現代科学技術と人権

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遺伝子組み換え技術が、医療や作物など幅広い分野で応用されてきました。しかし、それは容易ではない技術であるため、人体への応用はさほど進んでいませんでした。ところが、2013年に公表された*1クリスパー・キャス9(CRISPR/Cas9)により、*2ゲノム編集技術の応用がすさまじい勢いで拡大することとなりました。生殖細胞系列に遺伝子編集を適用することも許容される趨勢です。このままでは、生命の設計図にもたとえられるゲノムの改変、遺伝子の操作に歯止めがかかりそうにありません。
加えて、*3遺伝子ドライブ技術、*4iPS細胞の応用、合成生物学の取り組みも並行して進み、生命操作の範囲が格段に拡大されようとしています。科学者や研究成果の競争や企業の利益優先での開発競争が激しくなり、科学技術の進展を抑制するのがますます困難になっています。私たち人類を含む、地球上の生命にとって、深刻で取り返しのつかない変化が生じるのではないかと危惧されます。
ゲノム編集をはじめとする生命操作の影響は、いまの世代だけでなく将来の世代にも受け継がれる危険性があり、何の規制もなく放置しておくことは、取り返しがつかない事態を招きかねません。原発事故のように大惨事が起きてから安全性を見直すのではなく、取り返しのつかない事態が進行してしまう前に市民と科学者・技術者、医学者、法律学者などが共に働きかけ、安全性の確保にとどまらず、環境影響や社会的な影響にかかわる規制、倫理面からの規制などの枠をはめる必要があります。
しかし、現在、国や学会、国際条約での規制は弱く、研究・開発・応用を押しとどめる動きはほとんどありません。
ゲノム編集や遺伝子操作の倫理性を中心に、現在の生命科学が人類に、また地球の生命全体に及ぼす影響を考え、いのちの尊さを重んじる人類社会と生物多様性を持続的に守っていくためにも、この問題を検討する必要があると思います。そのために何をすべきか、率直な多くの意見を出し合い、有意義な方向性を導きだすきっかけになることを希望し、ゲノム問題検討会議を発足いたしました。次世代以降に負の遺産を引き継がせないためにも、活発な議論をしていきたく、よろしくお願いいたします。
なお、今後も多くのご協力、ご指導、ご教示をいただきながら、この活動が将来にとって有意義な方向になることを望んでいきたいと考えております。