チェンジメーカーストーリー

4月から化粧品の動物実験をピアスグループが廃止へ。 オンライン署名はどう企業を動かしたか?

Apr 1, 2019
署名提出の様子

この春から、大手化粧品メーカー「ピアスグループ」が化粧品の動物実験を廃止します。カバーマーク、ケサランパサラン、イミュなど人気ブランドを有する同社が大きな決断を下した背景には、動物たちの命を守ろうと呼びかけたオンライン署名の存在がありました。今回の変化を生み出した「Cruelty Free Beauty:美しさに犠牲はいらないキャンペーン実行委員会」(CFB)の亀倉弘美さん(写真左)に、成功までのいきさつをインタビューしました!

ー  今回の成功おめでとうございます。企業にとっては、動物実験の廃止を決めるというのはけっこう大きな決断ですよね。

そうですね。これまで動物実験の問題に関心を払ってこなかった企業が、オンライン署名によって意識を変えて、対話のテーブルについてもらったのには大きな手応えを感じました。商品開発に動物実験を組み込んでいる場合、その計画を途中で見直すことは企業にとって簡単ではないかもしれませんが、「化粧品の動物実験廃止」というニーズをきちんと受け止めていただけた証拠だと思います。

ー そもそも化粧品の動物実験について国内ではどのような状況があるのでしょうか。

「なかなか一気には前に進まないな」というのが、長年取り組んできているなかでの感想です。生きているウサギの目に化学物質を点眼する、といった実験が世界中の化粧品業界で行われてきたのですが、欧米では1980-90年代に反対の機運が高まって、多くのメーカーが動物実験を廃止しました。EUでは法律で2004年から段階的に禁止し、2013年に最終的に完全禁止としたのですが、この動きを日本でも広げようと、2009年に私が所属しているJAVAという団体で、まず資生堂さん宛てにキャンペーンを始めました。EUが2009年から、EU以外の国で動物実験が行われた化粧品の輸入も禁止した、というタイミングです。結局、署名提出やデモ行進、会議での議論や要望を続けて、開始から4年後の2013年から動物実験を廃止するという決断につなげました。

ー 地道な取り組みをずっと重ねて来られたのですね。

その頃は、最大手である資生堂さんが変われば、他のメーカーもすぐに変わると思っていたんです。でも、2013年に資生堂さんが動物実験廃止を宣言しても、実際には他メーカーは慎重で、一気には変わりませんでした。そのあとChange.orgで個人の方が立ち上げられたKOSEさん(2013年)へのキャンペーンではCFBが署名の提出をさせていただき、2016年にはCFBでロート製薬さん(2016年)宛てのキャンペーンを立ち上げました。それ以外にもCFBで化粧品メーカーに働きかけを続け、それぞれ動物実験の廃止につながり、今回のピアスグループさん宛てのキャンペーンへと続いています。

ー 今回、キャンペーンの宛先をピアスグループにしたきっかけがあったのでしょうか。

消費者の方から私たちに情報提供があったのがきっかけです。「ピアスグループはまだ化粧品の動物実験をやっているらしい」ということを聞き、CFBで確認をしたところ、やはりまだやっていることがわかりました。過去にもJAVAでピアスグループさんには問い合わせをしたことがあって、そのときは日本の大手メーカー19社に一斉に問い合わせをした中でピアスさんだけ返答がありませんでした。きちんと対応してもらうために2018年9月にCFBでキャンペーンを立ち上げ、4ヶ月ほどで2万人を超える賛同が集まりました。

ー 先方の反応はいかがでしたか?

企業の側としては、やはりコメント欄が気になったようですね。「ピアスの化粧品を使っていたのに残念」「もう買いたくない」という顧客の声がダイレクトに並んでいて、それが日に日に増えていく様子はピアスさんにもインパクトがあったようです。連日のように役員会を開いて、この件を検討されていたことも後になってわかりました。署名の提出にお伺いし、その後もう一度話し合いの場を設けていただいて、2018年度末での動物実験廃止が正式に決まりました。署名に賛同した方々から「私も署名してよかった」「みんなの声で本当に変えられた」とたくさんの声もいただきました。

ー 多くの方の声が届いてうれしいです。最後に、このインタビューを読んでいる方へ一言お願いします。

「私なんて」とか「一人で声をあげても」と思うかもしれませんが、心を込めてサイトにコメントしてくださったみなさんの声、言葉に相手はきちんと目を通しています。「おかしいな」「なんとかしたいな」と心の中で思っていることを表現してみたら、自分と同じ思いを持っている人たちがたくさんいることに気づくはずです。想いが届いたとき、ものごとは変わっていきます。特に、私たちが取り組んでいる動物の問題は、動物自身は声をあげることができません。なので、どうか躊躇することなく声をあげてほしいと思います!

ー 亀倉さん、ありがとうございました!