チェンジメーカーストーリー

ポール・マッカートニーを愛するファンがオンライン署名で訴えたこと

Feb 5, 2019

昨秋、怒涛のスピードで盛り上がり、成功宣言までたどりついたキャンペーンがありました。そのキャンペーンは、ポール・マッカートニーを愛する人たちによって立ち上げられたもの。キャンペーン「2014年のポール・マッカートニーさんの国立競技場公演中止は仮病であると誤解を招くような報道について、TBSは訂正して謝罪してほしい」を立ち上げた松見靖子さん、牧本雅弘さんのお二人にインタビューしました。

署名を提出した牧本雅弘さん(左)と松見靖子さん(右)

愛するサー・ポール・マッカートニーへの笑えないデマ

ー まずはお二人が立ち上げたキャンペーンについて教えてください

松見さん:このキャンペーンは2018年11月10日放送のTBS番組「新・情報7Daysニュースキャスター」の中で、出演者がポール・マッカートニーさんを公演ドタキャンの常習者だと誤解を招くようなコメントしたことについて、撤回と謝罪を求めたものです。2014年、ポールは国立競技場のライブをウイルス性炎症のために中止したことがあるのですが「このとき実は仮病で、本当は六本木で飲み歩いていたんじゃないか、そんな目撃情報がある」という報道をやっていたんですね。ファンの間では彼のライブに対する真摯な姿勢はよく知られていて、当時も重篤な病状を押してなんとか予定通り公演を行おうとしていたのに仮病などと言われ、しかもその噂を最後まで明確に否定しないまま番組が終わってしまったのをみて、これはないなと思いました。

牧本さん:ぼくもポールのファンで、ファンのみんなでコンサートの集合写真を撮ったり、交流を盛り上げたりするのが好きな人間です。ファン同士の繋がりがあるからだと思うのですが、放送の後に「あの番組に対する抗議をやろうよ。署名やらない?」ってDMが何通も来ました。「あなたなら署名を立ち上げられる!」なんて言われたり。その頃、ポールファンの集まるFacebookグループでは、たくさんのファンが放送に対して怒りの声をあげていたのですが、みんな自分ではやろうとしないのがなんというか・・(笑)

でも、これだけ困っているファンがいて、テレビ局に抗議の電話している人たちもいるなら、その人たちのためにやるべきだと思いました。ぼく一人では出来ないので、放送後の火曜日に松見さんに「署名やりませんか?」ってお声がけしたのが始まりです。

インターネットならではの繋がり

ー その後、火曜に立ち上げて金曜には提出をしたというスピード展開でした。

松見さん:やるならすぐに立ち上げて、次の放送(土曜日)までに持ち込まないとダメだなと思ったんです。牧本さんから「署名やりません?」とメールが来たのが火曜日の朝で、昼にはChange.orgでキャンペーンを立ち上げていました。以前もChange.orgのキャンペーンに賛同したことがあってこのサイトを知っていたので。助かったのは、私たちが署名運動を立ち上げたことを知って、ファンの人から当時の詳しい事情について情報提供があったり、業界に詳しい人からは、先方が対応しやすいように、署名の提出先をしかるべき部署に絞った方が良いなど、適切なアドバイスをもらえたことですね。

ー 先方の対応はいかがでしたか?

松見さん:キャンペーンを立ち上げた翌日にTBSに電話して「署名をやっている」と告げたら、お客様対応窓口ではなく、直接、情報考査部につながりました。この時点ですでに抗議の電話が殺到していて局としてもしかるべき部署で慎重に対応する必要があると認識していたのだと思います。またポールの個別事例というのではなく、二次情報の検証をせず、噂をまことしやかに報道することについて報道番組としての姿勢を問いました。問題を一般化することで、「おっしゃることはもっともです」と言われ、とても真摯に受け止めていただきました。金曜の署名提出の翌日TBSは「おことわり」と称して、番組の対応が不適切であったことをホームページ上で表明することになるのですが、署名提出の際にはこちらの言い分や指摘事項もすべて認めた上で、非常に反省されていることが伝わってきたので、私たちも納得しました。

印象的だったのは、「抗議運動が一元化されていた」と言われたことですね。個人の有志で始めたキャンペーンですが、結果として、抗議はしたいがどうしていいか分からないファンの人たちの怒りの受け皿にもなったのだと思います。署名をまとめて会いに行ったところ、非常に丁寧な応対を受け、直接対話をすることで、抗議側としても相手への理解と共感が生まれます。そうなると、ホームページの謝罪だけでは納得いかない、というファンに対しては、今度は我々が局側の姿勢を発信して理解を求める、といういつのまにか仲裁者的な役割を果たしていたんですね。一部のファンに多少の不満は残ったものの、短期間で終結できたことは双方にとってWin-Winだと思いました。その後、驚いたのは、番組ホームページに謝罪文が載ったことで、翌週の一般新聞各社の紙面に「TBSが誤解与えたと謝罪」と一斉に報じられたことです。テレビ局がホームページで謝罪するというのは、それだけ大きなことなんだと思うと同時に、この結果をみて、もういいだろうと思いました。

ー キャンペーンによって、番組制作側とのコミュニケーションが図れたのが素晴らしいですね!最後に、今回のキャンペーンを通しての感想を一言お願いします。

牧本さん:今回はポールに対するデマでしたが、真相がわからない噂をただ垂れ流す報道はポールに限らずとも良くないと思っています。このような報道をしないために今回の件を各社には参考にしてほしいです。

松見さん:長期の運動ではなく、短期にこのような動きができて、面識のない人たちからもアドバイスももらえるのはインターネットならではの新しいやり方だと思いました。日本の人たちは声をあげることを嫌がる風潮があるけれど、その風潮自体も変えていきたいですね。

ー 牧本さん、松見さん、ありがとうございました!

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