すべての大学は、防衛研究(軍事研究)の自由を保障してください

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大学関係者各位

 

 ご承知の通り、「安全保障技術研究推進制度」が2015年度に創設されて以来、いくつかの大学・研究機関が応募いたしました。

 この制度に対し,いくつかの国公立大学・私立大学では一切応募は禁止という方針を打ち出しました。

 日本学術会議でも議論が高まり、内部の「安全保障と学術に関する検討委員会」が2017年3月に打ち出した声明(以下「日本学術会議2017年声明」)は、1950年、1967年の所謂「軍事研究禁止声明」の内容を継承し、安全保障技術研究推進制度は政府の介入が多く研究の自主性の点から問題があり、各大学にて応募について慎重に審査するように求める内容でした。各大学も、今後はこの声明に影響を受けた判断をすることになると思われます。

 

 私共の主張は、「安全保障技術研究推進制度に対し、賛成・中立・反対、様々な政治的な意見がありますが、それぞれの意見を尊重しつつも、各大学は研究者個人が同制度に応募する自由を妨げないでいただきたい。」ということです。理由を以下に4点述べます。

 

 一点目は大学の学長・教授会等が研究者に安全保障技術研究推進制度への応募を一律禁止することは、日本国憲法に保障された学問の自由・職業選択の自由を侵害する可能性が高いということです。

 

 言うまでもなく、学問の自由(日本国憲法第23条)とは、公権力による学者・研究者の研究への束縛・侵害を禁止し、自由を保証するものです。

 軍事研究に反対のご意見が多数あることは承知しております。しかし一方で、若手を中心に賛成や中立的な信条を持ち、防衛装備庁の安全保障技術研究推進制度への応募を考える研究者も少なくないと聞き及んでおります。

 (参考1)岐阜大学のアンケートでは賛成25%、反対40%、中立35%。(※1)

 (参考2)筑波大学新聞が学生600人にアンケートしたところ、賛成が34%、反対が27%、理科系に限ってみると賛成が42%、反対が22%です。(※2)

 いかなる者も、個人的な反対を理由にして、賛成・中立の考えを封じ込め、一律禁止してよい権限はありません。

 軍事研究や安全保障技術研究推進制度に賛成・中立・反対それぞれの立場・考えで、時には議論しつつも、各自の自由に基づいて行動すればよいのです。

 また研究者の研究内容によっては、他の助成制度では応募が難しく、安全保障技術研究推進制度しか適当な研究助成金がない研究テーマも考えられます。応募禁止は、そのような研究テーマを持った研究者のチャンスを、潰してしまうことになります。これは、日本国憲法第22条1項の職業選択の自由(営業の自由)への重大な侵害です。

 「学問の自由は無制限に保証されるのではなく、倫理的に議論が生じる問題であるならば制限されるべき」という憲法学者の議論があるようです。

 しかし、後述しますが、安全保障技術研究推進制度=非人道的な兵器研究ではありません。的外れな議論ですし、基本的人権の制限は、他者の人権侵害の具体的危険が発生する時のみ、許容されるのです。

 また軍事と学問の自由については、防衛研究だけでなく、平和に名を借りたとんでもない人権蹂躙行為が過去に多くの名門大学で行われ、今も続いていることを忘れてはなりません。

 名指しは避けますが、多くの名門大学で、「〇〇大学平和憲章」なるものが制定され、自衛官の大学への入学を拒否するということが長年公然と行われてきたのです。

 平成26年6月26日の故・三宅博衆議院議員による国会文部科学委員会質疑(※9)(※10)により公のもとにさらされました。

 平和に名を借りたこの恥ずべき醜行が、一部大学を除き現在でも撤回・謝罪されず、多くの大学が逃げ回ってばかりなのです。

 「平和に名を借りた人権蹂躙」を二度と繰り返してはなりません。

 

 以上の理由から、安全保障技術研究推進制度への応募は研究者各人の自由に任せるべきです。

 

 二点目は、我が国をめぐる安全保障環境が、年々急速に厳しくなっており、抑止力の維持がますます大切になっているということです。

 

 各種報道でご承知の通り、中国の海洋進出や東シナ海・南シナ海の覇権を狙った挑発的行動、北朝鮮による核兵器・ミサイル兵器の開発、そしてアメリカの核の傘による抑止力低下など、わが国が独自に防衛力・抑止力を高めて平和を維持していかなければならない、非常に緊迫・流動化した国際情勢があります。

 一方で抑止力を維持し高めることは、全面戦争・武力衝突のリスクを減らしているという現実もあります。戦争を抑止するにはこうした一面も決して見過ごしてはならないと考えます。今までいろいろな科学者・哲学者・政治家などが知恵を絞ってきていますが、軍事力による抑止力でしか平和を維持できないという冷厳な現実があります。

 激変する国際情勢の中、社会や国民が、豊かで平和な社会の維持を願っているのです。

 「安全保障技術研究推進制度」への応募は、研究者として抑止力維持向上に貢献できるものであり、また研究論文は全世界に公開されるので民生利用に大いに貢献もできます。そもそも安全保障技術研究推進制度は公式サイトで述べている通り(※3)「先進的な民生技術についての基礎研究を公募・委託」するものです。

また、安全保障技術研究推進制度を使って行われた研究が続々と民生利用され始めています。このことを無視すべきではありません。(※5)(※6)(※7)

 どうか、平和のために科学者として何ができるか、古色蒼然とした考えにとらわれず、大学の中で自由に議論を重ねてください。

 

 三点目。日本学術会議が2017年声明で付け加えた点ですが、「研究の公開性」「政府による統制」は「安全保障技術研究推進制度」に反対する理由にはあたらないという点です。

 

 安全保障技術研究推進制度は(※3)、ほかの競争的資金制度と同様の制度を取り入れています。大まかな研究の方向性こそは防衛装備庁から公募されますが、具体的な研究内容は、大学側から提示されます。応募した研究課題と提示・応募した採択課題とがマッチしたうえで、採択されるものです。防衛装備庁が一方的に研究課題を細部まで決めるものではありません。

 防衛装備庁の公式サイトで見ればわかるとおり、安全保障技術研究推進制度の研究成果は学会発表・論文発表・特許取得することは自由であり、そもそも非公開前提の研究テーマは応募すら受け付けられません。(※3)また、防衛装備庁が特定秘密を大学に提供することも、研究成果が特定秘密にも指定されることはないと明記されています。(※3)

よって、安全保障技術研究推進制度反対派が主張する「軍事研究に巻き込まれ、研究テーマは秘密にさせられる」は全くの虚偽です。

 

また安全保障技術研究推進制度にあるプログラムオフィサー(PO)は,研究費の不適切な使用を防止するための制度であり,研究内容に干渉するためのものではありません。POは農林水産省や,経産省傘下の法人(新エネルギー・産業技術総合開発機構,NEDOなど)の研究助成金にも同様な制度(プロジェクトマネージャー制度, PM)は取り入れられています。(※4)

 日本学術会議や反対派の主張は全く事実に反しているとしか言えないものです。

  

四点目。日本学術会議2017年声明では、「研究の入口」(資金の出所)だけを問題になされていましたが、全く無意味なものだからです。

 

 スピンオン(民生技術の軍事利用)が盛んに行われている現状は貴学の皆様方ならよくご承知だと思います。古くは化学肥料から火薬が作られ、農薬から毒ガスが作られました。純粋に民間利用を考えて作られた技術も、成熟してみると軍事利用の可能性も出てきます。これは成熟しないとわかりません。

日本学術会議で、安全保障技術研究推進制度を非難し,研究について審査する制度を提言した最大の理由は,研究成果が防衛目的に転用される可能性の高さを危惧したためと推察しています。しかし,軍事転用を防ぐ目的で,研究費の入口だけを制限したり禁止したりしても,研究成果はどこでどのように応用されるかは,全く予想がつきません。

安全保障技術研究推進制度で対象とされている研究段階は、技術成熟度(Technology Readiness Level: TRL)の1~9のうち、基礎的なTRL1~3程度です。(※8)TRLというのは、基礎研究から応用研究,そして製品実用化に至るまでの、技術成熟度を表した指標で,TRL1が基礎技術の着想段階、TRL3が基礎技術の実証段階の入口に相当します。逆にTRL 8 や9は、製品としての認証試験や最終段階の運用試験に相当します。

TRL1~3の段階では、最終的な技術の製品化は全く見えていません。そしてそのレベルでは、防衛装備庁が防衛装備品開発を目指して出資するとしても、全く実用化に結び付かない「外れ」かもしれないし、軍用に適さず民生品にしか適さないかもしれません。逆に他省庁の助成金による研究が、軍事転用に適した研究成果を生み出すことになるかもしれません。それが分かるのはTRLがもっと上のレベルに達してみないと分かりません。

このように研究費の入口だけを規制したところで、科学技術の戦争利用は全く防げないことが分かると思います。一方で、ある人はこう主張します。「軍用か民生用か全くわからない基礎研究の費用は、防衛省ではなく経済産業省や総務省から支出すべきではないか? 防衛省から出すということは、あくまでもそれは軍事利用することになるからだ。」と。

確かに文科省や経済産業省、総務省などから、基礎研究のため資金が支出されています。文科省以外の研究助成金は、基礎研究と謂えども何等かの応用を見越した研究助成金である場合が殆どです。例えばそれは新素材の研究だったり、半導体の機能の研究だったり、情報通信技術だったりします。防衛省の研究助成金では、当然ながら自衛隊が必要と見込まれるような技術が募集されます。そういう用途の研究は、時として民生用技術には無い要求があったり、民生技術には存在しない技術分野だったりします。私たちの社会は、非常に広範囲な技術分野から成立しています。その技術分野の裾野を広げておくことは、私たちの社会の発展には欠かすことができません。それには民生用技術や既存の技術の枠組みに捉われず、柔軟な発想に基づいて新規の技術を開拓する必要があるのです。次世代のイノベーションは、防衛省の研究助成金から生み出される可能性も否定できません。「基礎研究の費用は防衛省以外の省庁から支出すべき」という議論は、将来これから産み出されるイノベーションの芽を摘み取ってしまう可能性があります。

 

現代において、民生技術と軍事技術の境界はもはや存在しておらず,民生技術から軍事技術への応用に関しては、抜け穴はいくらでもあるのです。また、デュアルユースはよく言われていますが、軍事技術と民生技術を分けることは不可能であり、必死に分別しようというのは戦時中における日本の「敵性語追放」を彷彿とさせる、滑稽な光景です。或いは,また、少しでも防衛技術に寄与する可能性のある研究は,一切の予算を付けるべきではないとお考えでしょうか?あらゆる科学技術が防衛目的に応用可能である以上、無意味ですし、もしそうだとするならば,それもまた,その研究やその研究に携わる研究者に対する弾圧以外の何者でもありません。

 

更に言えば、2017年3月24日に日本学術会議から出された声明で構想されている、軍事的安全保障研究に関する倫理規定の策定や、各大学への審査制度創設は論外です。なぜならこの倫理規定や審査制度の基準というものが全く不明確である上、研究倫理に基づかない基準で、研究内容によって研究活動を抑圧し得るものになるからです。航空宇宙,電子工学,原子力、化学,生物学といった研究分野から、軍事・防衛技術に関わりの深い技術分野の研究を「適当に」禁止する事すらありえます。

審査基準も不明確であり、判断基準は担当者の匙加減一つで決定されることもあり得ます。予言者でも神様でもない、担当者が、「将来軍事転用の可能性あり」と判断すれば、大学の研究者たちは自由闊達に研究ができなくなり、現場は硬直化します。ただでさえ論文数が減少している日本の科学技術に追い打ちをかけることになります。まさに「21世紀の滝川事件」とも呼ぶべき有様です。

 また新声明では防衛装備庁だけを問題にしていましたが、警察庁や海上保安庁などの「準軍隊」との共同研究はすでになされているわけで、それは問題になされないのでしょうか?その基準があいまいであり、あいまいな基準の上で安全保障技術研究推進制度にのみ、不公正な狙い撃ち・言いがかりをしているとしか思えません。

このような不毛・無意味な議論は日本国内でしか通用しません。もし科学技術が戦争に使われることを防ぎたいのであれば、既存の「核拡散防止条約」「ワッセナー・アレンジメント」などの安全保障貿易管理(大量破壊兵器や通常兵器)の国際的枠組みを踏まえて、十二分に議論をお願い致します。日本国内で生み出された科学技術が、海外に流出すると、兵器に活用される可能性があります。そして海外では地域によっては、軍事物資、技術の流出規制が不十分です。科学技術が兵器に応用されることになんの規制もありません。科学技術の軍事への応用については、輸出管理をどう適切に扱うか、そういう議論からスタートしては如何でしょうか?

 

 以上4点の理由から、「大学は安全保障技術研究推進制度に賛成・中立・反対それぞれの立場を尊重し、研究者の安全保障技術研究推進制度への応募を妨げないでいただきたい。」ということを訴えさせていただきます。

 

 最後になりますが、どうか、時世の変化を汲んだうえで、研究者の自由を尊重し、真に平和を維持するためにどうあるべきか、熟慮を重ねられますよう、お願い申し上げます。

当会としても、世界平和と人権・民主主義は必ず人類の幸福にとって不可欠であると信じていますし、それは貴学とも意見は合致していると信じています。

 そして、絶対に忘れてはならないのは、「自由闊達な議論」を担保する土壌にこそ、真の世界平和・人権・民主主義が根付くということです。貴学にその健全な議論の土壌は残っていますか?健全な議論がなければ、それはファシズムだと自覚はおありですか?

問いかけをさせていただき、結びとさせていただきます。

 

 署名URL   http://chng.it/66tVw6rZ

 令和元年10月15日(署名第1回目改定)

平成29年4月22日(署名開始)

 防衛研究推進を求める自由市民の会 

 

※1 岐阜新聞 大学の軍事研究「反対」40%「賛成」25% 岐阜大

2016年12月10日09:11 

http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20161210/201612100911_28598.shtml

 

※2 NHK「科学者は軍事研究にどう向き合うか」(時論公論)2017年03月27日 (月)

筑波大学新聞が学生600人にアンケートしたところ、賛成が34%、反対が27%と賛成が上回り、理科系に限ってみると賛成が42%。 

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/266251.html

 

※3 防衛装備庁 安全保障技術研究推進制度 平成31年度公募資料

https://www.mod.go.jp/atla/funding/koubo/2019/2019koubo_full.pdf

※4 農林水産省・新エネルギー・産業技術総合開発機構 

平成28年度農林水産政策科学研究委託事業

http://www.maff.go.jp/primaff/kadai_hyoka/itaku/2016/attach/pdf/boshu-1.pdf

 

NEDO 「次世代人工知能・ロボット中核技術開発」(次世代人工知能技術の社会実装に関するグローバル研究開発)に係る公募について

http://www.nedo.go.jp/content/100876563.pdf

 

NEDO 「水素利用等先導研究開発事業/水電解水素製造技術高度化のための基盤技術研究開発」に係る追加公募について

http://www.nedo.go.jp/content/100876686.pdf

 

※5 安全保障技術研究推進制度成果の概要(平成30年度版)

https://www.mod.go.jp/atla/funding/seika/h30kiyo.pdf

 

※6 水中で大容量データやりとり=光無線で高速通信-東京海洋大など

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019050700720&g=soc

 

※7 半導体の固体電池としての活用を目指す東芝マテリアル

https://news.mynavi.jp/article/20190201-765277/

 

※8 防衛装備庁資料「研究開発・技術戦略について」4枚目(ページ番号3)

https://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/meeting/bouei_gijutsu/sonota/02_a.pdf

 

※9 「自衛隊員(外国軍人も?)の入学拒否」という大学の方針は正当か?憲法上の問題は?  https://togetter.com/li/1081971

 

※10 平成26年6月18日衆議院文部科学委員会質問(名古屋大学平和憲章)

https://www.youtube.com/watch?v=yN_XkOX3rMg

 

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【注意!この署名名簿は大学・日本学術会議等に送付いたします!】

 もし実名を大学に送ることが各種事情でまずい、という方は、イニシャル・仮名でご署名いただくか、お気持ちだけ頂戴いたしますので、ご署名は見合わせて頂ければと思います。

※また、この署名活動では、先方には日付・お名前(イニシャル・仮名可)・居住地域(任意)・コメント(任意)だけが伝わります。メールアドレスなどは伝わりません。  

 

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