止」に係る以下の文書の削除

「3、新しい社会的養育ビジョンの実現に向けた工程」の(5)の「原則として施設への新規措置入所を停止する」

二、「施設の滞在期間の制限」に係る以下の文書の削除

「3、新しい社会的養育ビジョンの実現に向けた工程」の(5)の「その滞在期間は、原則として乳幼児は数か月以内、学童期以降は1年以内とする。また、特別なケアが必要な学童期以降の子どもであっても3年以内を原則とする。」

 ※個人情報について…要請書以外の目的には利用いたしません。同意いただけましたら、署名をお願いいたします。


 

宮崎 ・ 高鍋宣言

日本の優れた子育て文化・福祉文化を守りましょう。

2016年(平成28年)改正児童福祉法において、我が国においても社会的養育の家庭養育優先原則が明記され、その後厚労省の出した「ビジョン」(2017年)では、里親委託率を英米並みに引き上げる方向性も明示され、現在、各都道府県において、年度末までの策定をめざして推進計画が検討されています。

家庭・里親・施設・地域、そして関係機関が、互いに連携・共生し合いながら、子どもを社会みんなで守り育てていく、新たな社会的養育・養護の仕組みを作っていかねばなりません。

問題は、「ビジョン」で、乳幼児の施設への「新規措置入所を停止」や、施設の滞在期間を「乳幼児は数か月以内、学童期以降は1年以内とする」など、施設否定論が展開されており、重大な勇み足をしているということです。先人達が命をかけて築いてきた日本の社会的養護の歴史否定でもあり、無謀な政策です。

アメリカやカナダ等においては、施設否定が進み、過度に里親依存が進行した結果、里親が職業化したり、「ドリフト」と呼ばれる里親間の子どものたらいまわし(漂流)が発生しているという、関係者からの指摘、「日本はマネをするな」という助言もあります。施設を否定し里親委託率を上げようとする方策は、危険であり、児童福祉の精神にも反するでしよう。

子どもは決して、制度・政策やマニュアルによって育つわけではありません。それぞれの地域の文化・自然・暮らしの中で、生活習慣や自立力を身につけていきます。日本には、日本独自の伝統的子育て文化があり、私達児童福祉の先人達は、社会的養護・養育においても、その文化に根差した福祉文化を築き上げてきました。地域や家庭の養育力が弱体化し、虐待やネグレクト(育児放棄)が急増している社会の中で、また一般家庭においても「家庭」が機能不全に陥っているケースの多い状況の中で、その福祉文化が「家庭」のモデルに成り得る時代となりつつあるのではないでしょうか。

先人達が築き上げてきた日本独自の子育て文化・福祉文化とは、例えば以下の3点です。

①「おんぶに抱っこ、添い寝におっぱい」と表現される、日本独自の受容があります。日本人は「三つ子の魂百まで」の教訓の通り、乳幼児にしっかり愛情を注いできました。施設職員もできるだけスキンシップし、一緒に入浴したり添い寝したりするなど密着した関係性の中で養育をしてきました。欧米の個人主義的養育とは随分違います。今では、一般家庭の模範たりえます。

② 集団の力動をうまく活用することが、日本独自の子育て文化です。今ではその弊害だけが強調されますが、アメリカ個人主義の影響でしょう。高校野球や大学駅伝等、師弟同行の寝食を共にする生活から、生活習慣や自律力や志を身につけます。我が国の児童福祉施設もその文化を大事にしてきました。相互作用の中で子どもはたくましく育ちます。

③ 日本では、施設の子ども達も施設職員もその家族も、大家族のように同じ屋根の下で一日24時間、年間365日、一緒に生活してきたという歴史があります。言わば大家族主義です。今も利用者と職員との距離は近く、家族的絆でつながっていたり、師弟関係で同じ志を抱くなどの関係が築かれていたりします。また利他的精神で利用者家族とも付き合って来ています。

以上のような子育て文化・福祉文化が日本の施設には存在します。そして、子どもは施設でも立派に育っています。各自治体においても今後、施設否定論が展開されると、施設崩壊は欧米のように進んでいくと予想できます。そしてこのような子育て文化・福祉文化も消滅します。今後、子ども達が漂流していかないように、施設養育もしっかり充実強化させていく必要があります。「ビジョン」にある乳幼児の『入所停止』や、施設の『滞在期間制限』は、取り下げるべきです。

どのような環境の中で生まれようとも、子どもたちには未来があり、その未来を作る権利があります。たとえ不利な環境に生まれたとしても、その運命を変えるための最善の利益(チャンス)が保障されなければなりません。強引な政策は、最善の利益を損ないます。少子化・人口減少という我が国の時代状況の中で、子ども達一人ひとりが地域の貴重な人材となり得ます。家庭で育とうと里親宅で育とうと施設で育とうと、その人生に差はありません。

私達は、グローバル化するこの社会の中で、欧米の価値観に流されることなく、先人たちもやったように、しっかり新たな文化の融合に挑戦します。家庭・里親・施設・地域、そして関係機関とが連携・共生しあい、日本独自の子育て文化・福祉文化に新たな価値観も融合させ、また、妊娠期から青年期に至るまで切れ目ない新たな支援のあり方も探りながら、次世代の子ども達を養育・教育していくことを誓い願い、各自治体にもその一貫した支援体制作りを求めます。

 以上、石井十次生誕の地、宮崎・高鍋の、「石井十次セミナー」において宣言します。

2019年(令和元年)8月25日

 

(参考)

社会福祉法人鳥取こども学園 ホームページ

https://www.tottorikodomogakuen.or.jp/